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Vision Proは“次の一歩”を見失った?──開発停止の裏で進むスマートグラス計画

Vision Proは“次の一歩”を見失った?──開発停止の裏で進むスマートグラス計画

✅ この記事では、MacRumorsの新着記事をもとに、Vision Proシリーズの開発が一時停止した理由と、Appleが次に注力しているスマートグラス計画について解説します。M5チップ搭載モデルの登場時期、Vision Air/Pro 2の延期、そして2028年までのロードマップを整理します。

 

どうも、となりです。

2023年に「空間コンピューティングの夜明け」として登場したVision Pro。ところが今、その未来が少し揺らいでいます。MacRumorsによれば、Appleはすべての再設計版ヘッドセットの開発を一時停止し、代わりにスマートグラスの開発へシフトしているそうです。

この記事を読むとわかること:
・Vision AirとVision Pro 2の開発が止まった経緯
・M5版Vision Proが登場する理由と目的
・Appleが“ヘッドセットの次”に見据える方向性

1) ヘッドセット開発はすべて「一時停止」へ

MacRumorsによると、Appleは現在、再設計を伴う新モデルの開発をすべて一時停止しています。 これは「Vision Air」や「Vision Pro 2」といった新しい筐体・新設計の後継機が対象。 一方で、既存デザインをベースにした“M5版 Vision Pro”の投入準備は進行中です。

つまり、“完全に止まった”わけではなく、「新しい形のヘッドセット」は止まったけれど、今あるVision Proをアップデートする動きは続いているということなんです。 言いかえると、“開発が止まった”のは未来の筐体であって、“製品そのもの”はまだ生きています。

今後の空間コンピューティング戦略はメガネ型デバイスに軸足を移しているとのこと。

もともとVision Proは、重量1kg近く・価格3499ドルというプレミアム志向の製品。市場拡大を狙って、軽量・低価格モデルである「Vision Air」を計画していましたが、コスト削減と機能維持の両立に苦戦。結果、AirもPro 2もいったん開発が見送られる形になったようです。

2) 「Vision Air」と「Pro 2」に何が起きたのか

当初の計画では、Vision Airは重量40%減・価格50%減を目標に設計されていました。Pro 2はその後に登場する上位機で、より高品質なディスプレイや軽量化を進めた「二層ライン構造」を目指していたとか。

ただ、2024年半ばにはMomentumが鈍化。The Informationの報道でも、AppleがPro 2を先送りし、Airに開発リソースを集中していたことが伝えられています。それでも、価格・部品構成・快適性のバランスが難航し、結果的にどちらの計画も“同時停止”という判断に至ったようです。

これは以前の記事(Appleのスマートグラス本格化とVision Air停止の行方)でも触れたように、「重さ」より「常用性」を優先する戦略転換の一環と見られます。

 

 

3) “守りのM5”──刷新版Vision Proの役割

Appleはまもなく、M5チップを搭載した現行デザインのVision Proを投入する見込みです。 内部構造は基本的に変わらず、プロセッサをM5へ置き換え、第2世代コプロセッサ「R2」や新しい「デュアルニット・ヘッドバンド」を採用。 これにより、既存ユーザーの体験を保ちつつ、ハードウェア在庫を有効活用できる仕組みになっています。

つまりこれは、再設計が止まった代わりに“延命更新”で時間を稼ぐ動き。 このM5 Vision Proは、Appleにとって「新型」ではなく「安定版」。

以前のM5シリーズのロードマップ記事でも触れたように、Appleは2025年〜2026年にかけて、 Mac・iPad・Vision ProをM5世代でそろえる“統一更新”を進めています。 このVision Pro M5も、その流れの中にあるんです。

4) スマートグラスへ──「日常に馴染むAI端末」へ転換

開発リソースを削ってまでAppleが進めているのが、眼鏡型のスマートグラス。 MetaがRay-Ban Displayで市場を開拓しつつあるいま、Appleも“空間コンピューティングを軽くする”方向へシフトしています。

この動きは、Apple Intelligenceとの統合を前提にしているとも言われています。 つまり、グラスはカメラ・音声・AIを組み合わせた「見る×話す×理解する」日常デバイスになる可能性が高い。 すでにPrompt AI買収(AppleがAIスタートアップ「Prompt AI」を買収か)で、 Appleはカメラ認識×テキスト生成の技術を取り込んでおり、Vision路線の知見をグラス型AIデバイスへ転用し始めています。

5) 2027〜2028年のロードマップ:空白期をどう埋める?

Vision Pro 2の登場予定が最短でも2028年以降になると見られる中、 この2〜3年の間、Appleは「M5版で延命 → スマートグラスで実験 → 再設計で復帰」という三段構えを取る可能性があります。

つまり、2025年〜2026年は“守りのヘッドセット期”、 2027年以降が“攻めのグラス期”という構図。 その中でvisionOS 26やApple Intelligenceが徐々に融合し、 「デバイスで動くAI × 現実世界の理解」がテーマになっていくはずです。

 

 

6)Redditの反応まとめ

Vision Proの開発停止報道に対して、コミュニティではさまざまな意見が交わされています。全体的には「価格が高すぎる」「用途が見えない」といった冷静なトーンが多く、Appleの方向転換を肯定する声が目立ちました。

  • 「手が届く価格なら買いたかった」「半額なら検討する」という声が多数。期待していた“廉価版Vision Air”が消えたことを惜しむ反応も。
  • 「$3,500で孤立感を味わうデバイス」として批判するユーザーも多く、「Appleらしい“人とのつながり”がない」との指摘が印象的。
  • 「技術的にはすごいが、現実に使う場面がない」「ARグラスの方が未来を感じる」と、スマートグラス路線への転換を歓迎する意見が増加。
  • 「重すぎる・高すぎる・バッテリーが別体」と、ハード面での不満が集中。中には「Google Glassの二の舞」と見る声も。
  • 一方で、「技術が進めば戻ってくる」「今は過渡期」として、将来の再挑戦に期待する声も一定数ありました。

総じて、Vision Proは「先を行きすぎたプロトタイプ」と見られており、Appleが次に目指す“軽く、日常に溶け込む体験”──つまりスマートグラスへの期待が高まっています。

7) まとめ:Vision Proは“静かな進化”の時期へ

今回の動きをひとことで言うと、AppleはVision Proを止めて、空間体験の形を作り直しているということ。 ヘッドセットから眼鏡へ──重さよりも「日常に溶け込む知性」を求める転換期なんです。

いま買うなら、M5版Vision Proは「完成形に近い安定モデル」。 けれど、未来を見たい人はスマートグラス発表まで待つのもありですね。

どちらにしても、Appleの“空間コンピューティング”の物語は、まだ終わっていません。 むしろここからが、静かに燃え始める第2章なんです。

ではまた!

 

 

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