
✅この記事では、Apple Vision Proの「生産停止」「広告撤退」「アプリ不足」が同時に語られ始めた背景と、ここからAppleがどこへ舵を切りそうかを読み解きます。
- 要点まとめ:今回出てきた「数字」と「動き」
- 何が起きてる?「生産停止」と「広告撤退」は別の話
- 普及を止めている「4つの壁」
- 市場全体も“冬”っぽい:Appleだけの問題にしにくい
- 注目したいポイント:ここからAppleはどこへ逃げる?
- ひとこと:Vision Proは“売れなくても残る”
- Redditの反応まとめ
- まとめ:縮小は撤退ではなく“次の形”への助走
どうも、となりです。
Vision Proって、触った瞬間は「うわ、未来じゃん」ってなるんですよね。
なのに最近は「生産を止めた」「広告も引っ込めた」みたいな話が目立ってきました。
今回、IT之家が英Financial Timesの報道をもとにまとめた内容は、数字がかなり露骨です。
ここ、感情で「失敗だった!」と決めつける前に、何がボトルネックで、Appleが何を諦め、何を残しているのかを分解して見ていきます。
要点まとめ:今回出てきた「数字」と「動き」
- 生産:受託製造の立訊精密(ラックスシェア)が2025年初頭に生産を停止した、と報じられています(IDCの情報として言及)。
- 出荷:2024年の累計出荷は39万台、2025年末商戦の追加出荷は4.5万台という推計(IDC)。
- 広告:米・英など主要市場で、オンライン広告費を95%以上削減(Sensor Tower)。
- 販売地域:販売は13カ国に留まり、2025年内の拡大は見送られたとされています。
- 製品更新:2025年10月にM5搭載の改良モデルを投入済み(性能・バッテリー・ヘッドバンド改善が狙い)。
- アプリ:Vision Pro専用アプリは約3,000本。iPhone初年度(2008年)と比べるとかなり少ない、という指摘。
- 市場環境:VR市場全体が前年比14%縮小(Counterpointの調査として紹介)。シェアはMetaが約80%、Metaもマーケ費を絞っているという流れ。
何が起きてる?「生産停止」と「広告撤退」は別の話
生産停止=需要ゼロ、とは限らない
まず「生産停止」という単語は強いんですが、ここは少し冷静に。
立訊精密(ラックスシェア)が2025年初頭に生産を止めた、という話が事実だとしても、それは売れないから即終了というより、在庫と供給を“絞ってコントロールする局面”に入った可能性が高いです。
実際、2024年の累計39万台と、2025年末商戦4.5万台の予測の差は、Appleの主力(iPhoneなど)と比べると桁が違います。
ここまで母数が小さいと、「作り続けること」自体が効率的じゃなくなるんですよね。
広告95%削減=「一般向けの拡販」を一旦やめたサイン
もうひとつ大きいのが、Sensor Towerの「広告費95%以上削減」。
これ、言い換えると“買う人に買ってもらう”フェーズへ戻したということです。
Appleは本来、伸ばしたいプロダクトに広告を突っ込みます。
それを引っ込めたのは、少なくとも現時点でVision ProをiPhone並みに広げる勝ち筋が見えていない、という判断が入ったと考えるのが自然です。
普及を止めている「4つの壁」
① 価格:良くも悪くも“1%の体験”
Vision Proは、体験の密度がすごい一方で、買うハードルも極端に高いです。
フォーラムの反応でも「もっと安ければ…」という声が多いのは、まあ当然ですよね。
② 装着感:重さは「試着の感動」を削る
短時間のデモだと未来感が勝つんですが、日常的に使うとなると話が変わります。
「重い」「首がつらい」というコメントが出やすい時点で、長時間体験の設計がまだ追いついていない印象です。
③ バッテリー:体験が濃いほど“制限”が目立つ
外部バッテリー運用は、設計として割り切りなんですが、
「じゃあリビングで気軽に」という導線を削ってしまうんですよね。
④ キラーコンテンツ:アプリ3,000本の“少なさ”は、数よりも意味が痛い
Appleは「プラットフォームは開発者が育てる」モデルが強い会社です。
なのに専用アプリが約3,000本で止まっている、というのは、数そのものよりも投資の循環が回り切っていないことを示しています。
この話は以前書いたVision Proは“次の一歩”を見失った?ともつながるんですが、
「未来のデモ」から「毎日の道具」に変わる段階で、どうしても壁が出るんです。
市場全体も“冬”っぽい:Appleだけの問題にしにくい
今回の報道では、VR市場全体が前年比14%縮小という話も出ています。
つまり、Vision Proが苦戦しているのはAppleの失点というより、市場そのものが“まだ一般化しない”という現実も大きいんですよね。
さらに、シェア約80%のMetaが強いのは、技術の差というより価格と割り切りの違いが大きいです。
Metaもマーケ費を削っているというのは、「市場が熱狂で回っていない」証拠でもあります。
注目したいポイント:ここからAppleはどこへ逃げる?
① 「ポストiPhone」の夢は、いったん“休憩”に入った
Vision Proが「iPhoneの次」みたいに語られたのは事実ですが、
現実は、iPhoneほどの普及速度が出るカテゴリじゃなかった、ということだと思います。
ただし、ここで重要なのは「失敗」よりも「学習が取れたか」です。
Appleが欲しいのは販売台数そのものより、空間UIを“実戦投入して得られるデータ”なんですよね。
② M5改良モデルは「延命」ではなく、土台固め
2025年10月にM5搭載の改良モデルを入れた、という点は見逃せません。
ここは「売れてないのに新型?」というより、最低限の体験品質を上げて、B2Bやコア層の利用をつなぐ意図が強そうです。
実際、Apple Vision Pro(M5)発表の流れでも、改善点は“派手な新機能”というより、土台の改良が中心でした。
あと、細かいけど重要なのがスペック面で、M5搭載のVision ProはRAM16GBといった話が出てくるのは、
「重たい体験を安定して回す」ための地味な強化が続いているサインでもあります。
③ “一般向け”から“業務向け”へ、先に勝ち筋を作る
Appfiguresが触れているように、飛行訓練や医療などの業務用途では、すでに使い道がある。
ここ、Appleにとってはかなり都合がいいんです。
理由はシンプルで、業務用途は価格よりも価値で買われやすいから。
「高いけど、業務効率や安全性が上がるなら投資できる」という世界ですね。
④ “軽い形”への布石:Vision Airや別形状へ逃げ道を作る
フォーラムでも「本命はメガネ型では?」という声が出ています。
Apple側も、いずれは軽い形に寄せたいはずで、その文脈でVision Air開発難航の噂みたいな話が出てくるのは自然です。
いまのVision Proは、未来の最終形というより「研究機材に近い市販機」なんだと思います。
その意味では、縮小は撤退ではなく、次の形へ行くための“呼吸”なのかもしれませんね。
ひとこと:Vision Proは“売れなくても残る”
今回の話って、見出しだけ見ると「Vision Pro、終わった」みたいに見えるんですが、僕はそこまで悲観していません。
むしろAppleの強さって、「売れないから止める」じゃなくて、「売れない理由を分解して、次に持ち越す」ところにあるんですよね。
生産を絞る、広告を引っ込める。これって敗走というより、規模を落としてでも“研究と改善を続ける”ための整地に見えます。
あなたがもしAppleの中の人なら、いま何を優先しますか?「軽さ」か、「コンテンツ」か、それとも「価格」か。けっこう割れそうです。
Redditの反応まとめ
- 初期マーケが「刺さらない」:無表情の人物写真や、子どもの前で巨大ヘッドセットを付ける演出が「現実感がない」「家族持ち目線が欠けている」と不評。
- 技術はすごいのに、商品としての“理由”が弱い:画質・UI・視線入力は称賛される一方で、「結局なにに毎日使うの?」という声が多い。
- 価格が最大の壁:欲しい用途(映画、巨大ディスプレイ、3Dデザインのプレビュー)はあるが「この価格では正当化できない」「半額なら買う」という意見が目立つ。
- “アプリ不足”が悪循環を生んでいる:台数が少ない→開発投資が回らない→コンテンツが増えない→さらに買われない、という構造を指摘するコメントが多い。
- 外側ディスプレイ(EyeSight)への批判:「重い・高い・用途が薄い」「Touch Barみたいに“見た目先行”」という声が複数。
- 用途は「映画」「Macの仮想ディスプレイ」が中心:映画体験やMacのバーチャルディスプレイを絶賛する人もいる一方で、「それでも日常必須ではない」と冷静な反応も。
- 装着のしんどさ問題:重さ、顔に跡が残る、長時間で疲れるなど、物理的なハードルが“毎日使う気になれない”理由として挙がる。
- 「VRは顔に付ける時点で無理」派も根強い:価格以前に「顔に付ける行為そのものが主流にならない」とする意見も一定数ある。
- 「Newton枠」評価:今は早すぎるプロトタイプで、将来(軽量なグラス型)につながる“布石”として捉える人もいる。
- B2B/教育に寄せるべきだった:AdobeやCAD系、教育向け補助など、最初から法人・専門用途を厚くすれば成長できたのでは?という提案も。
総評:海外でも「技術は本物、でも価格と用途(コンテンツ)が追いついていない」という見方が大勢、という印象です。
まとめ:縮小は撤退ではなく“次の形”への助走
IT之家がまとめた報道ベースでは、Vision Proは生産・広告ともに大きく縮小し、出荷の伸びも鈍いとされています。
ただ、その一方でM5改良モデルを入れて土台を整え、業務用途で価値を作り、次の軽い形へ布石を打っているようにも見えます。
いまのVision Proは、いきなり「iPhoneの次」になるプロダクトというより、空間コンピューティングを“現実の道具”にするための試行錯誤の真っ最中。
それは、派手に跳ねる前の“静かな仕込み”なのかもしれませんね。
ではまた!
Vision Proとの“距離感”を、価格帯と見た目(デザインの割り切り)から直感的に掴むためのリファレンスです。
「なぜこれほど差がついたのか?」を語るとき、まずはこの“現実的な選択肢”を横に置くと話が早いんですよね。
オールインワンで導入ハードルが低いぶん、普及のロジックがまったく違って見えてきます。
Source: IT之家, Financial Times, IDC, Sensor Tower, Counterpoint Research, Morgan Stanley, Appfigures