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iPhone Airのデザイナーが退職、AIスタートアップ流出

バングラデシュ出身のアビドゥール・チョウドリー氏

✅この記事では、iPhone AirのインダストリアルデザイナーがAIスタートアップへ転じたニュースを整理します。Appleの「薄いiPhone」と「AIバブル」のあいだで、何が起きているのかを考えてみる回です。

どうも、となりです。

iPhone Airまわりは、発売前から評価も議論もかなり揺れていますよね。そこに「Airを紹介したデザイナーがAIスタートアップへ転職」というニュースが重なってくると、Appleのものづくりや人材戦略まで気になってきます。

今回はBloombergが伝えた内容を中心に、9to5Macの整理とRedditの反応もあわせて追いかけつつ、「これは単なる一人の転職なのか、それとも時代の変化のサインなのか?」という視点で見ていきます。

 

 

iPhone Airデザイナー、AIスタートアップへ転職

Bloombergによると、Appleでインダストリアルデザイナーとして働いていたAbidur Chowdhury(アビドゥル・チョウドリー)氏が、未公表のAIスタートアップへ移ったと報じられています。9月のスペシャルイベントでiPhone Airを紹介していたあの人物です。

社内でも注目度が高かったデザイナーだったようで、今回の退職はApple内部でもちょっとしたニュースになっているとのことです。Bloombergは「iPhone Airのデビューとは直接関係していない」と伝えていますが、タイミング的にはどうしても重ねて見てしまいますよね。

要点まとめ:報道で触れられていること

  • Abidur Chowdhury(アビドゥル・チョウドリー)氏がAppleのデザインチームから退職。
  • 新天地は「名前未公表のAIスタートアップ」とだけ報じられている。
  • 同氏は9月イベントでiPhone Airを紹介するなど、最近存在感を増していた。
  • Bloombergは「iPhone Airの評価や販売状況とは無関係」と説明。
  • Appleのデザイン部門からは、ここ数年で複数の主要メンバーが離脱している。

iPhone Airについては、すでに売れ行きが鈍く、次世代モデルの計画も見直されているとする報道も出ています。このあたりの背景は、iPhone Airの売れ行きが悪いという観測でも整理しました。

Appleデザイン部門の「静かな人材流出」

デザイナーの退職そのものは珍しくありませんが、Appleの場合はここ数年の積み重ねが気になるポイントです。Jony Ive氏の退社以降、Evans Hankey氏やTang Tan氏など、ハードウェアデザインを支えてきたメンバーが相次いで離れています。

Bloombergの報道でも、こうした人材流出が「AI研究部門に限らない、より広い動きとして続いている」と指摘されています。AI分野ではすでに、MetaによるApple AI責任者の引き抜きなど、大きな動きが続いていましたよね。

今回の件は、ハードウェアデザイン側でも同じように「外のチャンスに乗る人」が増えてきていることを象徴しているのかもしれません。

AIスタートアップ側の事情:なぜ今、ハードのデザイナーが必要?

では、なぜAIスタートアップがiPhone Airのようなプロダクトを手がけたデザイナーを欲しがるのでしょうか。Redditのスレッドでは、「AI企業がプロダクト化を本気で進めるつもりなら、ハードの経験者は必須」「HumaneやRabbitの例を見ても、ハード設計の難しさを軽視すると失敗する」という声が多く見られました。

たしかに、最近のAIスタートアップは「ピン型端末」「ウェアラブル」「スマートグラス」など、物理デバイスと組み合わせる方向に舵を切りつつあります。そうなると、薄さ・熱・バッテリー・アンテナなどの制約のなかで、どこまで詰め込めるかを知っている人材はとても貴重です。

iPhone Airは、まさにその「制約の塊」のようなプロジェクトでした。iPhone Airの薄型デザインについては、すでに詳しく整理しましたが、その経験値自体は次のハードAIガジェットにも直結してきそうです。

 

 

Redditの反応まとめ:自虐と冷静な評価が半々

今回のニュースに対するRedditのコメントを、いくつかトーンごとに整理してみます。

  • 自虐ネタ系:「AppleのデザインチームもiPhone Airみたいに“薄く”なってきた」「iPhone Airを作った人がいなくなっても、正直困らないかも」
  • ネーミングいじり:「きっと新会社の名前は“AIr”とか“pAIr”とかだ」「スタートアップならAIに社名を決めさせればいいのに」
  • 給与・待遇の現実:「Appleはもう給料面でAIスタートアップに勝てない」「株価の伸びしろが鈍ると、ストックベースの報酬は魅力が落ちる」
  • 冷静な見方:「iPhone Airは見た目よりも内部構造の難しさがポイント。そこをやり切った人を採りたいのは分かる」「デザインというより、極限のパッケージングに価値がある」

全体として、「iPhone Airそのものを絶賛する声」は控えめですが、プロジェクトを通じて得たノウハウにはかなりの敬意が向けられている印象です。

注目したいポイント:iPhone Airは“失敗作”で終わるのか

個人的に気になっているのは、「iPhone Air=失敗作」というラベリングで終わらせてしまっていいのか、という点です。たしかに販売面では苦戦が報じられ、薄さの哲学がユーザー体験と噛み合っていないところもありました。

一方で、筐体の薄型化や内部レイアウトの工夫は、そのまま折りたたみiPhoneや将来の超薄型モデルにつながる「実験場」でもあったはずです。Appleが進めるiPhone全面変革の文脈で見ると、Airは長いストーリーの途中にある1コマとも言えます。

そんなプロジェクトの中心にいたデザイナーがAIスタートアップへ移る、というのは、「薄いスマホの次に来るのは、AIを前提にしたまったく別のフォームファクタだ」という時代の流れを象徴しているようにも感じるんです。

ひとこと:デザイナーの転職は“失点”ではなく“時代の変位”

Appleから見ると、今回の退職はもちろん痛手です。ただ、それを「Airがコケたから逃げた」「Appleはもう終わりだ」といった単純なストーリーで消費してしまうのは、もったいない気もしています。

むしろ、「薄さの限界まで攻めたスマホを作った人が、次にどんなAIデバイスを描こうとしているのか」。そこにこそ、今のテック業界の重心がどこへ移ろうとしているのかを映すヒントがあるはずです。Apple側も、残ったチームでどんな“次の一手”を出してくるのか、静かに見ていきたいところですね。

まとめ:iPhone Airの次は“AIデバイスのかたち”が問われる

今回のニュースは、一人のデザイナーの転職以上に、「Appleのデザイン組織」と「AIスタートアップのプロダクト化」の両方に光を当てる出来事でした。

  • iPhone AirのデザイナーがAIスタートアップへ移籍した。
  • AppleではAI部門だけでなく、ハードウェアデザイン部門でも離職が続いている。
  • AIスタートアップ側は、現実世界に溶け込むデバイス設計の経験を強く欲している。
  • iPhone Airは販売面で苦戦しつつも、次世代の折りたたみや新フォームファクタへの橋渡しになっている可能性がある。

「薄いスマホ」と「AIスタートアップ」という一見別々の話が、じつは次の10年のデバイス像でつながっているかもしれない。そう考えると、今回の転職は、時代の地殻変動の一部として眺めておきたくなります。あなたなら、この動きをどう感じますか?

ではまた!

Source: Bloomberg, 9to5Mac, Reddit