となりずむ

Appleを理解して翻訳する。それが「t0nAr1sm(となりずむ)」

Appleが1nmの壁を突破へ。TSMCが2029年に「1nm未満」試験生産開始

Apple Silicon sub-1nmプロセスチップのイメージ画像。TSMCが2029年に試験生産を開始する1nm未満世代の次世代Appleシリコンを示す基板クローズアップ

✅この記事では、TSMCが示した「1nm未満」までの最新ロードマップと、それがAppleのiPhone・Macシリコン戦略にどう効いてくるかを整理します。数字の並びだけだと退屈に見える話なんですが、ここ、Appleのここ数年の製品計画が透けて見えるポイントなんですよね。

 

 

どうも、となりです。

TSMCの1Q26決算が派手に伸びたという話の裏で、もう少し気になる情報が出ていました。魏哲家(C.C. Wei)会長が、1nm未満プロセスの試験生産を2029年に始めると明言した件です。Appleは長年TSMCの先端プロセスを最初に使う顧客なので、これは「次の次のiPhone、そのまた次」の話に直結します。

しかも今回は、2nm(A20)、1.6nm(A16)、1.4nm(A14)、そして1nm未満までが、ひとつの地図の上にきれいに並んで見えるようになった。Appleが組んでいる長期シナリオが、かなり具体的に想像できるようになった感じです。

要点まとめ:TSMCの先端プロセス地図とApple

まずは今回のTSMC情報を、Appleの視点から読み替えて並べ直しておきます。数字が多いので、読みどころだけ先に通しておきたいところです。

  • 2nm(A20世代):iPhone 18ファミリー向けに2026年後半導入予定
  • 1.6nm(A16)/ 1.4nm(A14):2028年量産、性能・電力効率が最大30%向上見込み
  • 1nm未満(sub-1nm):2029年に試験生産開始、初期月産は5,000枚
  • 先進封装はCoWoSが需給逼迫、CoPoSは量産が2030年第4四半期頃まで後ろ倒し
  • Appleはsub-1nmの初期主要顧客になる可能性が高い
TSMCが2029年から1nm未満の試験生産を始めるということは、Appleが2020年代末まで「プロセス先頭を走る体制」を崩さないということ。iPhone 18の2nmはその流れの一歩目にすぎません。

詳細解説:2nmから1nm未満まで、Appleはどこに乗るのか

TSMCの先端プロセスは、当面2nmが主戦場になります。新竹の宝山(F20 P1/P2)と高雄(F22 P1/P2)が2nmの生産拠点で、2026年後半のiPhone 18に載るA20/A20 Proはここから出てくる想定です。3nm世代の売上比率が1Q26で約25%に達している今、Appleの主力はここから一段ずつ下の階段を降りていく段階にあります。

そのひとつ下、1.6nm(A16)1.4nm(A14)は2028年量産スタート。性能と電力効率が最大30%改善というのは、プロセス世代交代としてはかなり素直に大きい数字です。ここはiPhoneだけでなく、Mシリーズや車載・AIアクセラレータまで絡んでくる領域で、AppleとしてはオンデバイスAIを重くしていくタイミングとぴったり重なるんですよね。

そして話題の1nm未満。台南のA10工場およびP1〜P4工場を使い、2029年に試験生産を始めるという計画です。初期の月産はわずか5,000枚。量としては完全に「最初の細い水路」で、ここをAppleが最初に使う顧客になる可能性が高い、というのがポイントです。Appleは過去、N3でもN2でも初期枠をまとめて押さえてきたので、同じパターンが繰り返されるのは自然な読み筋です。

ここで少し引っかかるのが「1nm未満」という表現。呼び方の問題は海外でも突っ込まれていて、nmの数字自体がもうマーケティングラベル化している、というのは事実です。ただ、名前はどうあれ、トランジスタ密度と電力効率の改善が続く限り、Appleにとっての意味は変わらない。省電力優先設計とオンデバイスAI優先設計を積み上げてきたAppleの流れからすると、ここを取り逃がすという選択肢はほぼないわけで。

忘れたくないのが封装側の話です。CoWoSは需要が供給を上回り、台南AP8 P1で年末までに月産4万枚超へ引き上げ。一方、Wei会長が初めて言及した次世代のCoPoSは、均一性や反りの難しさから量産が2030年Q4頃までずれ込む見通しです。チップ単体の微細化が進んでも、それを束ねる封装のほうが追いつかないと、AI向けのメモリ帯域や電力設計で頭打ちになる。ここはAppleにとっても地味に無視できないボトルネックになりそうです。

注目したいポイント:「最新はUltraだけ」構造が現実味を帯びる

今回のロードマップで面白いのは、プロセス世代が毎年ではなく2年刻みに近い形で重なり始めていることです。2026年2nm、2028年1.6/1.4nm、2029年1nm未満試験生産。この刻みだと、全モデル横並びで毎年最新プロセスを載せるのは、歩留まりとコストの両面からかなり重い。

噂段階の話として、最新チップはUltraモデルのみに限定し、標準モデルは1世代前のプロセスに回す戦略が常態化するのでは、という見方が出ています。これは根拠のある推測として、AppleがすでにやっているPro差別化戦略の延長線上で考えると、かなり自然な流れと見るのが妥当です。A17 ProからPro限定のプロセス採用が始まった流れが、iPhone 18世代以降ではさらに先鋭化する可能性があるということですね。

この構造が定着すると、iPhoneのラインナップは「標準=成熟プロセスで価格を抑える」「Pro/Ultra=最新プロセスで性能とAIを尖らせる」という二階建てになります。iPhone 18で噂されるUltra・Fold・標準の三層ラインナップとも素直に噛み合う話で、プロセス戦略とモデル戦略が同じ方向を向き始めている感じがあります。

もうひとつ、封装がCoPoSまで進まないことが2030年までほぼ確定したのは、AppleのAI機能拡充ロードマップに対して小さくない制約になります。巨大なAIアクセラレータをオンデバイスに積むなら封装技術が鍵になるわけで、Appleがどこまで統合SoC戦略で押し切るのか、外付けのNPU的構成に寄せるのか、ここの判断がiPhone・Mac両方の設計に響いてきそうです。

 

 

海外の反応:期待と冷ややかな視線が半々

海外では「1nm未満」という呼び方そのものへの突っ込みと、Appleが最初に使うだろうという予測が、きれいに両方出ています。

The whole thing is stupid... Angstroms (0.1 nm) follow, or picometres (0.001 nm). But since, as you say, the label is arbitrary they may as well call the next one 38.287 seconds. It all means nothing.

この呼び方自体が馬鹿げている。nmの次はオングストロームかピコメートルだろうが、ラベルが恣意的なら「38.287秒」と呼んでもいい。もはや何の意味もない。

MacRumors Forums

Cost is not the problem. Apple funds TSMC development and is granted first access. Yield is not the problem. N2 is yielding ahead of plans. If Apple is concerned sales will outpace supply they can use both N2 and N3 with different phone models, which they have before.

コストは問題じゃない。AppleはTSMC開発に資金を出していて優先アクセスを得ている。歩留まりも問題ない。N2は計画を上回る歩留まりだ。供給不足が心配なら、以前のようにモデルごとにN2とN3を使い分ければいい。

SemiWiki

I never really got the people saying N2 iphones in 2025... TSMC publicly say N2 will not enter HVM until late Q4'25 to early Q1'26.

2025年に2nm iPhoneが出ると言う人の気が知れない。TSMCは公に、N2量産は2025年Q4後半〜2026年Q1と言っているのに。

SemiWiki

At what point does more powerful technology reach a stage of diminishing returns? ... computational resources idle on stand-by; ... "FaceBook-machine", "FaceTime-machine", "CandyCrush-machine".

より強力な技術は、どこで収穫逓減に達するのか。フラッグシップの計算リソースは待機中ほぼアイドルで、起動してもピーク性能を使い切ることは滅多にない。結局「Facebook機」「FaceTime機」「キャンクラ機」だ。

MacRumors Forums

となりの見方: 呼び方の議論は置いておいて、注目したいのは「Appleが最初に使う前提で業界が話している」という空気のほうです。N2の歩留まりが計画を上回っているという指摘があるあたり、sub-1nmもAppleの主導で立ち上がっていく流れは自然。一方で、ユーザー側が性能を持て余しているという冷ややかな声も根強く、プロセスの進化を体験まで翻訳できるかがAppleの宿題になりそうです。

ひとこと:紙の上では「Appleの10年」が見えてきた

プロセスの数字だけ追うと退屈なんですが、2nm→1.6/1.4nm→1nm未満という流れが具体的な年号付きで見えた意味は大きいです。iPhone 18はその長い階段の1段目でしかなく、むしろ2028〜2029年にかけての設計の方が、Appleの性格が出る世代になりそうだなと。今すぐ買い替え判断に直結する話ではないですが、iPhone 18のA20世代の立ち位置を理解しておくと、数年先のロードマップもすっと読めるようになります。

まとめ:sub-1nmは遠い話に見えて、いま読むべき話

TSMCの1nm未満試験生産が2029年、量産は2030年以降という時間軸は、確かに少し先です。ただ、この前段として2nmのiPhone 18があり、1.4nmのA14世代があり、封装側のCoPoSが2030年Q4まで遅れる、という制約が重なっている。Appleの製品計画は、この制約地図の上でしか組めません。

今どう受け止めるのが自然かというと、「いま買うiPhoneで何かを待つ必要はないが、Appleが2020年代末まで先端プロセスの先頭にいる前提はほぼ崩れない」くらいの温度感でいいと思います。Ultra限定で最新プロセス、という構造が現実になるかはまだ噂段階なので、ここはしばらく様子見でいいんじゃないでしょうか。

ではまた!

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Source:wccftech / DIGITIMES