となりずむ

Appleを理解して翻訳する。それが「t0nAr1sm(となりずむ)」

Claudeの国籍確認にApple WalletのデジタルIDを使う案。米国限定でFable 5復活か

オレンジ色の背景に置かれた、白い放射状マークのClaudeアプリアイコン

✅この記事では、AppleのApple Walletに入っている「デジタルID(身分証)」が、AIのClaudeを使うときの本人確認に転用されるかもしれない、という9to5Macの見立てを整理します。

どうも、となりです。

AppleのApple Walletといえば、クレジットカードや交通系、最近では身分証を入れておく場所、という印象だと思います。その身分証の機能が、まさかAIを使うための本人確認に使えるのでは、という形で話題になりました。きっかけは、AnthropicのClaudeをめぐる少し込み入った事情です。事実と推測がからまりやすいので、ひとつずつほどいていきますね。

要点まとめ:Apple WalletのデジタルIDとClaudeをつなぐ推測

話の軸は、止まっているClaudeの上位モデルと、Apple WalletのデジタルIDをつなぐ推測です。

  • 9to5Macが、Apple WalletのデジタルIDを、Claudeの国籍確認に使えるのではないかと推測しています
  • 背景として、AnthropicのAIモデル「Fable 5」と「Mythos 5」が、米政府の輸出規制で全顧客向けに止められ、外国籍は使えない状態になっている、という報道があります
  • AppleのデジタルIDは、米国のパスポートや一部の州の運転免許証をiPhoneに入れて身分証にする仕組みです
  • ただしAnthropicが本人確認を全員に始めたわけではなく、担当者はPersona経由の確認は不正の疑いがある一部向けで、Fable・Mythosとは無関係だと説明しています
  • 日本から見ると外国籍として対象外で、そもそもデジタルID自体が国内では使えません
確定しているのは「9to5Macがそう推測した」ところまでで、Anthropicが採用を決めた事実はありません。日本のぼくたちは直接の当事者ではありませんが、本人確認でAIを使える人を絞る発想の最初の例として見ておく意味はあります。

 

「外国籍は使えない」とされるFable 5とMythos 5

まず、今回の話のきっかけになっている状況からです。9to5Macは、AnthropicのAIモデル「Fable 5」と「Mythos 5」が米政府による輸出規制の対象になり、全顧客向けに止められたと伝えています。きっかけは脱獄(ジェイルブレイク、安全装置を外す手口)が見つかったためとされ、その結果、米国内にいるか外にいるかを問わず、外国籍の人は使えない状態になっている、という内容です。

ここは温度を分けておきたいところです。輸出規制で止まったという部分は報道として伝えられていますが、脱獄が見つかったという経緯は「報じられている」レベルで、9to5Macの筆者自身も、これを本当に心配すべきかどうかは議論の余地がある、と前置きしています。Anthropicが正式にこの経緯を説明した、という話ではありません。

Mythosをめぐっては、以前MythosがMacのM5世代の防御を突破したとされる騒ぎもありました。今回の規制と同じ出来事だと結びつける材料はありませんが、安全性の取り扱いがたびたび話題になってきたモデルではあります。

Apple WalletのデジタルIDが本人確認の道具として浮上した理由

ここで急にApple Walletが出てくるのが、今回のおもしろいところです。Appleは昨年、iPhoneで使える「デジタルID」を始めました。米国のパスポートをApple Walletに入れて身分証として使える仕組みで、運転免許証のほうは州ごとに対応が進み、いまは14州とプエルトリコが対応していると説明されています。仕組みやプライバシー面の論点は、デジタル免許証は監視ツールなのかという整理でも噛み砕いています。

9to5Macの筆者は、ここから一歩踏み込んで推測しています。AnthropicがこのデジタルIDを使えば、利用者が米国市民かどうかを確認できるのではないか、という見立てです。もしAnthropicが米国市民だけに絞って本人確認できれば、止まっているFable 5を米国向けに復活させる道が開ける、という筋書きですね。

この推測には一応の足場があります。Anthropicは、開発者が自前で仕組みを持たなくてもユーザーの年齢を確認できるAppleの年齢確認APIを、数少ない採用企業のひとつとして使った実績があります。同じようにAppleの本人確認の仕組みに乗る、という流れは想像しやすい、というわけです。ただし、ここまではあくまで9to5Macの筆者の推測で、Anthropicが採用を決めたという発表はありません。

Anthropicが「もう本人確認を始めた」わけではない

この話に触れると、「Claudeを使うのに身分証が要るようになるのか」と不安になるかもしれませんが、いまの時点ではそこまでではありません。Claudeのプライバシーポリシーは数か月前に更新され、Persona(ペルソナ、サードパーティの本人確認サービス)を使った確認に触れる文言が加わりました。ただしこれは不正の疑いがあるアカウント向けで、全員が対象という話ではない、と説明されています。

実際、利用者の不安に対しては、Anthropicの担当者とされるThariqさん(@trq212)が直接答えています。

要点だけ日本語にすると、この本人確認はもともと4月に入れた仕組みで、不正の疑いでフラグが立った一部のアカウント向け、6月17日の更新は異議申し立ての手順を変えたもので、Fable 5やMythos 5の提供制限とは関係がない、という説明です。SNSでは「全ユーザーに本人確認が必須になる」という受け止めも広がっていますが、少なくとも担当者の説明はそれを否定しています。

日本のぼくたちにとって、この話は何を意味するか

では、日本にいるぼくたちにどう関係するか。正直に言うと、今の時点では直接の影響はほとんどありません。ただ、関係が薄いからこそ落ち着いて見ておきたいポイントが、ひとつあります。

まず、なぜ直接は関係しないのか。報じられている輸出規制が本当なら、外国籍にあたる日本のユーザーは、国籍を確認できるかどうか以前に、そもそもFable 5とMythos 5を使えない側に入ります。しかも、その確認に使えるかも、とされているApple WalletのデジタルID自体が、米国のパスポートや米国の州の免許証を前提にした、米国向けの仕組みです。日本でiPhoneに載せられるのはマイナンバーカードで、これはAppleのデジタルIDとは目的も作りも別物です。9to5Macの筆者自身も、iPhoneやパスポートを持たない人、対応していない州の人ははじかれる、と穴を認めていて、米国の中ですら全員はカバーできていません。

では、なぜこの話を取り上げるのか。「AIを使う資格を身分で確かめて絞る」という発想が、Apple Walletという具体的な道具とセットで語られ始めた、その最初の例だからです。今は米国と外国籍を分ける話でも、本人確認でサービスを使える人を区切る流れは、形を変えて日本のぼくたちのところにも降りてくるかもしれません。日本ユーザーとしては、まず「いま自分は対象ではない」と切り分けて余計な不安を持たずに済ませつつ、身分証がネットサービスの入口の鍵になっていく動きを、当事者になる前に眺めておける立ち位置にいます。

海外の反応:本人確認を求めることへの賛否

ここでは、Fable 5・Mythos 5の制限や、Claudeに本人確認を持ち込むこと自体をめぐる、同じ時期の海外の声を拾います。賛否がきれいに割れているのがおもしろいところです。

Anthropic is rolling out identity verification for "certain capabilities."

The verification provider is Persona, a 3rd party backed by Peter Thiel.

There is absolutely no way that I continue using Claude if this happens.

Anthropicが「一部の機能」向けに本人確認を導入しようとしている。確認を担うのはPersona、ピーター・ティールが出資するサードパーティだ。もし本当にこうなるなら、ぼくはもうClaudeを使い続けない。

@0xIlyy / X(2026年6月21日)

第三者に預けることへの拒否感。本人確認そのものより、自分の身分情報を外部のサービスに渡すことへの抵抗が前に出ています。

The backlash to Anthropic's limited Mythos/Fable rollout is bizarre. For years, an argument against AI regulation has been: 'Trust companies to do the right thing.' Anthropic makes a decision that costs it money to ensure safety and suddenly that's unacceptable?

AnthropicがMythos/Fableの提供を絞ったことへの反発は奇妙だ。ここ何年も、AI規制に反対する理由は「企業が自主的に正しく振る舞うと信じよう」だった。そのAnthropicが、安全のために身銭を切ってでも判断を下した途端、今度はそれが許せない、と?

Seth Bannon(@sethbannon)/ X(2026年6月10日)

制限を擁護する側。安全のためにコストを払った判断なのに叩かれるのはおかしい、という冷静な反論も出ています。

Let's hope the same backlash comes here, but not as hopeful

ここでも同じような反発が起きてほしい。ただ、そこまで期待はできないけれど。

overdrawn98901 / Privacy Guides フォーラム(2026年6月21日)

反発が届くか半信半疑。声を上げても覆らないかもしれない、というあきらめ混じりの見方もあります。

ひとこと:身分証が「鍵」になっていく流れの入口

今回の件で素直におもしろいと思ったのは、AIを使うための本人確認に、よりによってApple Walletの身分証が候補として挙がったことです。これまで決済や免許証のために用意されてきた仕組みが、まったく別の場所で「この人は誰か」を確かめる鍵として見られ始めている、という変化が見えます。

もちろん今回はあくまで9to5Macの筆者の推測で、Anthropicが動いたわけではありません。それでも、誰がどのサービスを使えるかを身分で振り分ける発想が、こうして具体的な道具とセットで語られるようになったこと自体は、頭の片隅に置いておきたいところです。日本にいると当事者にはなりにくいぶん、少し引いた目で眺められる話でもあります。

まとめ:確定は「9to5Macがそう推測した」ところまで

整理すると、確定しているのは、AnthropicのFable 5とMythos 5が輸出規制で外国籍に使えなくなったと報じられていること、そしてその状況を受けて9to5Macが、Apple WalletのデジタルIDで国籍を確認すれば米国向けに復活させられるのでは、と推測したこと、ここまでです。Anthropicがその採用を決めた事実はなく、いま動いているPersonaの本人確認も、担当者によれば不正対策向けの限定的なものです。

日本のぼくたちは、外国籍という入口の時点で対象から外れ、そもそもApple WalletのデジタルIDも国内では使えません。今すぐ何かをする話ではないので、身分証をiPhoneに載せる流れが、これからどこまで「使う資格の確認」に広がっていくかという一点だけ、気に留めておくくらいでちょうどいいと思います。

ではまた!

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Source:9to5MacX①X②X③Privacy Guides