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AppleがStarlinkに乗り換える日──スペクトラム買収と15,000基計画が変える衛星通信の未来

AppleがStarlinkに乗り換える日──スペクトラム買収と15,000基計画が変える衛星通信の未来

✅ この記事では、「AppleがGlobalstarからStarlinkに乗り換える可能性」について、SpaceXの新しい2つの動き──EchoStarの周波数帯買収衛星数の大幅増強計画──を軸に解説します。
さらに、reddit上での議論から見えてきた「期待と不安」のリアルな温度感も紹介します。

 

どうも、となりです。

iPhone 14で始まった「衛星通信機能」は、いまやAppleの“安全ネット”として定着しつつあります。 ただ、その裏では通信インフラを担うパートナー企業の存在があり、現在は米Globalstarが独占的にAppleを支えています。 しかし──SpaceXの急拡大が、その関係に大きな変化をもたらそうとしているんです。

Appleが使う衛星通信の仕組みと現状

まず整理しておくと、Appleの衛星通信は2022年のiPhone 14で登場。 当初は「緊急SOS」専用でしたが、その後「ロードサービス支援」や「家族とのメッセージ機能」へと拡張されてきました。

このサービスを支えるのがGlobalstar。 Appleは複数年契約を結び、衛星打ち上げ費用の一部も肩代わりするほどの関係です。 現状では、iPhoneモデルに応じて2026〜2028年まで無料提供が続く見通しとなっています。

ただし、通信容量や速度面では限界もあり、今後Apple Intelligenceや高精度メッセージ送信など、 より多くのデータを扱う機能を実現するには「次のパートナー」が必要になるかもしれません。

SpaceXが動いた──17億ドルの周波数買収

最初のニュースは、SpaceXがEchoStarから周波数帯(AWS-4/Hブロック)を約17億ドルで取得するというもの。 これにより、SpaceXは米国内外で1.9GHzおよび2GHz帯の50MHz幅を確保できる見込みです。

この帯域はスマートフォン通信に最適化されており、「電話・テキスト・ブロードバンド通信を直接衛星から提供」できるポテンシャルを持ちます。 つまり──iPhoneから直接Starlink衛星へ通信する、という構図が現実味を帯びてきたわけです。

(補足) 現在、T-Mobileが米国内で同様の仕組みを導入しており、既に一部のユーザーが「Starlink経由でSMSを送信」できる状態になっています。

15,000基のStarlink衛星──「覆い尽くす」規模へ

次に注目すべきは、SpaceXがFCCに提出した新計画。 既存の650基を大幅に上回る、最大15,000基の新世代衛星を打ち上げる計画を正式に申請しています。

これらの衛星は「Direct to Cell(D2C)」通信に対応し、 スマートフォンやIoT端末など、地上インフラに頼らず直接通信可能な仕組みを採用。 ArsTechnicaによると、この新世代衛星はより広い帯域と高速通信を実現できるとのことです。

通信アナリストのPhilip Burnett氏は、 「Globalstarは衛星数・帯域ともに限界があるため、EchoStarの周波数を得たSpaceXはApple交渉で圧倒的に有利になる」と指摘。 Appleにとっても、将来のサービス拡張を考えればStarlinkとの提携は現実的な選択肢になりつつあります。

 

 

日本ユーザーにとっての意味──「山でもつながるiPhone」へ?

もしAppleがStarlinkを採用すれば、日本国内でも恩恵を受ける可能性があります。 Starlinkはすでに日本でも個人・法人向けインターネットサービスを展開しており、 そのインフラを活かせば「山岳地帯や離島でもiPhoneが使える」環境に一歩近づきます。

また、災害時の通信維持にも有効で、地上回線が途絶しても衛星経由で緊急連絡が取れる可能性があります。 実現すれば、Appleが掲げる「安全とつながり」のビジョンがもう一段進化するでしょう。

コミュニティの反応──redditで見えた賛否

  • 「Starlinkの通信品質は段違い」派: 「他社とは比較にならない」「車内でも繋がる」と称賛する体験談が多数。
  • 「T-Mobile版は実用的」派: 「空を向けなくてもOK」「AT&TユーザーでもStarlinkが使える」など使い勝手を評価。
  • 「競争が必要」派: 「SpaceX一強は危険」「政府補助金を独占している」と警戒する声も根強い。
  • 「Musk嫌いだけどStarlinkは別」派: 「テスラは嫌いでもStarlinkは認める」「地方では命綱」との複雑な評価も。
  • 「Appleが依存するのはリスク」派: 「Musk依存はブランドリスク」「Appleらしさが薄れる」との懸念も目立つ。
  • 「Amazon Kuiperと組む可能性」派: 「AppleはむしろAmazonと手を組むかも」との見方も浮上。

全体としては、「技術力は評価されるが独占とMusk依存には慎重」というトーン。 便利さと倫理のバランス──Appleがどこに舵を切るかが注目されています。

さいごに

Starlinkは圧倒的な規模と技術力を持つ一方で、 Appleがそこに乗るかどうかは「信頼の線引き」をどう設けるかにかかっています。 もし提携が実現すれば、iPhoneの通信インフラは新たな段階へ。 ただしその先には、便利さと独立性のトレードオフが待っているかもしれません。

ではまた!

 

 

Source: ArsTechnica, 9to5Mac, Reddit r/Apple, FCC filing documents