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Orionブラウザ登場 WebKit採用の高速&プライバシー重視

紫の星空背景の前に、Kagi検索ページを表示したMacとOrionブラウザを開いたiPhoneが並んでいるイメージ画像

✅この記事では、Kagiが手がける新しいMac向けブラウザOrionについて、特徴・料金体系・Safariとの違いを整理します。とくに、WebKit採用とプライバシー重視という「Appleユーザー向け」のコンセプトがどんな体験につながるのかを見ていきます。

どうも、となりです。

ブラウザまわりのニュースというと、最近は「AIアシスタントをどう組み込むか」という話題が中心になりがちですよね。そんな中で、検索エンジンKagiのチームがリリースしたOrionは、あえてAI全面推しではなく、「高速&プライバシー重視のWebKitブラウザ」という方向で勝負してきました。同じくAIを前面に出したブラウザとしては、以前整理したAIブラウザDia for Macのようなタイプもありますが、Orionは少し違う方向性なんです。Mac・iPhone・iPad版はしばらくベータが続いていましたが、今回ついにMac版1.0が正式リリースされた形です。

要点まとめ

  • Kagiが開発するWebKit採用ブラウザ「Orion」のMac版が、バージョン1.0として正式リリース。
  • レンダリングエンジンはSafariと同じWebKitだが、スピードとプライバシー重視の独自路線を掲げている。
  • 「Focus Mode」「Link Preview」「Profiles as Apps」など、作業用Webアプリ化やプロファイル分離に力を入れた機能構成。
  • 基本利用は無料で、Kagi検索200回分がアカウント登録なしで付属。
  • 上位プラン「Orion+」は$5(約¥800)/月で、常に前面に出せるフローティングウインドウや、細かなカスタマイズ機能などが解放。
  • 今後1年のロードマップとして、カスタマイズ性の強化・Webアプリ性能の改善・Kagi連携の拡張などが予告されている。

orionbrowser.com

Orionとは?Kagiが作る「Safari系ブラウザ」

元記事は9to5MacのRyan Christoffelによるレポートです。開発元のKagiは、有料検索エンジンとして「広告なし・トラッキングなし」を掲げてきた会社で、その延長線上でブラウザも手がけているイメージですね。

Orionの大きな特徴は、レンダリングエンジンにWebKitを採用していることです。つまり、ウェブページの表示エンジンとしてはSafariと同系統でありつつ、UIや機能の部分で独自性を出している、という立ち位置になります。多くのサードパーティブラウザがChromiumベースである中で、「WebKit陣営の新顔」が出てきたのはなかなか珍しい動きです。

Mac版はこれまで長期ベータを続けていましたが、今回ようやく1.0として区切りをつけた正式版が公開されました。iPhone/iPad版もすでに提供されており、「Appleプラットフォームを第一ターゲットにしたブラウザ」と考えてよさそうです。

主な機能:作業用ブラウザとしてのこだわり

Orionが前面に出している機能を、元記事の説明をもとに整理してみます。

Focus Mode:任意のサイトを“作業用アプリ化”

まず面白いのが「Focus Mode」です。これは任意のWebサイトを1つのアプリのように立ち上げ、余計な要素をそぎ落として表示できるモードとされています。ドキュメントサイトや執筆用のWebエディタ、日中ずっと開いているWebアプリなどを、このモードで使うイメージですね。

たとえば、NotionやGitHub Issues、SlackのWeb版などを「作業アプリ」として扱い、通常のブラウジングと分けておきたい人にとってはかなり相性が良さそうです。

次が「Link Preview」機能です。メールやノートアプリ、チャットなどに貼られたリンクを、わざわざタブで開かずに内容だけ一時的にプレビューできる仕組みになっています。

たくさんのリンクを受け取る仕事をしていると、タブが一気に増えてしまいがちですよね。Orionでは、この「とりあえず開いておく」を減らし、ブラウザをなるべく散らからせない方向に振っているのがポイントです。

Profiles as Apps:仕事・趣味・個人を完全分離

さらに、「Profiles as Apps」という仕組みも特徴的です。これは、仕事用・個人用・趣味用といった複数のプロファイルを、別アプリのように分離できる機能です。それぞれのプロファイルは、拡張機能・クッキー・設定などを完全に分けて持てるとのこと。

Chromeのプロファイル分けをさらに一歩進めて、「プロファイルごとに別アプリのアイコンをDockに並べられる」イメージに近いかもしれません。ブラウザの中に仕事とプライベートの世界が混ざるのがイヤな人には、かなりしっくり来る設計です。

UIカスタマイズ:Mini ToolbarやPage Tweak

他にも、ページごとに表示要素や操作系を調整できる「Mini Toolbar」「Overflow Menu」「Page Tweak」など、「Webを自分の作業スタイルに合わせていく」方向の微調整機能がいくつか用意されています。ここはまだ発展途上のようですが、ロードマップ上でもカスタマイズ性の強化が掲げられているので、今後も伸ばしていきたい領域のようです。

 

 

料金体系:基本無料+Orion+サブスク

Orion+の料金プラン。月額$5、年額$50、買い切り$150の3種類が並んでいる価格表。各プランにサブスクリプション更新や追加アドオンに関する説明が記載されている

Orion自体は無料でダウンロードして使えます。さらに、Kagiによる検索200回分が無料枠として付属し、アカウント登録も必須ではないとされています。まずは「どんなブラウザかちょっと触ってみたい」という人でも、気軽に試せるように配慮されていますね。

そのうえで、より踏み込んだ機能を使いたい人向けに、有料サブスク「Orion+」が用意されています。価格は$5(約¥800)/月で、主な特典としては次のようなものが挙げられています。

  • 任意の動画やウインドウを常に前面に出せるフローティングウインドウ
  • ブラウザボタンのプログラマブル化やアプリアイコンのカスタマイズ
  • 今後追加されるサポーター限定の新機能への優先アクセス

「広告トラッキングを売る代わりに無料提供する」のではなく、「ソフトウェアとしての価値をサブスクで支えてもらう」という構図を目指しているように見えます。Kagiの有料検索と同じ思想が、そのままブラウザ側にも反映されている感じですね。

注目したいポイント

ポイント1:WebKit陣営の“もうひとつの選択肢”

Mac向けブラウザの大半は、Chromiumベースか、Apple純正のSafariに二極化しているのが現状です。そんな中で、OrionはWebKitベースの「第三の選択肢」として現れたことに意味があります。

レンダリングエンジンをSafariと共有することで、Appleシリコン最適化や省電力な動作といったメリットを期待しつつ、UIや機能面では別方向のチャレンジができる、という構図になっています。特に「Safariは好きだけど、タブ管理やプロファイル管理はもう少し攻めたものが欲しい」という人には、気になるポジションになりそうです。

ポイント2:AI全面推しではなく、“作業環境の整理”にフォーカス

ここ1〜2年のブラウザ界隈は、「AIサイドバー」「AI要約」「AI検索」といった機能が前面に出がちでした。たとえば、ChatGPT連携を前提にしたChatGPT Atlas for Macのようなブラウザも増えてきましたよね。Orionも外部のAIツールとの連携は持っていますが、元記事を見る限り、主役に据えているのは「作業環境をどう整理するか」というテーマです。

Focus ModeやProfiles as Apps、Link Previewなどは、どれも「タブ地獄からの脱出」を目指した設計と言えます。AIそのものより、「その前後の体験をどう整えるか」に力を割いているのは、なかなかおもしろい差別化ポイントだと感じました。

ポイント3:収益モデルとしての“有料検索+ブラウザ”の組み合わせ

ビジネス面で見ると、Kagiは「有料検索+ブラウザ」という組み合わせを取りにいっているように見えます。検索エンジン側も広告なしのサブスクモデルなので、ブラウザとのセット運用は自然な流れです。

多くのブラウザが「検索連携の収益」に依存しているのに対して、Kagi+Orionは検索もブラウザも自社で握り、ユーザー課金で支える方向を目指していると言えます。これは、広告に依存しないウェブのあり方を模索する動きとしても、注目しておきたいところです。

ひとこと:Safariが好きな人ほど、一度触ってみたいブラウザ

個人的には、Orionは「Safariは好きだけれど、もう少し自分好みにいじりたい」という人向けのブラウザだと感じました。エンジンはWebKitのまま、周辺のUIやプロファイル管理、作業用モードなどを拡張することで、Safariの世界観を崩さずに自由度だけを足しているイメージです。

もちろん、実際の安定性や拡張機能との相性、長期的な開発ペースなど、使い続けてみないとわからない部分も多くあります。でも、「広告トラッキングではなく、ソフトウェアの価値そのもので勝負するブラウザ」が増えるのは、ユーザーにとっても悪くない変化だと思うんですよね。

まとめ:Orionは「Appleユーザー向けの実験ブラウザ」になりそう

9to5Macのレポートをもとに整理すると、OrionはWebKit採用・プライバシー重視・Kagi検索との連携を軸にした、Appleユーザー向けの新しいブラウザと言えそうです。AI全面推しではなく、タブ管理や作業モード、プロファイル分離といった「日々の使い心地」を丁寧に詰めているのが印象的でした。

SafariやChrome、Arcなど、すでにお気に入りのブラウザがある人でも、「Macでの作業用ブラウザをもう1本増やしてみる」という感覚で試してみる価値はありそうです。さらに、iPhone・iPad版もすでに提供されているので、Appleデバイス全体で同じ思想のブラウザをそろえたい人には特にハマりやすいと思います。気になる方は、まずiOS版から軽く触ってみるのもよさそうですよ。

あなたなら、どんな用途専用のブラウザとしてOrionを使ってみたいでしょうか。

ではまた!

※換算は $1=¥160 前後を想定した概算です。

Source: 9to5Mac