
✅ この記事では、Epic GamesがAppleを批判している「インストール妨害問題」を中心に、スケア画面(警告画面)の撤廃とインストール成功率の急上昇、さらに残る“隠れた制約”について整理します。
- Epicの主張:「スケア画面」が競争を阻害していた
- Apple側の立場:規制対応の一環にすぎない?
- まだ残る問題:手数料と制約
- 日本ユーザーにとっての意味
- Redditコメントまとめ(要点だけサクッと)
- まとめ
どうも、となりです。
EU(欧州連合)でiPhoneにApp Store以外からアプリを入れられるようになったのは、デジタル市場法(DMA)による規制が背景にありますが、これはすでに広く知られた話。今回注目すべきは、その実装を巡るEpic GamesとAppleの新たなトラブルなんです。Epicによれば「Appleはわざと複雑で怖い警告を並べて、ユーザーをインストールから遠ざけていた」。これが最近のアップデートで改善され、数字としても明らかになった──というわけです。
Epicの主張:「スケア画面」が競争を阻害していた
Epicが公開したデータによれば、かつてEpic Games StoreをEU圏のiPhoneに導入しようとしたユーザーの65%が途中で離脱していたといいます。その理由は、手順が15ステップにも及び、さらに「安全ではありません」と繰り返し警告されるスケア画面が挟まれていたからだと主張しています。
これがiOS 18.6のアップデートで6ステップに短縮され、警告画面も大幅に削除。結果として、インストール成功率がWindowsやmacOS並みに改善したとのこと。
ひとことで:Epicは「Appleが意図的に複雑化していた」と指摘し、改善後の数字がその証拠だと語っている。
Apple側の立場:規制対応の一環にすぎない?
Appleとしては「セキュリティとユーザー保護」を大義に複数の確認ステップを設けていたと言えます。ただEUのデジタル市場法(DMA)に基づく圧力が強まり、欧州委員会も「過度に複雑」と是正を求めてきたため、結果的に簡略化せざるを得なかった形です。
Appleは依然として「アプリは公証(Notarization)を通す必要がある」と主張し、完全な自由化ではありません。安全と競争の間で綱引きが続いているのが現状です。
ひとことで:Appleは「セキュリティ」を前面に出しつつ、規制対応として簡略化を進めた。
まだ残る問題:手数料と制約
Epicはインストール手順が改善されたこと自体は歓迎しつつも、「まだ競争阻害は続いている」と主張しています。具体的には、Core Technology Fee(コア技術使用料)や、競合ストアをサポートする開発者への差別的ポリシーを批判。
さらにアプリの設計に関わる部分までAppleが承認・公証で制御している点を問題視し、「結局Appleがルールを握っている」としています。
ひとことで:Epicは「形だけの自由化で、Appleは依然として強い支配力を持つ」と見ている。
日本ユーザーにとっての意味
ここで気になるのが「日本でもできるの?」という点。答えはまだ不可です。EUでの仕組みはDMAという特有の法律に基づいており、日本では現時点で同じ制度はありません。
そのため、日本のユーザーはApp Store経由以外のアプリ配信を正規には利用できません。とはいえ、EUでの事例は規制当局や業界の議論に火をつける可能性があり、将来的に広がる可能性は否定できません。
ひとことで:日本では今もApp Store一択。EUの動きは未来のシナリオを示唆している。
Redditコメントまとめ(要点だけサクッと)
EpicとAppleの対立を巡る海外掲示板の反応を、日本語でざっくり整理しました。生の声は温度差が大きいですが、論点はだいたいこのあたりに集約されます。
全体傾向
- ユーザー行動の現実:「インストール手順を6ステップに短縮したら完了率が倍増」は概ね納得感あり。ただし「Epicの数字の見せ方が都合よすぎない?」という懐疑も。
- 温度差:「競争は歓迎」が一定数いる一方で、「そもそもサードパーティストアは要らない」「Epicの主張は金目当て」という冷めた見方も目立つ。
サードパーティストア肯定派の主張
- 選択肢は正義:Macで当たり前にできる“どこからでも入れられる”自由を、iPhoneでも。使いたくなければ無視すればいいだけ。
- 一本化より分散:Apple IDに課金やアカウントを集中させる安心感はあるが、単一ベンダー依存のリスクもある。適切に設計された「Steamのようなストア」なら歓迎。
- 価格と手数料:App Store経由の“割高感”を嫌い、代替決済やストアでの値下げ期待を語る声も。
否定派・慎重派の主張
- 安全と簡単さ:「Appleの審査・公証があるから安心」「親が子どもの課金を管理しやすい」。複数ストアの分散はサポート負荷とリスクが増すだけ。
- Epic不信:「結局は取り分の話」「無料配布で餌付けしてるだけ」「Windowsでも誰も好きでEpicを入れてるわけじゃない」という皮肉。
- 現実問題:EUで解禁されても「実際、自分は一度も他ストアを使ってない」という声が多数派。“使える”と“使う”は別という指摘。
実務・法的観点での疑問
- 責任の所在:サードパーティストア経由で詐欺アプリに遭遇した場合、誰が利用者保護を担うのか(返金・補償・監督責任)は未検証の領域が多い。
- 「30%」論争:プラットフォーム手数料は妥当か過大か。代替ストアの運営コスト(決済・税務・法務・カスタマーサポート)も無視できない、という反論も。
ユーザー体験の本音
- ランチャー地獄は嫌:ゲームは「ぜんぶSteamで完結したい」。複数ストアは煩雑さの原因になりがち。
- サブスク管理:課金の見える化と解約のしやすさは一か所に集約されている方が楽。
- 親の視点:「知らないストアにカード情報を預ける」の心理的ハードルは高い。ファミリー管理とも相性が悪いという声。
皮肉・ツッコミ系(雰囲気メモ)
- 「Epicは“より多く儲けたい”だけでは」「でもAppleの独占的運用もどうなの」──どっちもどっち派。
- 「iPhoneは一般向け家電。ヘビーカスタマイズ派は最初からAndroidでしょ」という割り切り論。
- 「EUで騒がれたけど、解禁しても大惨事なんて起きなかった。結局“選べるようになった”だけ」。
この議論の落としどころ(編集部所感)
- 事実ベース:手順短縮と“スケア画面”の撤廃で、インストール完了率が上がった(Epicの主張)。ユーザー行動は摩擦に敏感。
- 争点の核心:安全と自由、集中と分散のトレードオフ。EUは自由側に大きく舵を切り、Appleは公証・審査・手数料で秩序を残す。
- 実務的な未来像:「他ストアも使えるが、大半はApp Storeで十分。ニッチやプロ用途で他ストアが補完」──この棲み分けに落ち着く可能性。
編集メモ:コメントは賛否が極端に割れますが、“摩擦を減らせば行動は変わる”という示唆は重いです。規制と設計の駆け引きは続きますが、最終的にユーザーが自分のリスク許容度に合わせて選べる状態が理想です。
まとめ
今回のポイントは、EUでのインストール手順の簡略化でEpicの主張が数字として裏付けられたこと。Appleは規制を受けてルールを緩めたが、依然として手数料や承認制度は残っています。EpicとAppleの対立は終わりそうにありません。
EUではApp Store以外からのインストールが可能になりましたが、日本ではまだ先の話。けれど、この論争は「アプリの自由」と「安全性」のバランスを世界規模で問い直すきっかけになるはずです。
ではまた!
Source: Epic Games Blog(インストール成功率の改善)/The Verge(Epicの批判と背景解説)/欧州委員会プレスリリース(DMA指摘)