
✅この記事では、iPhone 17シリーズの販売がAppleをSamsungに迫らせたという最新のIDCレポートをもとに、世界スマートフォン市場の動きを整理します。Appleがどんな戦略で苦しい経済状況のなかでもプレミアム端末を売り続けているのか──その背景を見ていきましょう。
- IDCとは?──世界市場を追う“数字の番人”
- Appleが18.2%、Samsungが19%──数字が示す接戦
- 勝因は「3つの武器」──ハード・ソフト・支払い設計
- iPhone 17が見せた「買い替えやすさ」という新しい価値
- なぜSamsungとの差が縮まったのか
- 関税の影響は限定的──とはいえ油断はできない
- まとめ:Appleが勝負しているのは「価格」ではなく「体験の持続」
どうも、となりです。
2025年第3四半期、Appleが世界シェアでついにSamsungの背中をとらえたようです。IDCの推計によると、Appleの市場シェアは18.2%、Samsungは19%。ほんの1ポイントの差にまで迫っています。ここ数年続いた“トップ争い”が、再びヒートアップしてきました。
IDCとは?──世界市場を追う“数字の番人”
今回のデータを発表したIDC(International Data Corporation)は、アメリカ・マサチューセッツ州に本社を置く調査会社です。 世界のIT・通信・家電市場を長年追い続けており、AppleやSamsungなどの出荷台数データではもっとも信頼性の高い情報源のひとつとされています。
IDCの特徴は、単なる販売台数だけでなく、地域別の出荷傾向や価格帯ごとの動きを詳細に分析していること。 四半期ごとに発表されるレポートは、Appleの決算発表よりも一足早く“現場の温度感”を知る手がかりになるんです。
今回の記事で引用されている数字(Apple 18.2%、Samsung 19%)も、このIDCの世界出荷推計に基づいています。
Appleが18.2%、Samsungが19%──数字が示す接戦
IDCの報告では、2025年第3四半期のスマートフォン出荷台数はAppleが約5,860万台、Samsungが約6,140万台。 前年比ではAppleが+2.9%、Samsungも+6.3%と、ともに増加しています。
注目すべきは、この伸びが景気減速の中で起きているという点。IDCは「経済が厳しい状況にもかかわらず、Appleは高価格帯モデルを売り続けている」として、これを“remarkable achievement(顕著な成果)”と表現しています。
勝因は「3つの武器」──ハード・ソフト・支払い設計
IDCの上級リサーチディレクター、ナビラ・ポパル氏は、AppleとSamsungの成功要因を次の3点に整理しています。
- ハードウェアとソフトウェアの両面で継続的に進化していること
- アップグレードプログラムや下取り制度による買い替え支援
- 支払いの“ハードル”を感じさせないファイナンス設計
特に最後の点──支払いの仕組み──が今のAppleを支えています。 「高価なスマートフォンを“分割で、手軽に、下取りで”買える環境を整えたことが、消費者の心理的負担を取り除いた」とIDCは指摘しています。 Appleはここを単なるローンプランではなく、“体験を続けるための入口”として位置づけています。
iPhone 17が見せた「買い替えやすさ」という新しい価値
今年9月に発売されたiPhone 17シリーズは、予約の時点で前年のiPhone 16を上回る勢いだったとされています。 価格帯こそ変わらないものの、Appleはトレードインの評価額や支払い期間を柔軟に調整し、ユーザーが“あと一歩”踏み出しやすい環境を整えました。
IDCのポパル氏はこう表現しています。 「メーカーたちは、もはやハードとソフトだけでなく“購入体験そのもの”を設計している。」 つまり、Appleの強みはプロダクトよりも、その周囲の“買う仕組み”にも広がっているというわけです。
なぜSamsungとの差が縮まったのか
Samsungは折りたたみ(Foldシリーズ)で存在感を保っていますが、プレミアム帯ではiPhone 17の勢いが勝りました。 Galaxy Z Fold6やFlip6が登場したものの、販売の伸びは限定的。 一方でAppleはProシリーズのカメラ刷新やAI連携を軸に、“長く使う人”への満足度を高めています。
スマホが成熟した時代、差を生むのはスペックではなく「信頼と継続」。 その信頼を維持する仕組みを20年かけて磨いてきたのが、いまのAppleなんですよね。
関税の影響は限定的──とはいえ油断はできない
IDCは今回、「関税の影響は今のところ限定的」と分析しています。 ただし、これは「影響がない」ではなく、「抑え込めている」に近い。 Appleは数年前からサプライチェーンの再配置を進めており、その成果が数字に現れていると考えられます。
この安定した供給体制こそが、販売機会を逃さないAppleの“影の強み”。 景気が揺れても在庫を切らさない──そんな運営力が、Samsungとの差を詰める下支えになっているわけです。
まとめ:Appleが勝負しているのは「価格」ではなく「体験の持続」
IDCの言葉を借りるなら、Appleは“購入の摩擦を取り除いた”。 高価なスマホを“買えるようにした”のではなく、“買い替えやすくした”。 そして、その快適さが結果として市場シェアを押し上げています。
今回の動きをひとことで言うと、AppleはiPhone 17で「買う」という行為までデザインしたということ。 スマートフォン市場の競争は、スペックから“支払いの体験設計”へと移りつつあるのかもしれません。
ではまた!
Source: 9to5Mac, IDC, CNET