
✅この記事では、「iPhone Airの生産削減は事実ではない」とするTD Cowenの投資家向けノートを起点に、これまでの報道の食い違いと、2025年の見通しをやさしく整理します。数字の背景や“Airの立ち位置”も一緒に確認していきますね。
- 要点まとめ
- 食い違いの理由:サプライチェーンの“瞬間風速”とJIT
- “薄い=弱い”ではない:Airというプロダクトの見方
- 数字をもう一度:据え置きシナリオの中身
- 販売の波形:Pro先行→標準・Airへ、といういつもの循環
- 日本向けの注意点:店頭在庫と値引き“空気”に引っ張られない
- Airは“呼吸を整えるモデル”
- まとめ:数字は“断面”、体験は“流れ”
どうも、となりです。
ここ数日、「iPhone Airは不振で生産カット」という話がSNSや一部メディアで広まりましたよね。ところがAppleInsiderのまとめによると、TD Cowenは10月26日付のノートで「生産見通しは据え置き」と真っ向から否定。まずは事実ベースを整えておきましょう。
要点まとめ
- TD Cowen:「2025年のiPhone Air生産見通しは変更なし」。10月のビルド見通しも据え置き。
- 数量感:iPhone Airは2025年Q3=300万台、Q4=700万台の想定を維持。
- iPhone 17世代 全体:9月期5,400万台、12月期7,900万台のビルド見通しに変更なし。
- 相反する報道:10/17のみずほ証券(Airを100万台減)、10/22の郭明錤(Ming-Chi Kuo)、同日の日経(「11月は9月比“1割まで”に減速」という色の強い表現)。
- AppleInsiderは、TD Cowenのフィールドワーク(サプライチェーン調査)では据え置きだった点を重視。
食い違いの理由:サプライチェーンの“瞬間風速”とJIT
なぜここまで数字が割れるのか。ポイントは「Just in Time(必要なときに必要な分だけ作る)」というAppleの生産思想です。サプライヤー側の一時的な調整、機種ごとのライン配分、地域ごとの在庫最適化など、月単位の“瞬間風速”が観測点で違って見えることがあります。
加えて、需要の山は時期で動くんですよね。ローンチ直後はPro系が先に伸び、数ヶ月後に無印・e系が追いかけるのが近年の定番。Airは“中間の立ち位置”なので、既存パターンにそのまま当てはめるとズレが出やすいのも事実です。
“薄い=弱い”ではない:Airというプロダクトの見方
iPhone Airは、薄さ・軽さ・デザインを前に出したモデル。Proの“全部入り”とは違うけれど、日常体験の心地よさに振った提案です。初速の指標だけで「不振」と断じるのは早計かもしれません。以前まとめた生産カット観測記事でも、“数字の見え方”が報道で揺れやすい事情を整理しましたが、今回もその延長線上にある印象です。
数字をもう一度:据え置きシナリオの中身
- iPhone Air:2025年Q3=300万台、Q4=700万台(TD Cowen)。
- iPhone 17世代 合計:9月期=5,400万台、12月期=7,900万台(TD Cowen)。
- 相反情報:みずほ証券は「Airを100万台減、他モデルで+700万台増」観測。郭明錤・日経も縮小論寄り。
ここで大事なのは、「据え置き=強気」ではなく「現時点で中立」ということ。Appleは需要カーブを見ながら、数週間〜数ヶ月スパンで微調整できる体制です。だからこそ、単月の“切り取り”は、あくまで断面にすぎない——というわけです。
販売の波形:Pro先行→標準・Airへ、といういつもの循環
毎年の傾向として、ローンチ直後はProに注文が集中します。数ヶ月後、標準系(無印/e/今回のAir)に需要が移るのが定番。Airは価格も思想も中庸なので、用途が見えている層が選びやすい半面、「Proか、無印か」の分かれ目で比較検討に時間がかかるんですよね。ここが初速数字を読みにくくする理由のひとつです。
日本向けの注意点:店頭在庫と値引き“空気”に引っ張られない
国内だと、キャリアの販促や在庫の偏りが「売れてない感/足りない感」の空気を作ることがあります。その場の貼り紙や納期だけで“市場全体”を推測しないのがコツ。Airは薄さ・軽さ・持ち心地の価値が強いので、店頭での実機体験を挟んでから判断するとミスマッチが減ります。前回の観測記事でも触れましたが、「減産」見出しは刺激的でも、根拠の粒度は要チェックが合言葉です。
Airは“呼吸を整えるモデル”
個人的には、Airはラインナップ全体の呼吸を整える役だと思っています。Proで最先端を押し上げつつ、日常の気持ちよさを軽やかに提示する。そんな役割って大事なんですよね。数字も大事ですが、「この薄さが好き」と感じた人の手に届き続けること——それがブランドの体力になる、というわけです。
まとめ:数字は“断面”、体験は“流れ”
結論:現時点では、TD Cowenの据え置きで「Airの生産減断定」はいったん保留。みずほ証券/郭明錤/日経の“縮小論”も頭に置きつつ、AppleのJIT運用と需要の時間差を前提に読むのが良さそうです。薄さと持ち心地を推すAirは、立ち上がりより“ジワ伸び”の器。みなさんは、Airという選択、どう感じますか?
ではまた!
