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iOS 26.2、SideボタンでSiri以外の音声アシスタントも選択へ

青からピンクへのグラデーション壁紙を表示したiPhoneのロック画面を、片手で持ち上げている様子。画面上部にパンチホール型のフロントカメラ領域と、9:41の時刻表示が見える

✅この記事では、iOS 26.2 beta 3で見つかった「Sideボタン長押しでSiri以外の音声アシスタントも起動できるようになるかもしれない変更」を整理します。日本だけ先行しそうな理由や、背景にある法律との関係もまとめていきます。

どうも、となりです。

iPhoneのSideボタン長押しといえば、ずっとSiri専用のショートカットでしたよね。ただ、ここに来て「別の音声アシスタントを割り当てられるようになるのでは?」という動きがコードレベルで見えてきました。しかも、対象地域はまず日本のユーザーとされています。

今回はMacRumorsの記事をベースに、どんな変更が用意されているのか、日本の新しい法律とどう関係しているのか、そして将来的にEUなどへ広がる可能性まで、一気に見ていきます。

iOS 26.2 beta 3で見つかった変更点:要点まとめ

まずは、MacRumorsが伝えている内容をざっくり整理します。

  • iOS 26.2 beta 3の内部コードに、Sideボタン長押しの挙動を別アプリに割り当てるための文言が追加されている。
  • コードの場所はAppleのプライベートSiriフレームワーク内で、仮の文言として次のような文字列が含まれている。
    • 「Press and Hold to Speak is not available while the Side Button is assigned to %@.」
    • 「Select Another Default Side Button App」
    • 「The default Side Button app cannot be hidden. You can change your default apps in Settings.」など。
  • このコードから、Sideボタン長押しで起動する「デフォルトアプリ」をSiri以外に変更できる仕組みが用意されつつあると読める。
  • ただしAppleの現時点のドキュメントによると、この仕組みが利用できるのは「日本のApp Storeアカウントを持ち、日本にいるユーザー」に限られる予定と明記されている。
  • 候補として想定されるのは、たとえばGeminiやAlexaなどのサードパーティ音声アシスタントアプリ
  • EU向けにも同様の機能が将来提供される可能性はあるものの、iOS 26.2では日本限定の機能としてスタートする見込み。

現時点では、一般ユーザー向けの設定画面にこのスイッチが出ているわけではなく、あくまで「下準備が進んでいる段階」です。ただ、導入の方向性はかなりはっきりしてきたと言ってよさそうです。

 

 

背景:日本の「モバイルソフトウェア競争促進法」と音声アシスタント

なぜ、日本だけ先にSideボタンの解放が進むのか。その鍵になるのが、2025年8月に成立した「モバイルソフトウェア競争促進法(Mobile Software Competition Act)」です。

この法律では、iOSやAndroidのようなプラットフォーム事業者に対して、次のような義務が課されています。

  • 自社製アプリやサービスを優先しすぎてはいけない。
  • サードパーティのアプリにも、決済・検索・音声アシスタントなど「OSの中核機能」へのアクセスを開放すること
  • 特定のアプリをデフォルトに固定せず、ユーザーが簡単にデフォルトアプリを選べるようにすること

この「中核機能」の一つとして、まさに音声アシスタントやハードウェアボタンからの起動が挙げられているんですね。日本の法律は2025年12月に本格施行されるため、iOS 26.2のタイミングでSideボタンの仕様を見直すのは、規制対応として非常に筋が通っています。

すでにiOS 26.2では、日本向けに代替アプリストア対応や課金まわりの変更も進んでいます。Sideボタンの音声アシスタント解放も、その一連の流れの中にあると考えると、全体像が見えやすくなるはずです。

仕組みのイメージ:Sideボタンとデフォルト音声アシスタント

では、実際にどのような動きになるのでしょうか。現時点のコードから読み取れる範囲で、想定される挙動をイメージしてみます。

  • 設定アプリのどこかに「Sideボタン設定(Side Button Settings)」のような項目が追加される。
  • そこから、Siri・Gemini・Alexaなど、対応している音声アシスタントアプリを「デフォルトSideボタンアプリ」として選べる。
  • 一度デフォルトに設定したアプリは、「非表示にできない」「アプリロックの対象外」といった制約がかかる(コード内の文言からの推測)。
  • 対象アプリが地域の制約や開発側の事情でSideボタン対応から外れた場合、「もうSideボタンでは使えません。開発者に問い合わせてください」といったメッセージが表示される。

つまり、Sideボタン長押しは「音声アシスタント専用の入り口」であり続けつつ、その入り口の先にどのアシスタントを置くかをユーザーが選べる形になりそうです。

すでにiOS 26.1では、Siriの大規模アップデートや、サードパーティAIとの連携に向けた土台づくりが進んでいます。そこに、Sideボタン経由で他社アシスタントも選べる仕組みが加わると、「ボタンはApple、頭脳は複数AI」という構図がよりはっきりしてきますよね。

 

 

EUとの違い:DMAと日本のアプローチ

MacRumorsの記事では、当初「EUでも同様の機能が提供される」と書かれていましたが、現時点のAppleのドキュメントでは日本限定の機能であることが明示されていると、後から訂正されています。

もちろん、EUにもDMA(デジタル市場法)という強力な規制があります。DMAでは、Appleのようなゲートキーパー企業は、

  • OSや自社アシスタントが使えているハードウェア機能に、サードパーティアプリにもアクセスを開放すること
  • ブラウザや検索エンジンだけでなく、音声アシスタントも「デフォルトの切り替え」を簡単にできるようにすること

という趣旨の条文を含んでいます。Bloombergは以前から、「EUでもSiri以外の音声アシスタントをデフォルトに設定できるようにする案がAppleで検討されている」と報じてきました。

ただ、DMAはEU全体での運用調整や他社とのバランスも複雑で、細かいガイドラインが固まるまで時間がかかりやすい側面があります。その点、日本のモバイルソフトウェア競争促進法は、対象をモバイルOSとその上のアプリにかなりフォーカスしているので、実装イメージを描きやすいのかもしれません。

結果として、「EUよりも日本が先に“Sideボタンの解放”を体験する」という、少し意外な順番になりつつあるわけです。

注目したいポイント:Siriの“席を譲る”ことの意味

個人的にいちばん面白いのは、Appleが「Sideボタン長押し=Siri」という鉄板の組み合わせに、あえて余白を作ろうとしているところです。

多くの人は、「ハードウェアボタンは自社サービス専用にしたいのでは?」と思いがちですよね。ところが日本の法律を踏まえると、そこを開放しないままでは、App Storeや決済の自由度と同じレベルで批判されるリスクがあります。そう考えると、Sideボタンをサードパーティにも開く動きは、守りのための規制対応でありつつ、攻めの一手にもなり得ます。

というのも、ユーザーがGeminiやAlexaを選んだとしても、iPhoneというハードウェアとiOSという土台の上で動き続けるからです。Appleとしては、「ボタンの入り口は譲るけれど、体験の舞台はしっかり握っておく」というバランスを取りに来ているようにも見えます。

すでに「複数AIの共存」については、以前まとめたDMAとAppleの関係整理でも触れましたが、Appleは自社AIだけでなく、他社モデルとの共存を前提に戦略を組み立て始めています。Sideボタンの柔軟化は、その一部としてかなり象徴的な一歩になりそうです。

ひとこと:ボタンは一つ、声は複数という世界

Sideボタン長押しといえば「Hey Siri」を呼び出す合図、という感覚は長年のiPhoneユーザーにとって染み付いたものですよね。その「当たり前」の部分に手を入れてまで、Appleが第三者の音声アシスタントに席を用意するのは、日本の法律対応というだけでなく、今後のAI時代の主導権をどう握るかという話にもつながっているように感じます。

ボタンは一つだけれど、その先で待っている「声」は複数になっていく。そんな世界で、Siriがどう存在感を出していくのか、そしてユーザーがどんな組み合わせを選ぶのか。iOS 26.2は、その実験が本格的に動き始めるスタートラインなのかもしれませんね。

まとめ:日本発の「音声アシスタント自由化」が示すもの

  • iOS 26.2 beta 3では、Sideボタン長押しで起動する「デフォルト音声アシスタント」を選べる仕組みのコードが見つかっている。
  • Appleのドキュメントによると、まずは日本のApple IDを持ち、日本にいるユーザーだけが対象となる見込み。
  • 背景には、モバイルソフトウェア競争促進法による「OSの中核機能の開放」義務がある。
  • EUのDMAも同じ方向性を持っているが、Sideボタン周りの実装は日本が一歩先を行く形になりつつある。
  • AppleはSiriの特等席を完全に手放すわけではなく、「複数AIが共存するiPhone」の入り口としてSideボタンを再設計しているように見える。

音声アシスタントの世界は、これまで「どのOSを選ぶか」でおおよそ決まっていました。でも、iOS 26.2以降は、「どのOSの上で、どのアシスタントを組み合わせるか」という選び方に変わっていくかもしれません。日本発のこの動きが、世界のスマートフォンの標準的なスタイルにまで広がるのか、じっくり見ていきたいですね。

ではまた!

 

 

Source: MacRumors, Bloomberg