
✅この記事では、Appleが発表した「Hikawa Phone Grip & Stand」というiPhone向け新アクセサリを整理します。40年にわたるアクセシビリティへの取り組みを記念したアイテムで、「ただの変わったグリップ」以上の意味を持ったプロダクトになっているんです。
- Hikawa Phone Grip & Standってどんなアクセサリ?
- デザインのポイント:持ち方が固定されない「ゆるいガイド」
- アクセシビリティ40周年の象徴として
- 価格とバリエーション:なぜこの色なのか
- Redditの反応:デザイン批判と“読めば分かる”文脈
- 注目したいポイント:アクセシビリティを“周辺機器”にまで広げる意味
- ひとこと:派手なグリップに見えて、実は“聞く姿勢”のプロダクト
- まとめ:限定Hikawaグリップは、誰のためのアクセサリ?
どうも、となりです。
ここ最近のAppleは、iPhone Pocketのような限定コラボグッズを続けて投入していますよね。「今回のグリップもその流れでしょ?」と思いきや、中身をよく見ると、かなり本気のアクセシビリティプロジェクトでした。
この記事では、デザインの狙いと使い勝手、アクセシビリティとしての意味合い、そしてRedditの反応までまとめていきます。
Hikawa Phone Grip & Standってどんなアクセサリ?
今回のアクセサリは、ロサンゼルス在住のアーティスト/インダストリアルデザイナーであるBailey Hikawaさんとのコラボによる、MagSafe対応のiPhone用グリップ兼スタンドです。なお、2025年11月21日時点では日本のApple公式ストア/オンラインストアでは販売されておらず、購入は米国のApple Storeや海外ルート経由が前提となっています。
- 名称:Hikawa Phone Grip & Stand
- 価格:$69.95(約¥11,000)
- カラーバリエーション:Chartreuse(チャートリュース)と、AppleオンラインストアUS限定のCrater
- 対応:MagSafe対応iPhoneにマグネットで装着
- 役割:グリップ+縦置き/横置き両対応のスタンド
- 位置づけ:Appleのアクセシビリティ40周年を祝う限定アクセサリ第2弾
表面的には「個性的な色と形のMagSafeグリップ」に見えますが、企画の出発点はアクセシビリティ。最初から「手の力が弱い人・指の動きに制約がある人」にとって扱いやすい形状を目指して設計されています。
デザインのポイント:持ち方が固定されない「ゆるいガイド」
Hikawa Phone Grip & Standの形状は、よくあるリング型グリップとも、カード型スタンドとも違います。複数のふくらみとカーブが組み合わさった、有機的な“かたまり”のようなデザインが特徴です。
- 複数の持ち方を想定した形:指を引っかける・手のひらで支える・机の上で押さえる…といった、さまざまな持ち方に対応できるように設計。
- シリコーン素材のソフトな手触り:グリップ力を高めつつ、長時間持っていても指や手が痛くなりにくいよう配慮。
- 縦/横スタンドにもなる:動画視聴やビデオ通話で使うことも想定し、2種類の角度で支えられるようになっています。
Hikawaさんは、デザインプロセスの中で筋力低下や手指のコントロールが難しいユーザーへのインタビューを重ねたと語っています。「特定の持ち方を強制する」のではなく、人それぞれの握り方を受け止める“余白”を残した形というのがポイントですね。
同じく限定コラボだったiPhone Pocketのコラボバッグをレビューした記事でも触れましたが、Appleは最近、「使い方を固定しないアクセサリ」を意識的に増やしている印象があります。
アクセシビリティ40周年の象徴として
今回のグリップは、Appleの「アクセシビリティ40周年」という節目に合わせた第2弾アイテムでもあります(第1弾がiPhone Pocket)。
9to5Macの記事では、Appleのアクセシビリティ部門トップであるSarah Herrlingerさんが、Elle Decorのインタビューの中で次のように語っています(要約)。
- 「MagSafeアクセサリで、コミュニティに本当に役立つものを作りたかった」
- 「これはあくまで数あるアクセシビリティ関連アクセサリの1つで、特定の人にとって大きな助けになる」
- 「実際にさまざまなコミュニティに届いたとき、どう使われていくのかを見るのが楽しみ」
アクセシビリティ機能というと、どうしてもソフトウェアの設定に目が向きがちです。実際、App Storeのアクセシビリティ・ニュートリションラベルや、Braille Access、ライブキャプション、拡大鏡など、ここ数年だけでも機能追加のペースはかなり速くなっています。
一方で、「そもそもiPhone本体を手に持つこと」が負担になるユーザーもいます。このギャップを埋めるために、ハードウェアとしての“補助具”をApple自身が提供したという意味は、見た目以上に大きいと感じました。
iPhoneを身につける文脈でいうと、先日レビューしたiPhone Pocketの在庫状況を追った記事でも、肩掛けスタイルや手ぶらでの持ち運びニーズがかなり強いことが見えてきましたよね。そこに「握りやすさ」という軸が加わってきたのが今回のグリップだと見ることもできます。
価格とバリエーション:なぜこの色なのか
価格は$69.95(約¥11,000)と、ケース単体と同じかそれ以上のレンジに入ってきます。通常のリング型グリップや汎用MagSafeスタンドと比べると、かなり“攻めた”価格設定に感じる人も多そうです。
カラーバリエーションは、チャートリュース(強めのライムグリーン系)と、USオンライン限定のCrater(リサイクル素材を使ったグレー基調のカラー)の2色。どちらも「ファッションとして目立つ」というより、視認性を優先した色選びに見えます。
なお、2025年11月21日時点で確認したかぎりでは、Hikawa Phone Grip & Standは米国のApple Store(実店舗)およびApple公式オンラインストア限定の取り扱いとなっており、日本国内のApple Store店舗やApple公式オンラインストアでは商品ページが見つかりませんでした。日本から入手する場合は、米国向けオンラインストアへのアクセスや現地店舗での購入、あるいはHikawa本人のオンラインストアなど、海外ルートを利用する前提になりそうです。
Redditでも、「色が派手すぎる」「セメント塗料みたい」といった反応と同時に、「視認性のための色だからこそ意味がある」というコメントが並んでいました。たとえば、視力が落ちているユーザーがテーブルの上からiPhoneを探すとき、本体とはまったく違う色のアクセサリが付いていると見つけやすくなります。
以前、iPhone Pocketをめぐるグッズ展開を整理したコラボバッグのレビュー記事でも触れましたが、Appleは「ファッション×実用」を両立させる際に、視認性や安全性をかなり気にしているように見えます。
Redditの反応:デザイン批判と“読めば分かる”文脈
Redditでもこのグリップはそこそこの話題になっていて、コメント欄はざっくり次のような空気感でした。
- 「見た目がイマイチ」「ポケットには収まらなそう」など、第一印象でデザインを批判する声。
- 説明文を読んだ上で、「アクセシビリティ目的なら納得」「こういう方向性は応援したい」という擁護派。
- 医療現場の人からは、「握力が弱い患者のための補助具として、とても理にかなっている」というコメントも。
- 一方で、「機能性をアピールするなら、もっと装着例の写真や動画を増やすべき」という指摘もありました。
- 「自分は健常者だけれど、家の中用のスタンドとして欲しい」「ベッドで動画を見るときに良さそう」と、アクセシビリティ用途以外の使い方を想像する声も。
全体としては、「見た目だけ切り取ると賛否」「文脈を知ると評価が変わる」という、いかにもアクセシビリティ系プロダクトらしい反応になっていました。
注目したいポイント:アクセシビリティを“周辺機器”にまで広げる意味
ここからは、今回のHikawa Phone Grip & Standで個人的に面白いと感じたポイントを、3つに分けて整理してみます。
1. 「アクセシビリティ=OSの設定」のイメージから一歩前へ
まず1つ目は、アクセシビリティの話題がソフトウェアの設定画面だけに閉じないところまで来た、という点です。
これまでAppleのアクセシビリティといえば、VoiceOverやAssistiveTouch、拡大鏡など、OSの設定画面で完結する機能が中心でした。もちろんそれらも非常に重要ですが、日常の中でユーザーが直面するのは、「そもそも端末を落とさず持てるか」「姿勢を変えずに画面を見続けられるか」といった物理的な問題もあります。
今回のグリップは、そのギャップを埋めるための一手として分かりやすい例ですよね。Apple純正のMagSafeアクセサリとして、「アクセシビリティのためのハードウェア」を堂々とラインナップに入れたこと自体に意味があると感じます。
2. 限定コラボを“社会的なメッセージ”に使い始めている
2つ目は、「限定コラボ=話題づくり」から、社会的なメッセージの発信へと軸が移りつつあるかもしれない、という視点です。
iPhone Pocketは、ISSEY MIYAKEとのコラボという話題性が先行した印象もありましたが、実際には「スマホを身につける」という新しいスタイルの提案でもありました。その後、さまざまな派生グッズが出ていることは、完売状況を追った在庫推移のまとめ記事からも分かります。
今回のHikawa Phone Grip & Standは、そこにアクセシビリティという明確なメッセージを重ねた形です。限定アイテムという「目立ちやすい枠」を、単なるコレクションアイテムではなく、「こんなニーズがあるんだ」と伝えるための看板として使っているようにも見えます。
3. 「健常者も欲しくなるアクセシビリティ」が理想形かもしれない
3つ目は、「アクセシビリティ向けに作られたものが、結果的に多くの人にとっても便利になる」という構図です。
たとえば、今回のグリップは「ポケットには入れづらいけれど、家の中で使うにはちょうどいい」「ソファやベッドの上でのスタンドとして優秀そう」といった声も多く、アクセシビリティの枠を超えた使い道が自然と語られていました。
これは、バリアフリーな街づくりやユニバーサルデザインの文脈でもよく言われることですが、特定の人のために工夫したデザインが、結果として多くの人を助けることは少なくありません。今回のグリップも、その一例になり得るアイテムだと思います。
ひとこと:派手なグリップに見えて、実は“聞く姿勢”のプロダクト
一見すると、「派手な色の大きなグリップだな」「ポケットには入りづらそうだな」と感じる人も多いはずです。でも、その裏側には実際の当事者へのインタビューや、手の動かし方に関する細かな観察が積み重なっています。
個人的には、このHikawa Phone Grip & Standは、Appleが「アクセシビリティ40周年」を単なる記念ロゴで終わらせず、具体的なプロダクトとして形にしようとしている象徴の1つだと感じました。派手なカラーリングの中に、「ちゃんと話を聞きました」というメッセージが込められているような、そんなアクセサリです。
まとめ:限定Hikawaグリップは、誰のためのアクセサリ?
- Hikawa Phone Grip & Standは、アクセシビリティ40周年を記念した、MagSafe対応のiPhone用グリップ兼スタンドです。
- 筋力や手指のコントロールに課題を持つユーザーの声を元に、複数の持ち方を支える有機的な形状とシリコーン素材が採用されています。
- 価格は$69.95(約¥11,000)で、チャートリュースとCraterという視認性重視の2色展開。USオンライン限定カラーも存在します。
- 日本のApple公式ストアでは、2025年11月21日時点で取り扱いが確認できず、現状は米国のApple Storeやデザイナー本人のオンラインストア経由での入手が中心になりそうです。
- Redditではデザインへの賛否がありつつも、「文脈を知ると評価が変わる」「家の中用スタンドとしても魅力的」といった前向きな意見も多く見られました。
- ソフトウェア機能だけでなく、周辺機器レベルまでアクセシビリティを広げていくAppleの姿勢が見えるプロダクトであり、今後の限定アクセサリの方向性を占う1つのサンプルになりそうです。
ファッションアイテムとして見るか、補助具として見るか、あるいはその両方として楽しむか。iPhone Pocketとセットで眺めてみると、Appleがここ数年で描いている「身につけるiPhone」の路線も見えてきます。あなたは、このHikawaグリップをどんなシーンで使ってみたいですか?
ではまた!
Source: 9to5Mac, Apple, Reddit
※換算は $1=¥157 前後を想定した概算です。