
✅この記事では、折りたたみiPhone「iPhone Ultra」向けのApple Pencilが試作されながら発売されないと報じられた件を、どこで止まったのかまで追います。
- 要点まとめ:試作までされたペンが、なぜ製品にならなかったのか
- Appleは、折りたたみ用のペンを実際に作っていた
- テストで引っかかったのは、ペンの置き場所だった
- もう1つの理由は、内側の画面がまだ柔らかいこと
- 市販のタッチペンでも動く。ただし細い線は引けない
- 手書き目当てで待っていた人は、どこで分かれるか
- 【追記】読みが外れました。Apple Pencil(USB-C)は年内にサポート予定
- 海外の反応:ペンをどこにしまうのか、という話に集まっています
- ひとこと:作ったうえで置いていった、というのが今回のいちばん面白いところ
- まとめ:初代からApple Pencil(USB-C)が使えます
どうも、となりです。
折りたたみのiPhoneが出たら、あの大きな内側の画面に直接書けたらいいのに。そう考えていた人は、けっこういたと思います。小さいタブレットを持ち歩く理由が1つ減るかもしれない、という期待の持ち方です。
Bloombergのマーク・ガーマン氏が、その答えらしきものを書きました。Appleは折りたたみiPhone用のApple Pencilを社内で試作して、テストして、発売するかどうかまで検討していた。ただし実際に出る可能性は極めて低いそうです。作らなかったのではなく、作ったうえで置いていったわけです。
要点まとめ:試作までされたペンが、なぜ製品にならなかったのか
- Appleは折りたたみiPhone向けのApple Pencilを社内で試作・テストし、発売も検討していたとガーマン氏が伝えています
- 試作品はiPad用より太くて短い形で、本体の側面に磁石で貼り付いて充電する仕組みだったとされます
- テストで引っかかったのは、閉じた本体の長い側面にペンが並ぶこと。付けたままだと開くのに邪魔で、使わない日も外す動きが要ります
- もう1つの懸念が、デリケートな内側の画面にペンが見苦しい跡を残すこと
- 初代には同梱されず、USB-C版を含めた既存のApple Pencilとの互換も期待できないとされます
今回の中身はガーマン氏がニュースレターで書いたもので、Apple自身は試作の存在にも見送りにも触れていません。ペンの形と磁石の位置、テストで何が起きたかまで具体が並ぶ点は、社内の動きに近い人からの話らしいところです。折りたたみiPhoneまわりの噂は出どころ別に噂ヒートマップへ並べています。
Appleは、折りたたみ用のペンを実際に作っていた
折りたたみiPhoneにペンが来るのかどうかは、去年からずっと外側で言われていた話でした。画面の大きさから考えれば欲しくなるし、薄さから考えれば難しそう、というところで止まっていたわけです。今回そこへ、Appleが実際に手を動かしていたという話が乗りました。
ガーマン氏によると、Appleは折りたたみiPhone用のApple Pencilを社内で試作し、テストし、発売するかどうかまで検討したとのことです。ただし出る可能性は極めて低い、という書き方をしています。
形も具体的です。iPad用のApple Pencilより太くて短い。iPhone Ultraのほうが高さが低いので、それに合わせたということのようです。そして本体の側面に磁石で貼り付き、そこで充電する。これは現行のApple Pencilと同じやり方で、Apple公式のApple Pencilのページにも「ペアリング、充電、保管は、iPadの側面にマグネットで取りつけるだけ」と書かれています。
つまり、まったく新しい何かを発明しようとしたわけではないんですね。すでにうまくいっているやり方を、そのまま小さくして持ってきた。そして引っかかったのが、まさにその持ってきたやり方のほうでした。
テストで引っかかったのは、ペンの置き場所だった

iPadなら、ペンは上の辺に付きます。横向きで使っているときの上、つまり画面から遠いところです。ところが折りたたみiPhoneを閉じると、いちばん長い辺は横ではなく縦になる。ペンは、開くときに指をかける側面と同じ場所に並びます。
AppleInsiderは、そこが煩わしいと書いています。ペンを付けたまま開こうとすると邪魔になるので、その日ペンを使うつもりがなくても、開くために一度外すことになる。9to5Macのほうは、開いたあとの持ちにくさとして書いていて、切り出しは少し違いますが、指しているのは同じ側面です。
引っかかったのが技術ではない、というのがここの肝です。ペン自体は作れている。太さも決まって、磁石も付いて、充電もできている。それでも製品にならなかったのは、そのペンをどこへ置くかが決まらなかったから。iPadでは答えだった側面が、開く道具では答えにならなかった、という話です。
逆に言えば、ここは設計で動かせる余地がある層でもあります。しまい方さえ変えられれば、同じ問題は消えます。
もう1つの理由は、内側の画面がまだ柔らかいこと

もう1つ挙がっているのが、画面のほうです。折りたたみの内側は、普通のガラスよりやわらかい。曲げるためにそうなっているので、これは仕様というより前提に近いものです。そこへ硬いペン先を押し当てて何時間も書いたら、跡が残るのではないか。ガーマン氏は「見苦しい跡」という言い方をしたと伝えられています。
置き場所の話と並べると、性質がだいぶ違うのが分かります。側面のほうは、しまい方を変えれば解ける。画面のほうは、折りたためる素材を使っているかぎり付いて回ります。ペン先を柔らかくする、圧を制限する、といった逃げ道はありますが、そのぶん書き心地は普通のペンから遠ざかります。
置き場所と画面という性質の違う2つが同時に出てきたのが、今回の見送りをそれらしくしているところだと思います。片方だけなら、次の世代でどうにかなりそうな話でした。
ガーマン氏はもう1つ、スティーブ・ジョブズ氏の姿勢とぶつけたくないのではないか、とも書いています。2007年の初代iPhoneで「Who wants a stylus?(誰がスタイラスを欲しがるんだ)」「If you see a stylus, they blew it(スタイラスが見えたら、それは失敗だ)」と言い切った、あれです。ただこちらは本人の見立てで、テストで何が起きたかという話とは温度が違います。あれから19年経っていますし、そこを理由の柱に置くのは、ぼくは少し行き過ぎな気がしています。
市販のタッチペンでも動く。ただし細い線は引けない
では、家にあるタッチペンならどうなのか。ここはAppleInsiderが1段落だけ書いていて、答えは動きます、です。市販の静電容量式スタイラス、つまりゴムの先が付いたものや充電して使うタイプは、指が出している電気の信号をまねる仕組みなので、iPhoneが相手なら普通に反応します。
ただし、そこから先が別です。同じ記事は精度には効かないとはっきり書いていて、ここは期待しすぎないほうがいい部分です。指の代わりが務まるということは、指と同じ太さで画面に触れているということでもあるので、線を細く引いたり、狙った1点を押さえたりする用途には向きません。メモの走り書きや、画面を汚したくないときの操作なら十分ですが、絵を描く道具としては別物です。
そして初代のiPhone Ultraで諦めることになりそうなもののリストに、ペンも並ぶことになります。AppleInsiderは、初代にはスタイラスが同梱されず、USB-C版を含めた既存のApple Pencilとの互換も期待すべきではないとしています。手持ちのApple Pencilを持ってくれば動く、という話ではないわけです。
ここは正直、いちばん気持ちが下がるところでした。使えないのではなく、使えるけれど別物、という距離がいちばん惜しい。
手書き目当てで待っていた人は、どこで分かれるか
分かれ目は、手書きを何に使っているかです。同じ「ペンが使えない」でも、絵を描く人と、会議のメモを取る人では、今回の報道で動いたものがまるで違います。ここを一緒くたに残念がると、必要のない買い替えの見送りまで背負うことになります。
| 今の使い方 | 今回動いたこと | 中身 |
|---|---|---|
| タブレットで絵やイラストを描いている | 置き換えの前提が消えた | 市販のタッチペンでは線の細さも狙った位置も出ません。初代のiPhone Ultraは、描く道具としては候補から外れます |
| 手書きは会議や買い物のメモ程度 | ほとんど動いていない | 市販のタッチペンで足ります。もともと精度の要る使い方をしていないので、ペンの有無で機種を選ぶ理由は薄いままです |
| タブレットを手放して1台にまとめたい | まとめられる範囲が縮んだ | 読む・見る・書き込みの少ない作業なら1台で回ります。手書きが仕事の中心にあるなら、今の1台は残る前提になります |
| ペンには興味がなく、大きい画面が目当て | 何も動いていない | 今回の話は同梱物と対応の範囲についてで、画面や本体の仕様には触れていません |
言い方を変えると、今回の報道でいちばん影響を受けるのは、iPhone Ultraを1台目のスケッチブックにするつもりだった人だけです。それ以外の人にとっては、9月の判断材料が1つ増えたくらいの話に収まります。
1台にまとめたい人にとっては残念な結論だと思います。ただ、置き場所と画面の説明が並んだあとだと、まあそうだよなという納得のほうが先に来ました。
【追記】読みが外れました。Apple Pencil(USB-C)は年内にサポート予定
9月9日(現地時間)、正式名称「iPhone Duo」の発表と合わせて、AppleはApple Pencil(USB-C)を年内にサポートする予定だと明らかにしました。「試作までしたが発売の可能性は極めて低い」というガーマン氏の見立てとは逆の結果です。
専用の新型ペンではなく、既存のApple Pencil(USB-C)をそのまま使う形での対応とされています。本文で見てきた「作ったうえで置いていった」という筋書きは、少なくとも初代モデルの発売時点では成立しませんでした。手書き目当てで待っていた人にとっては、初代から使える機能が1つ増えたことになります。
報道が出た直後の反応を拾うと、ペンの性能より「どこにしまうのか」を巡る話が目立ちました。過去にペン付きの端末を使っていた人の実感が混ざっているのが、今回の面白いところです。
海外の反応:ペンをどこにしまうのか、という話に集まっています
A stylus is one of the reasons I used a Samsung Note for years. It is very handy to have and use. But, they need to be stored inside the phone body, which is what Samsung did.
スタイラスがあることは、自分が何年もSamsungのNoteを使っていた理由の1つだ。持っていて使えるのはとても便利だ。ただ、ペンは本体の中にしまえる必要がある。Samsungがやったのはそれだ。
本体の中か、外か。実際にペン付きの端末を長く使った人が真っ先に挙げたのが収納でした。側面へ貼り付ける方式が引っかかったという今回の報道と、きれいに噛み合っています。
The funny part is durability. Foldable displays are still soft enough that pressure from a fingernail can leave marks, so Apple couldn’t simply use a normal Pencil tip. It would probably need a special softer or pressure-limiting design, similar to Samsung’s Fold-specific S Pen.
おかしいのは耐久性の話だ。折りたたみのディスプレイは、爪の圧でも跡が残る程度にはまだ柔らかい。だからAppleは普通のPencilのペン先をそのまま使うわけにいかない。おそらく、SamsungのFold専用S Penのように、柔らかいか圧を制限する特別な設計が要るだろう。
ペン先から変える話になる。画面が柔らかいという前提を認めたうえで、ならば専用のペン先が要るはずだという読み方です。そこまでやる価値があるかどうかが、初代で見送られた判断そのものだったのだと思います。
The whole reason we still have iPads is the pencil. If the iPhone also had one, the iPad Mini would become pointless and it would get cannibalized by the cheaper iPhone Ultra (which would maybe less than cost of an iPhone + cost of an iPad Mini). I think a pencil would be awesome for the iPhone but Apple doesn't want to kill the iPad mini.
そもそも今もiPadがある理由はペンだ。iPhoneにもペンが付いたら、iPad Miniは意味がなくなって、より安いiPhone Ultraに食われてしまう(iPhone1台とiPad Mini1台を足した値段より安くなるかもしれないのだから)。iPhoneにペンがあれば最高だと思うが、Appleはメーカーとして自分のiPad miniを殺したくないのだろう。
売り方の側から見た理由づけ。技術ではなく製品の並びが理由ではないか、という見方です。報道にそう書かれているわけではなく、あくまでコメント欄で出た推測なので、そのまま並べておきます。
I have 10 perfect styluses right here
完璧なスタイラスなら、ここに10本ある。
19年前の言い分は、まだ生きている。指が10本あるという、ジョブズ氏の言い回しをそのままなぞった一言です。見送りを歓迎する側の声も、ちゃんと混ざっています。
That would be something quickly lost.
そういうものは、すぐになくす。
これも置き場所の話です。本体の外に貼り付けるものは、いつか外して、どこかへ置く。開くたびに外す設計だと、なくす回数がそのまま増えます。
ひとこと:作ったうえで置いていった、というのが今回のいちばん面白いところ
正直、この手の話でいちばん読みたいのは「検討しました」より「作ってみて、こう困りました」のほうです。今回はそれが出てきました。ペンの太さを変えて、磁石の位置を決めて、実際に開け閉めしてみて、これは違うなとなった。その過程が想像できるだけで、折りたたみiPhoneという製品の輪郭が少し具体的になった気がします。
個人的には、次の世代でもう一度出てきてほしいところですが…。ペンを本体の中にしまえる形にするには、あの薄さでは場所が足りない。そこが解けない限り、同じ壁にぶつかりそうな気もしています。
まとめ:初代からApple Pencil(USB-C)が使えます
結果としてはっきりしたのは、Appleがこの組み合わせを検討していただけでなく、初代のiPhone Duoから対応させたということです。手書きを主目的にした買い替えも、選択肢として成立するようになりました。
ペンをどこに収めるかという置き場所の設計については、Appleからの案内はありません。専用ケースの「iPhone Duo Folio」「iPhone Duo Case」も同時に発表されているので、そちらでの対応を待つ形になります。
手書きが選択肢に戻ってきた分、次に気になるのはiPhone 18 Proとどちらを選ぶかです。カメラや認証まわりの差はiPhone 18 Proと折りたたみで決定的に違うところにまとめてあります。
ではまた!
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本文で書いた静電容量式のタッチペンがこの形です。透明の円盤とゴムの2種類のペン先が付いていて、円盤側は先端が見える分、狙った位置は押さえやすくなります。それでも線の細さはApple Pencilとは別物なので、メモや操作用と考えたほうが期待どおりです。2本セットで1,399円(2026年8月31日時点)。
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更新履歴
- 2026年9月11日:Apple Pencil(USB-C)の年内サポートが発表されたことを追記しました