
✅この記事では、Appleの9月期決算と「12月期は前年比+10〜12%成長」という強気ガイダンスを整理します。鍵はやはりiPhone 17の需要。一方で地域別や関税コスト、セグメントの温度差も見えてきました。
どうも、となりです。
数字は冷たいようでいて、読み解くと“いまの現場の熱”がにじみます。今回の決算はコンセンサスをわずかに上回りつつ、12月期に「過去最高」を見据える内容でした。背景にある販売状況と、次の四半期に響く材料を人間の言葉でほどいていきます。
要点まとめ
- EPSは$1.85(約280円/株):予想$1.77(約270円)を約12円上振れ。
- 売上$102.47B(約15.6兆円):市場予想$102.24B(約15.5兆円)をわずかに上回り。
- 12月期ガイダンス:前年比+10〜12%。Cook氏は「iPhoneは二桁成長」とコメント。
- iPhone売上$49.03B(約7.5兆円):発売直後で一部モデルは供給制約と説明。
- Mac$8.73B(約1.3兆円)/iPad$6.95B(約1.1兆円)/その他$9.01B(約1.4兆円)/サービス$28.75B(約4.4兆円)。
- 粗利率47.2%。関税負担は9月期$1.1B(約1,670億円)、12月期は$1.4B(約2,130億円)見込み。
- グレーター中国$14.5B(約2.2兆円、前年比-4%)。ただし12月期はiPhone 17の手応えで反転見込み。
※円換算は便宜上$1=152円の概算。細かい端数は丸めています。
ミニ用語解説
- EPS(1株当たり利益):会社が稼いだ利益を「株1枚あたり」に割った指標。
今回は$1.85(約280円)で、予想より$0.08(約12円)高い=想定より稼げたという意味。 - 粗利率:売上から原価を引いた「粗利益」が売上の何%か。
47.2%は、iPhoneやサービス比率が高く、値引き・コストを吸収しても利益体質が強いことを示す。 - 関税負担:輸入時の追加コスト。Appleは「価格は据え置きで、粗利の中で吸収」と明言=ユーザー価格に転嫁せず、社内の効率で飲み込む方針。
数字の読みどころ
売上は「どれだけ売れたか」の体温、EPSは「売ってどれだけ残ったか」の血圧、粗利率は「体質の強さ」。今回は、売上も利益体質も健全で、12月期はiPhoneの二桁成長が追い風。関税という逆風はあるけれど、サービスの高い粗利とサプライ最適化で帳尻を合わせにいく設計です。
※元情報:CNBCの決算速報およびCook/CFO発言。
詳細解説:数字の意味と現場の温度
1)ガイダンスが強い理由──iPhone 17の初速
Cook氏は「店舗トラフィックが前年より大きく伸び、ラインアップの受け止めはoff the chart」と表現。実際、発売直後から一部モデルに供給制約が発生しています。発売前後の需要手応えは、当サイトで追ってきた予約初速の解像度や、IDCの需要観測とも噛み合う流れです。
2)セグメント別:強い所・守り所
- iPhone:四半期売上$49.03B(約7.5兆円)。発売分が反映されたのはまだ約1週間だけで、本番は12月期。ミッドレンジ帯の勢いはAir系の需給も合わせて見たいところです。
- サービス:$28.75B(約4.4兆円)で堅調。App StoreやiCloudなどの高マージン事業が全体を押し上げています。いわば「定期収入の柱」で、株価評価にも直結。時価総額の流れは4兆ドル視界の記事に通じます。
- Mac:$8.73B(約1.3兆円)で前年比+13%。Airの値下げとMシリーズの熟成が追い風に。販売動向はCounterpointの推計でも回復基調が確認されています。
- iPad:$6.95B(約1.1兆円)で横ばい。10月のM5 iPad Pro投入は次四半期の数字に反映予定。「少しずつ便利になる」という改善の積み重ねは便利ポイントまとめにも詳しいです。
- その他(Watch/AirPods/Vision Proなど):$9.01B(約1.4兆円)。季節要因と新モデルの切り替え期が重なり、わずかに減少しました。
※円換算は$1=152円の概算。端数は四捨五入しています。
3)地域とマクロ:チャイナの凹みと“12月期で取り返す”筋書き
グレーター中国は-4%。ただしCook氏はiPhone 17の反応で反転余地に言及。需要の分布は、ハイエンド偏重と為替・競争環境の影響が絡みます。グローバルでは一部ミッド帯の鈍さも観測されており(強弱混在の需給)、モデルミックスの最適化が鍵になりそうです。
4)粗利とコスト:関税は「吸収」宣言、でも効率戦が続く
粗利率は47.2%と非常に高水準です。 これは「売上100円のうち47円が粗利益として残る」という意味で、Appleの体質の強さを示します。 9月期の関税コストは$1.1B(約1,670億円)、12月期には$1.4B(約2,130億円)に増える見込み。 それでも製品価格は据え置きのまま、内部の効率化で吸収するとCook氏は明言しました。
つまりAppleは、コスト増を価格転嫁せずに“筋肉”で飲み込む方向です。 物流や部材調達、モデルごとの構成比(ミックス)、そして利益率の高いサービス収入。 この3つを同時に動かすことで、四半期ごとの収益をじわっと微調整しているわけです。 「ハードで稼ぎ、サービスで支える」──それが現在のAppleの経営バランスなんですよね。
※円換算は$1=152円の概算。端数は四捨五入しています。
本当に「過去最高」が見えるのか
12月期の過去最高見通しは十分に現実的だと見ています。
根拠は
①iPhone17の供給制約=需要超過サイン
②サービスの高い粘着性
③Macの底上げの継続。
一方で、モデルミックスがミッド寄りに傾くと、売上の伸びは台数>金額になりがち。ここをサービスで押し上げられるかが勝負どころ。
「iPhoneは強い、でも中価格帯は読みにくい」──そんな肌感を多くの読者も持っているはずです。数字に一喜一憂せず、在庫/納期/ミックス/サービスの4点セットで見続けるのが健全だと思います。
ひとこと:台数の熱と、利益の理屈
売上を押し上げるのは“台数の熱”、利益を守るのは“ミックスとサービスの理屈”。この二つを同時に回せるとき、Appleは最も強いです。iPhone 17の話題性に引っ張られつつも、静かに効いてくるのはサブスク群と粗利設計。四半期のドラマは華やかですが、積み上げるのは日々の地味な最適化なんですよね。
まとめ:iPhoneで攻め、サービスで固める12月期
決算はコンセンサス超、ガイダンスは二桁成長宣言。iPhone 17の初速と供給制約は追い風で、サービスが粗利を底上げ。地域の凸凹や関税の向かい風は残るものの、攻め(iPhone)と守り(サービス/粗利)の両輪が回っている構図です。次は納期やミックスに数字がどう表れるか──そこに“過去最高”のリアリティが宿ります。
ではまた!
Source: CNBC