
✅この記事では、ジョニー・アイブ氏らが関わったフェラーリ初の完全EV「Ferrari Luce」について、Apple Carの影、物理ボタン重視の内装、そして株価急落まで含めて見ていきます。
- 要点まとめ:Ferrari Luceで見えたApple流デザインの賭け
- LuceはApple Carそのものではない。でも影は濃い
- 物理ボタンへの回帰は、古さではなく車内操作の現実
- 問題は速さではなく、フェラーリらしさの置き場所
- 株価急落は、デザインだけの話にしないほうがいい
- 海外の反応:Apple Carなら分かる。でもフェラーリなら別
- ひとこと:Appleの外へ出たIveデザインは、より厳しく見られる
- まとめ:Ferrari LuceはApple Carの答えではなく、Iveデザインの次の試験台
どうも、となりです。
フェラーリの新型EVに、元Appleのジョニー・アイブ(Jony Ive)氏が関わった。これだけなら、夢のある話に見えます。
でも、発表後の反応はきれいに割れています。内装の物理スイッチを評価する声がある一方で、外装については「フェラーリらしくない」という反発が強めです。欧州市場ではフェラーリ株が一時約8%下げたとも報じられました。
Ferrari Luceは、Appleが作れなかったApple Carの代わりではありません。ただ、「画面中心の未来」に対して、触れる操作をどう残すかという意味では、Appleらしい問いを抱えた車に見えます。
要点まとめ:Ferrari Luceで見えたApple流デザインの賭け
- Ferrari Luceは、フェラーリ初の完全電気自動車として発表されたEVスーパーカーです。
- LoveFromのジョニー・アイブ氏とマーク・ニューソン(Marc Newson)氏が、外装・内装・インターフェースを貫くデザインに関わったとされています。
- 4基の電気モーター、最高出力1,035馬力、122kWhバッテリー、0-100km/h加速2.5秒という強いスペックを持ちます。
- 欧州価格は550,000ユーロ、ドル換算で約640,000ドル相当とされ、生産開始は2026年後半、米国発売は2027年第2四半期の予定です。米国価格はまだ明らかになっていません。
- 内装はタッチパネル一辺倒ではなく、ボタン、ダイヤル、トグル、スイッチを重視しています。
- 一方で外装は「フェラーリらしさが薄い」と批判され、市場反応も厳しいものになりました。
LuceはApple Carそのものではない。でも影は濃い
まず大事なのは、Ferrari Luceを「幻のApple Carそのもの」と言い切らないことです。Appleの自動車プロジェクトは2024年に中止されたと報じられており、LuceはフェラーリとLoveFromの提携から生まれた車です。
ただ、Appleとの距離が完全に切れて見えるかというと、そうでもありません。ジョニー・アイブ氏はAppleでiMac、iPod、iPhoneなどのデザインを率いた人物です。LoveFromは2019年に設立され、フェラーリとの提携は2021年に正式化されています。

MacRumorsは、Ferrariの説明をもとに、LoveFromが外装、内装、インターフェースを単一のデザイン言語でつないだと伝えています。つまり、内装だけを少し手伝ったというより、車全体の見え方と触り方をまとめて設計する仕事だったと見るのが自然です。
ここがAppleの話とつながります。Apple製品のデザインは、部品の形だけではなく、触る順番、迷わなさ、手に入った瞬間の納得感まで含めて設計されてきました。過去にiPhoneのデザイン哲学でも触れたように、Appleの「美しさ」はいつも実用とのせめぎ合いの中にあります。Luceは、そのせめぎ合いがフェラーリの世界へ持ち込まれた車なんですよね。
物理ボタンへの回帰は、古さではなく車内操作の現実

Luceの内装でいちばんAppleっぽいようで、実は少し反Apple的にも見えるのが、物理コントロールの多さです。ボタン、ダイヤル、トグル、スイッチを多く残し、OLEDセンターディスプレイやアナログ風の時計、ヴィンテージ風の計器表示と組み合わせています。

スマホなら、画面に集約することで操作は強くなりました。iPhoneはまさにその代表です。でも車では、画面を見る時間が長くなるほど危なくなります。走行中の温度調整、音量変更、モード切り替えは、目で探すより手で分かるほうが安心です。
だから、Luceの物理スイッチ重視は単なる懐古趣味ではありません。車内では「きれいな画面」より「見なくても触れる操作」が価値になる場面があります。AppleがiPhoneで広げたタッチUIの思想を、アイブ氏自身が車内では一度引き戻しているように見えるのが面白いところです。
Liquid GlassのようなUIでも同じですが、見た目の新しさは、押せる、読める、迷わないという感覚とセットで初めて成立します。Luceの内装は、車の中ではその答えが画面の中だけにない、と言っているように見えます。
問題は速さではなく、フェラーリらしさの置き場所
スペックだけ見ると、Ferrari Luceは弱い車ではありません。4基の電気モーターで最高出力1,035馬力、122kWhバッテリー、0-100km/h加速2.5秒。数字だけなら、フェラーリ初EVとして十分に強いです。
でも、フェラーリで問題になるのは数字だけではありません。V12の音、低く構えた姿、エンジンを中心にした緊張感、運転席へ座る前から伝わる「これはフェラーリだ」という空気。EVになると、その一部はどうしても変わります。
MacRumorsがFerrariの説明として伝えるところでは、Luceは、シェルのようなフォルム、浮遊感のある前後エアロダイナミックウィング、4枚のセンターオープニングドア、2本の細いストリップ状ヘッドライトを採用しています。空気抵抗係数はフェラーリ史上もっとも低いとされます。理屈としては筋が通っています。
ただ、理屈が通っていることと、ブランドの顔として受け入れられることは別です。Luceへの反発は、EV化そのものへの拒否というより、「フェラーリの記憶をどこに残すのか」への不安に近いと思います。
株価急落は、デザインだけの話にしないほうがいい
Yahoo!ニュースがBloomberg配信として伝えたところでは、Luceの発表後、欧州市場でフェラーリ株は一時約8%下落しました。見た目への反発が市場にも出た、という受け止め方は分かりやすいです。
ただ、株価の動きはひとつの理由だけで決まるものではありません。高級車ブランドが初のEVを出すとき、投資家が見るのはデザインだけではなく、利益率、生産計画、既存顧客の反応、EV市場全体の伸び方、そして価格帯の妥当性です。
55万ユーロ、ドル換算で約64万ドル相当という価格は、普通のEV市場とは別世界です。ここでは「高性能だから売れる」では足りません。買う人は、速さだけでなく、物語、希少性、ブランドの連続性まで含めてお金を払います。
その意味で、株価の下落はLuceのデザイン失敗とだけ読むより、フェラーリがEV時代の物語をまだ十分に納得させきれていないという反応として見たほうが近いです。日本での発売日や価格は、現時点では具体的に見えていません。
海外の反応:Apple Carなら分かる。でもフェラーリなら別
海外の反応では、外装への批判が目立ちます。一方で、内装の物理スイッチや操作系には好意的な声もあり、全部が否定一色というわけではありません。
This design killed any "Ferrari vibes".
このデザインは「フェラーリらしさ」を消してしまった。
ブランド感への反発:いちばん強い拒否反応は、EVであることよりも「フェラーリに見えない」ことへ向いています。高級スポーツカーでは、見た瞬間の納得感も性能の一部なんですよね。
I think the interior in this car is cool AF.
この車の内装はすごくいいと思う。
内装は別評価:外装に厳しい反応がある一方で、物理スイッチや計器まわりには評価もあります。Luceは「全部ダメ」ではなく、内装と外装で受け止められ方が分かれています。
If it were an Apple car, it would make sense but a 500k Ferrari. Nah.
Apple Carなら分かる。でも50万ドル級のフェラーリなら、違う。
価格と文脈の問題:この反応は核心に近いです。同じデザインでも、Appleの新しい車なら未来感として受け取られたかもしれない。でも、フェラーリの超高額EVとして見ると、期待される文法が変わります。
Is a forklift included in the price to flip it upside down to charge it?
充電するために車をひっくり返すフォークリフトも、この価格に含まれているの?
Appleネタとしての消費:これはMagic Mouseの底面充電を連想した皮肉です。アイブ氏の名前が出るだけで、Apple時代の成功だけでなく失敗や不満も一緒に呼び出されます。
LOVED the interior. The exterior is not it.
内装は大好き。でも外装は違う。
評価の割れ方:この短いコメントが、今回のLuceをよく表しています。LoveFromらしさが生きている部分と、フェラーリとして受け入れにくい部分が、同じ車の中に同居しています。
ひとこと:Appleの外へ出たIveデザインは、より厳しく見られる
ジョニー・アイブ氏のデザインは、Appleの中では製品、OS、パッケージ、広告、店舗までまとめて意味を作れました。iPhoneの薄さも、Macのアルミボディも、Appleという大きな文脈の中で説明されていたわけです。
でもフェラーリでは、文脈が違います。フェラーリにはフェラーリの歴史、音、姿、顧客の期待があります。そこへApple的なミニマリズムを強く入れると、未来的に見える人もいれば、ブランドを薄めたように見える人も出ます。
ここで面白いのは、Luceが「Appleっぽいから悪い」のではないことです。むしろ内装の触覚的な操作は、画面だらけの車内に対する良い問いに見えます。問題は、その問いをフェラーリという名前で出すなら、もっと強くフェラーリ側の記憶も背負う必要があったことです。
まとめ:Ferrari LuceはApple Carの答えではなく、Iveデザインの次の試験台
Ferrari Luceは、フェラーリ初の完全EVとして、性能面では強い数字を持っています。1,035馬力、122kWhバッテリー、0-100km/h加速2.5秒、55万ユーロという価格。どれも普通の車の話ではありません。
ただ、今回の主役はスペック表よりデザインです。LoveFromが関わったことで、Apple Carの幻影が重なり、物理ボタン重視の内装が注目され、外装には「フェラーリらしくない」という反発が集まりました。
Luceを見ていると、Appleが車を作らなかったことの意味も少し見えてきます。スマホやMacなら、Appleは自分で文脈を作れます。でも車、とくにフェラーリのようなブランドでは、過去の記憶を消して未来を置くだけでは足りません。
だからFerrari Luceは、Apple Carの答えというより、アイブ氏のデザイン哲学がAppleの外でどこまで通用するかを見せる試験台です。内装の方向性には見るべきものがあります。外装とブランドの接続は、まだ多くの人を納得させきれていない。そこに、この車の面白さと難しさが詰まっています。
ではまた!
Luceの話は、画面に集約するだけが未来ではないことを思い出させます。Macで長く作業する人なら、触ったときの手応えやボタンの配置を見直すだけでも、毎日の操作感は変わります。
AmazonSource: MacRumors① / MacRumors② / 9to5Mac / AppleInsider / Yahoo!ニュース / Reddit