
✅ この記事では、Jefferies(ジェフリーズ)証券が発表したAppleの2026年度サプライチェーン見通しをもとに、「iPhoneの中国依存はどこまで続くのか」を整理します。
どうも、となりです。
Appleはここ数年、インドでの生産拡大をぐっと進めていますよね。 でも最新のJefferiesレポートによると、2026年度(2025年10月〜)でもおよそ900万台のiPhoneが中国からアメリカへ直接輸出される見通しなんです。 「脱中国」を掲げながらも、やっぱり中国の製造ラインは今も強力な支えになっているというわけです。
900万台が中国から米国へ──完全移行はまだ少し先
Jefferiesによると、Appleはサプライチェーンの分散を急いでいるものの、インド側の生産体制はまだ発展途中。 そのため、2026年度もiPhone 17/18シリーズの多くが中国から出荷される可能性が高いそうです。
つまり、インド生産が広がってきたとはいえ、グローバルなiPhone製造の中心は今も中国という状況が続いているんですね。
Appleの「二重リスク回避」戦略
Appleは現在、「インド製造の拡大」+「米国内投資の強化」という二本柱の戦略でリスクを分散しています。 前者は地政学リスクの分散、後者はアメリカ政府との関税交渉を見据えた布石です。
報告によると、Appleは今後数年で米国内に約6,000億ドル(約90兆円)規模の投資を行う見通し。 これにより、半導体から最終製品までをアメリカ国内で完結できる“シリコン・サプライチェーン”の構築を目指しているようです。
一方で、現時点でのインド生産は主にiPhone 16/17の一部ラインに限られており、高精度なProシリーズなどは依然として中国が中心。 やはり品質とスピードの両立は、そう簡単には切り替えられないようです。
関税リスクと利益への影響
Jefferiesの分析によると、中国からの輸出分には関税がかかるため、Appleの利益にも影響が出る可能性があります。 具体的には、関税負担が続くことでEPS(1株あたり利益)が最大5%程度減少する見通しとのこと。
そのためAppleは、政治と経済のバランスを取りながら、 「インド拠点の拡大」「中国依存の段階的縮小」「米国での部分的生産復活」 という“三層構造”でリスクを分散しているわけです。
“脱中国”はスローに進む──Appleの慎重さ
Appleがここまで慎重なのは、単なる政治的配慮だけではありません。 中国の製造クラスターは、部品供給・組立スピード・品質管理の三拍子が揃った世界最高水準。 これを短期間で他国に再現するのは、やっぱり現実的には難しいんです。
結果として、Appleはインド・ベトナム・タイなどに生産を広げつつも、 完全移行は10年単位の長期戦略としてじっくり進めていく姿勢を見せています。
一方で、新しい拠点の動きも着実に始まっています。台湾では早くも折りたたみ式iPhoneの試験生産が進行中で、“ポスト中国”時代を見据えた静かな準備が動き始めています。
今回の動きをひとことで
「Appleは“脱中国”を急がない──900万台が示す現実と戦略の両立。」 生産地の多様化は進みつつありますが、iPhoneを支える屋台骨はいまだ中国。 そのなかでAppleは、地政学の荒波をかわしながら、静かに“製造地の地図”を書き換え始めています。
ではまた!
Source: IT之家(ITHome)