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vivo X300、“Apple製品群”と連携できる新機能を発表──iPhoneやMacとも直接つながる時代に

vivo X300、“Apple全家桶(ファミリーバケット)”と連携できる新機能を発表──iPhoneやMacとも直接つながる時代に

✅ この記事では、vivoが新たに発表した「X300」シリーズと、その目玉となる“全家桶生态破壁(チュエンジャートン・エコシステム・ブレイクスルー)”機能を紹介します。この仕組みは、iPhone・iPad・Mac・Apple Watch・AirPodsといったApple製品とのデータ連携を部分的に実現するというもので、業界内で注目を集めています。

 

どうも、となりです。

中国のスマートフォンメーカーvivoは、これまで自社エコシステム(スマホ・タブレット・PC間の連携)を中心に進化を続けてきました。 しかし2025年10月13日の発表会で披露したのは、Appleの「全家桶(ファミリーバケット=iPhoneやMacなどApple製品群の総称)」との“壁”を壊す構想──「生态破壁(エコシステム・ブレイクスルー)」です。

この「破壁」という言葉は、中国テック業界では「異なるブランドやOS間の垣根を壊して接続する」という意味で使われています。 Appleが築いてきた“閉じた美しさ”の外側から、その体験を部分的に共有しようとする試みとも言えます。

iPhoneとの「互通」──通話・通知・写真を共有

最も話題を呼んだのが、vivo X300がiPhoneと相互にデータをやり取りできる点です。 電話やSMS、通知をvivo端末で確認できるほか、「一碰传(ワンタップ転送)」機能で、ファイルをiPhoneにタップひとつで送信可能とされています。

また、iPhoneで撮影した写真をvivoスマホ上で閲覧・編集できる機能も搭載。 クラウドやLightningケーブルを使わずに、端末間で直接アクセスできるという構成になっています。 ただしこれは「iPhoneが中継(ハブ)として存在する」前提であり、vivo単体ではAppleの写真ライブラリを直接扱うことはできません

このような「Apple体験の外側への拡張」は、vivo独自UI「OriginOS(オリジンオーエス)」の延長線上にあります。 同社は以前から「Liquid Glass」UIでiOSに似た操作性を実現しており、今回の“生态破壁”はデザインから連携体験までを貫く試みです。

MacやiPadとの接続──「Handoff」的な作業連携も

vivo X300は、Macとの間でファイルのドラッグ&ドロップ転送、スケジュール同期、クリップボード共有をサポート。 さらに「タスク接力」「ノート続き書き」「画面投影」といった機能も備え、Appleが得意とする「Handoff(ハンドオフ)」に近い体験を提供します。

また、iPadとの間では「iPadオフィススイート」を世界初搭載。 iPadとvivoスマホをつなぐことで、作業を引き継いだり、タブレット側からスマホを操作したりといった、クロスデバイス操作が可能になっています。

ただし、これらの機能もすべて「iPhoneまたはApple IDを介した接続」を前提としています。 つまり、Appleデバイスをまったく持っていないユーザーは、この“互通”機能を使うことはできません。

Apple WatchやAirPodsとの互通──限定的ながらデータ連携を実現

Apple Watchとの“互通”も発表内容に含まれていますが、これは「直接ペアリング」ではなく、iPhoneを経由して通知や健康データをvivo上に表示する仕組みです。 Apple WatchとAndroid端末を直接つなぐことは現時点では不可能であり、この機能はあくまで間接的なデータ共有にとどまります。

AirPodsについては、vivo上でバッテリー残量の確認や空間オーディオ(Spatial Audio)機能の利用が可能とされています。 こちらはBluetooth接続を利用しており、Appleデバイス以外でも一定の互換性があります。

 

 

「摇一摇」──スマホを振るだけでクロスブランド共有

vivo X300にはもう一つユニークな新機能「摇一摇(ヤオイーヤオ)」も搭載されています。 これはスマホを軽く振るだけで、周囲の端末(iPhoneやAndroid)と共有グループを即座に作成し、写真や動画を一括送信できるもの。 従来の「一対一」転送に対し、「一対多」を実現した進化版AirDropといえる仕組みです。

背景:中国市場で進む“Appleエコシステムの開放”

この「生态破壁」は、Appleの閉じた連携を外部から“模倣して繋ぐ”というアプローチです。 背景には、中国市場での競争激化があります。 すでにXiaomiが販売台数でAppleを上回るなど、Appleの優位性は揺らいでいます。

vivoの戦略は、Appleユーザーに「2台目のAndroid」として選ばれること。 iPhoneとvivoを同時に持つユーザーが、通知・写真・ファイルをシームレスに扱える環境を整えることで、 Appleから完全に移行せずともvivoのエコシステムに触れられる──そんな中間地帯を狙っているのです。

Appleへの影響:閉じた生態系をどう保つか

Appleの強みは、製品間の緻密な統合にあります。 しかしvivoのように外部から「擬似エコシステム」を築かれると、Appleはどこまで開放するかを改めて問われることになります。

とくに「Apple Intelligence」やN1チップによるデバイス間AIが進化する中、 セキュリティやプライバシーを保ちながらどこまで外部とつなぐか── Appleにとっても新たな課題が見えてきた形です。

まとめ:Appleを“持っている人”のためのAndroid

vivo X300の「全家桶生态破壁」は、AndroidがAppleの外側から“体験の橋”をかけた初めての試みでした。 ただしそれは、「Appleなしで完結するAndroid」ではなく、“Appleを持っている人のためのAndroid”です。

iPhoneやMacを軸にしつつ、vivoをもう一台の“サテライトデバイス”として使う── そんな未来のスマホのあり方を、中国メーカーが先に描いたとも言えるでしょう。

ではまた!

 

 

Source: IT之家