
✅この記事では、2025年秋にAppleがSamsungへ1ポイント差まで迫った話を、その後1年の実測とつき合わせて数え直します。
- 要点まとめ:1ポイント差のあと、何が動いて何が動かなかったか
- 2025年秋、差が1ポイントになった
- IDCが挙げた勝因は、3つとも買い方の話だった
- 1年後、順位のほうは実際に入れ替わった
- 説明のほうは、1年経っても同じ言葉だった
- 変わったのは、市場を揺らしている変数のほう
- 海外の反応:買い方の設計を、実際に使う側から見ると
- ひとこと:数字より、説明が変わらないことのほうが珍しい
- まとめ:1年で入れ替わったものと、残ったもの
どうも、となりです。
2025年の第3四半期に、IDCが「AppleがSamsungの背中をとらえた」という数字を出しました。Apple 18.2%、Samsung 19%。差はわずか1ポイントでした。
それから1年が経ちます。順位のほうは、そのあと実際に入れ替わりました。ただ並べてみて意外だったのは、Appleが売れている理由の説明が、1年前とほとんど同じ言葉のままだったことです。
要点まとめ:1ポイント差のあと、何が動いて何が動かなかったか
- 2025年第3四半期のIDC推計は、出荷台数でApple約5,860万台(シェア18.2%・前年比2.9%増)、Samsung約6,140万台(19%・6.3%増)。差は1ポイントだった
- IDCが挙げたAppleとSamsungの勝因は3つ。ハードとソフトの継続的な進化、下取りとアップグレードによる買い替え支援、そして支払いのハードルを下げる設計
- 順位は入れ替わった。2026年第1四半期にAppleが世界首位を取り、第2四半期はSamsungが24%で取り戻している。Appleの20%はQ2として過去最高だった
- 説明は変わっていない。1年後のCounterpointも、iPhone 17 ProとPro Maxが売れた理由に下取り・キャンペーン・手が届く分割の条件を挙げている
- 変わったのは市場を揺らす変数のほうで、2025年秋の主役だった関税は、今はメモリ価格に入れ替わっている
2025年秋、差が1ポイントになった
まず、当時の数字を置いておきます。IDCの推計で、2025年第3四半期の出荷台数はAppleが約5,860万台、Samsungが約6,140万台。前年比ではAppleが2.9%増、Samsungが6.3%増で、どちらも伸びていました。シェアにするとApple 18.2%、Samsung 19.0%です。市場全体は3億2,270万台で、前年から2.6%伸びていました。
景気が良い時期の話ではありません。IDCのシニアリサーチディレクター、ナビラ・ポパル(Nabila Popal)氏は、経済の不透明さと関税の揺れが続くなかで市場が伸びたこと自体を「顕著な成果」と呼んでいます。Appleについては別のクライアントデバイス担当バイスプレジデント、フランシスコ・ジェロニモ(Francisco Jeronimo)氏が、7〜9月期としては過去最高の結果だったと説明していました。
この表で今から見ると目を引くのが3位です。Xiaomiが4,350万台で13.5%を持っていて、TranssionとvivoもQ3として伸びていました。上位2社だけの表ではありません。
当時いちばん引っかかったのは、この1ポイントが埋まるのかどうかでした。長く2位にいた会社が、上の背中まで来ている。ここから先はもう誤差の範囲に見えます。
IDCが挙げた勝因は、3つとも買い方の話だった
ポパル氏がAppleとSamsungの成功要因として整理したのは、次の3点です。
- ハードウェアとソフトウェアの両面で進化を続けていること
- アップグレードプログラムと下取りによる買い替え支援
- 支払いのハードルを感じさせない分割の設計
並べ直すと、3つのうち2つが製品ではなく買い方の話です。IDCの言い方だと、メーカーはもうハードとソフトだけでなく購入体験そのものを設計している、ということになります。
高い機械を「買えるようにした」のではなく「買い替えやすくした」。ここは読んだときに、なるほどそうだよなと思いました。値札の数字だけを見て売れ行きを語ると、たしかに毎年外します。
1年後、順位のほうは実際に入れ替わった
では1ポイントはどうなったか。埋まりました。しかも一度きりではありません。
2026年第1四半期に、Appleが世界シェアで首位に立ちます。ところが第2四半期にはSamsungが24%で首位を取り戻し、Appleは20%で2位でした。この20%はQ2としては過去最高で、伸びているのに順位は下がるという形になっています。
機種ごとに見ると、また景色が違います。2026年第2四半期の販売トップ10では、iPhone 17が世界で最も売れた1台で、2位と3位も17 Pro Maxと17 Pro。これは正直、並べるまで頭の中で結びついていませんでした。会社単位ではSamsungが上でも、1機種ずつ並べるとAppleが上から3つを取っています。会社で数えるか機種で数えるかで、勝っている側が変わる。
そして、2025年秋に13.5%を持っていたXiaomiは、この機種別トップ10から消えています。会社としてはまだ3番手にいるのに、上位10機種の席が1つも残らなかった。1年で変わったのは1位争いだけではありませんでした。
説明のほうは、1年経っても同じ言葉だった
おもしろかったのはここです。1年後にCounterpointが出した集計で、iPhone 17 ProとPro Maxがなぜ売れたかの説明が、下取りプログラム、キャンペーン、手が届く分割の条件でした。2025年秋にIDCが挙げた3点の、2つ目と3つ目そのものです。
調査会社が違い、四半期が4つ進み、扱っている機種も入れ替わっているのに、理由の言葉だけが同じまま残っている。これは、その説明が当たっているという合図だと思っています。
日本にいると、この話は少し形を変えて届きます。米国のApple Upgradeのようなリースの仕組みは日本にありません。代わりに機能しているのが、Appleの下取りと、その増額キャンペーンと、キャリアの返却前提の分割です。名前は違っても、月々に割って心理的な負担を下げるという設計は同じでした。
変わったのは、市場を揺らしている変数のほう
1年前の記事で最後に触れていたのは、関税の影響でした。IDCは当時「影響は今のところ限定的」としていて、Appleが数年かけて進めた供給網の組み替えで抑え込めている、という読み方です。
その関税は、今は市場の主役ではありません。代わりに来たのがメモリ価格で、ティム・クック(Tim Cook)氏は2026年7月の決算説明で、「メモリ価格の100年に一度の洪水」という言い方をしています。関税の話をしていた去年から、ずいぶん遠くまで来たなと思います。Appleは同年6月に14製品を値上げしました。
つまり1年で、売れる理由は同じまま、売れ行きを脅かすものだけが入れ替わったことになります。ここは読み替えが要るところで、去年の「関税は大丈夫そう」をそのまま今年の安心材料にはできません。
海外の反応:買い方の設計を、実際に使う側から見ると
米国のリース型プログラムについてのやりとりから拾いました。褒められている「支払いのハードルを下げる設計」を、返すときの条件の側から見ている声が並んでいます。
It's less drastic than you'd think. As long as the phone is in full working condition, with nothing replaced, no broken screen and/or black glass and has over 80% battery health, the device will be accepted and you can renew the lease.
思っているほど厳しくない。完全に動く状態で、交換した部品がなく、画面や背面ガラスが割れていなくて、バッテリーの状態が80%を超えていれば受け付けてもらえるし、リースも更新できる。
条件そのものは緩いという話並べてみると、下取りで見られる項目とほぼ同じです。買い替え支援の中身は、結局どこも似た線を引いている。
IMO it being subjective to a 3rd party is the issue. Customer says it's a scratch, Klarna says it's a crack. Could be hundreds of dollars off since they have the final say
問題は、判断が第三者の主観になることだと思う。客が傷だと言い、Klarnaが割れだと言う。最終決定権が向こうにあるから、数百ドル変わりうる。
誰が判定するのか支払いのハードルを下げた分、返すときの判定という新しい不確定要素が増えています。IDCの3点目には、この裏側までは書かれていません。
You must live in a financially well off bubble. These people are LEASING a cell phone. You think they have AC+ money?
恵まれた環境に住んでいるんだろうね。この人たちは携帯を「リース」しているんだよ。AppleCare+を払う余裕があると思う?
月々に割る人ほど、保険は積みにくい分割を選ぶ理由と、保証を付けない理由は同じところから来ている、という指摘です。設計の話としては、いちばん痛いところを突いている。
I mean worst case, you just pay it off to own the phone. Same cost as if you bought the phone outright and then you can do whatever you would've done
最悪の場合でも、残りを払い切って自分のものにすればいい。一括で買ったのと同じ金額で、あとは好きにできる。
いちばん下の線逃げ道が残っていることを確かめている声です。日本の返却前提プランでも、返さずに払い切る選択肢はだいたい残っています。
ひとこと:数字より、説明が変わらないことのほうが珍しい
1年前の記事を読み返して、いちばん驚いたのは順位の入れ替わりではありませんでした。理由の説明が同じだったことのほうです。
この業界の記事は、たいてい半年で言っていることが変わります。去年の材料が今年は使えない、というのが普通でした。そのなかで「下取りと分割」だけが、調査会社をまたいでも同じ位置に残っている。
裏を返すと、ここが変わったときはかなり大きい話になる。値上げが続いて月々の額まで押し上げたら、いちばん厚かった支えのほうから崩れる。そこはあまり見たくない。
まとめ:1年で入れ替わったものと、残ったもの
2025年秋の1ポイント差は埋まり、2026年第1四半期にAppleが首位、第2四半期にはSamsungが取り戻しました。機種で数えるとiPhone 17が2四半期続けて世界1位です。
一方で、なぜ売れるのかの説明は動いていません。IDCが2025年に挙げた下取りと分割の設計を、2026年のCounterpointがほぼ同じ言葉で繰り返しています。変わったのは市場を揺らす変数のほうで、関税からメモリ価格へ主役が移りました。
ここまで読むと、次に気になるのは自分の側の話だと思います。日本で分割にするなら実際どの選び方があるのか。そこはApple公式の分割で金利ゼロにする方法をまとめた回に置いてあります。
ではまた!
この記事で出てきた供給網と買い方の設計は、どちらもクック氏が20年かけて組んだものです。本人は2026年9月1日にCEOを退きます。1,782円(2026年8月27日時点)。
AmazonSource:IDC、Counterpoint Research、MacRumors、Reddit①、Reddit②、Reddit③、Reddit④
更新履歴
- 2026年8月27日:1年後の実測(2026年第1・第2四半期のシェアとモデル別ランキング)と突き合わせて全面的に書き直し。日本の下取り・分割の条件も追記
- 2025年10月14日:公開