
✅この記事では、Appleが進める「安全・プライベート・倫理的」なAI基盤について整理します。春ごろ予定のLLM(大規模言語モデル)版Siri、サードパーティAIとの付き合い方、そして「なぜ急がないのか」を一緒に確認していきます。
Siriが他社AIに“乗り換える”のではなく、Apple独自の「Apple Foundation Models」(基盤モデル)を土台に、必要な場面だけ外部モデルを呼び出す——という筋道なんです。
どうも、となりです。
難しい言葉が並びますが、要は「ちゃんと役に立つ音声アシスタントを、ちゃんと守れる仕組みで作り直す」という宣言に近い流れです。ここでは、道具立てと狙いを順番に見ていきます。
要点まとめ
- LLM版SiriはAppleの自社モデルが中核。会話調の命令も理解しやすくなるが、いわゆる雑談型の「チャットボット」にはしない方針。
- アプリ操作はApp Intents(アプリの意図)を強化。画面に出ている内容やアプリの機能を言葉でつなぎ、ひと声で実行できる世界観。
- MCP(Model Context Protocol)対応で、外部の仕組みからも“安全に”アプリ機能へ橋渡し。
- 他社の強力なモデル(例:Gemini、Claude、ChatGPTなど)は、AppleのPrivate Cloud Compute内に置いた専用環境で呼び出す構想。学習に使われない・残らない運用を徹底。
- 大風呂敷よりも品質優先。春の再始動に向けて、幻覚(誤答)率や混成実装の課題を詰めている段階。
詳細解説(仕組みと狙い)
1)Siriは「会話で命令→正確に実行」へ
これまでのSiriは、決め打ちの手順に強い反面、“言い方の難しさ”が残っていました。LLM版では、言い回しのゆらぎを拾って同じゴールに着地しやすくなります。とはいえ長話をする相棒ではなく、用件を自然に通す道具として磨く設計です。将来の拡張は、iOSのAI強化ロードマップ(関連:Apple Intelligenceの大幅強化)ともつながります。
2)App Intentsで“アプリの地図”を共有
開発者がアプリ機能へ案内図を用意し、Siriはそれを辿って処理します。たとえば「写真を選んで、名前を付けて、家族アルバムに入れて送る」を一息で。ショートカット作成も声だけで完結するイメージです。外部連携の基盤には、MCP(Model Context Protocol)対応が見えてきています。
3)サードパーティAIは“囲い込み”ではなく“囲いの中”で
Appleは特定モデルの「一本化」を選ぶのではなく、用途に応じて複数モデルを安全に使い分ける方向です。ここで効くのがPrivate Cloud Compute(PCC)。ユーザーのデータはApple管理のPCCサーバで処理され、外へ持ち出さない。他社モデルを呼ぶとしても、PCC内の“隔離環境”にロードして実行し、用が済めば破棄する、という流れです。
4)「Geminiを使う=屈服」ではない
見出しだけ追うと誤解しがちですが、仮にGoogleのモデルを使う場面があっても、主役はAppleの基盤モデル。検索的な“外の知識”が必要なときだけ、Geminiといった外部の力を、PCCの中で安全に借りる考え方です。つまり「乗り換え」ではなく「選べる補助エンジン」。
5)なぜ急がないのか:品質と信頼のための“長いゲーム”
Appleは2025年の早い段階で機能を詰め込みすぎた反省から、見せ場より完成度を優先しています。投資家受けは地味でも、誤答の抑制・権限管理・電力と環境の配慮までをひとつの設計図の中に入れ込むには、時間が要るというわけです。
注目したいポイント
- 道具の原点回帰:会話で「わかって動く」ほうに全振り。おしゃべりより“確実な操作”。
- 安全の作り込み:PCCで残さない・学習させないを徹底。複数モデルを“安全地帯”に呼び込む発想。
- 開発者の出番:App IntentsとMCPで、アプリの機能が音声から届く。Siriは“ハブ”になる。
ひとこと:派手さより「任せられる感じ」
LLMの魔法を見せるより、毎日の用事が一声で片づくことのほうが生活に響きます。Appleが描いているのは、会話で迷わず動くSiri、アプリと安全につながる通り道、そしてサードパーティAIを自分の庭の中でうまく使う構図。派手な演出は少なくても、任せられる相棒に近づく道としては筋が通っています。
まとめ:AIは“早さ”より“仕立て”
Appleは「自社モデルを中核」に据えつつ、必要なときだけ他社モデルの力を安全に借りる段取りを整えています。Siriはおしゃべり相手ではなく、生活のスイッチボードへ。派手さは控えめでも、仕立ての良さが後からじわっと伝わる戦略だと感じます。あなたは、AIに何を任せられたら“もう戻れない”と思いますか?
ではまた!
Source: AppleInsider