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AIがMacを動かす?OpenAIがSAIを買収、次の一手は“OSの中”へ

OpenAIによるSAI買収を発表したグラフィック

✅この記事ではArs Technicaが伝えたOpenAIによるSAI(Software Applications Inc.)買収のニュースをもとに、なにが変わるのか? どこまでOSに踏み込むのか? Appleユーザーにどんな意味があるのか?を、やさしく整理していきます。ポイントは、「AIが画面の内容を理解して、Macを直接動かす」という未来がいよいよ見えてきたことです。

どうも、となりです。

OpenAIがSAIという会社を買収しました。 このSAIは、かつてAppleの「ショートカット」(旧Workflow)を作った中心メンバーが立ち上げた会社です。そして彼らが最近手がけていたのが、macOS上でAIが画面を読み取り、アプリを横断して動かす仕組み「Sky」。 Ars Technicaによると、OpenAIはこのSkyの“Macを理解して動かせる設計”をChatGPTに取り込む計画を進めているそうです。 つまり、ChatGPTがMacを直接操作できるようになる未来が、少しずつ近づいてきているんです。

要点まとめ(まずここ)

  • ニュース:OpenAIがSAIを買収。金額は非公表(Ars Technica)。
  • 狙い:SAIのSkyが持つ「macOSの文脈理解+操作レイヤー」をChatGPTに統合。
  • メンバー:Ari Weinstein / Conrad Kramer / Kim BeverettらがOpenAIに参加。3人はApple出身(Workflow→Shortcuts)。
  • 仕組み:AIが画面の内容を読み取り、自然な言葉の指示を複数アプリに分解して実行。事前設定なしで動くのが特徴。
  • 今後:Sky単体の継続は不明。ChatGPTや新しいAtlas機能への統合が有力と見られます。

SkyとMacの関係:AIが“手”を持つようになる

少し整理してみましょう。 Skyは、AIがMacを直接操作できるようにするための仕組みです。 アクセシビリティAPIなどを使い、画面上のボタンや文字をAIが理解し、必要な動作を自動で行えるようにします。 たとえば「この請求書を開いて、未入金分をまとめてメール下書きを作って」と話しかけると、AIが画面を読みながら適切なアプリを開き、手順を進めてくれる。まさに“AIの手足”のような存在です。

このSkyを開発したのは、かつてAppleでショートカットを作ったチーム。その経験を持つ彼らをOpenAIが迎えたことで、ChatGPTがmacOS上で実際にアプリを動かす──そんな未来が見えてきます。

なお、Software Applications Incorporatedが公開していたティーザー動画では、Skyが目指していた体験の方向性がわかりやすく示されています。OpenAIがこのチームを買収した意味が、映像を見るとより実感できます。

なにが「深い統合」なのか

Arsによると、SkyはmacOSの構造を丁寧に読み取り、AIに「今この画面で何が起きているか」を理解させることができる仕組みです。 AIはその情報をもとに、指示を小さなステップに分解して、アプリをまたぎながら実行します。 つまり、これまで人間が考えていた「ショートカットの下ごしらえ」をAIが自動でやってくれるようになる、ということです。

たとえば「このPDFから未払い分をまとめてスプレッドシートに整理して」と言うだけで、AIがPDFを読み、表を作り、必要ならメールの下書きも用意してくれる。 まさに、準備いらずの“即席ショートカット”といったところです。

なぜ今、OSレイヤーまで踏み込むの?

OpenAIは今週、ブラウザ「Atlas」でウェブページを自動操作するAIエージェントを発表しました。 今回の買収は、その延長線上にある動きです。 ウェブの外側──つまりローカルのデスクトップ環境にもAIを広げようとしているわけです。

Macの画面を読み取って動かすには、OSの持つアクセシビリティ機能や自動化の仕組みを正しく使いこなす必要があります。 だからこそ、macOSの作法に詳しいSAIチームがOpenAIにとって大きな意味を持つ、というわけです。

 

 

Appleと競合? それとも補完?

Appleにはショートカットがありますし、いまはApple Intelligence新しいSiriも進化中。 そう聞くと、OpenAIの“OS連携”は競合に見えるかもしれません。 でも、ぼくはむしろ補い合う関係になると思っています。

  1. 出発点が違う:ショートカットは「自分で設計して使う」道具。OpenAIの仕組みは「頼んだら生まれる」道具。前者は精密さ、後者はスピードが強み。
  2. 得意分野が違う:ショートカットはOS内部に強く、OpenAIはウェブとOSの横断に強い。それぞれの守備範囲が少しずつズレています。

たぶん多くの人は、まずAIに頼んで試して→よく使う流れをショートカット化、という使い方をすると思います。 発見はAI、定着はショートカット。 この組み合わせは、Macをより柔軟にしてくれそうです。

注意しておきたいこと

とはいえ、画面を見て動くAIにはリスクもあります。 ウェブで言われるプロンプトインジェクション(隠し命令)のような問題は、ローカルアプリでも起こり得ます。 また、アクセシビリティAPIは広い権限を持てるため、誤操作や権限の暴走にも注意が必要です。

大切なのは、どこまで見せるか/見せないかアプリごとの境界線操作の確認といった基本設計。 地味に聞こえますが、こうした「安全の作法」が信頼のカギになると思います。

日本のMacユーザーにはどんな変化?

  • 作業のつなぎ目がなくなる:PDF→表計算→メール下書きといった流れを、自然な言葉でまとめて頼めるようになる。
  • ショートカットの敷居が下がる:会話の中からAIが「定型処理」として提案・自動化してくれる未来が見えてきます。
  • Atlasとの連携:ウェブでの入力や比較はAtlas、ローカルの整理はSky流──そんな分担もありそうです。

この流れは、生成AIと仕事の関係を整理した拙稿(参考メモ)にもつながります。 要するに、「探す→まとめる→実行する」が1つの場所で完結するようになっていく、という話です。

 

 

となりのひとこと

個人的には、これはAppleらしい「やさしさ」を後押しする動きだと感じています。 ちょっとしたひと言で大きな作業が進む。 そんな体験が、Macという道具の心地よさをもっと引き出してくれるはずです。 OpenAIがmacOSのルールをきちんと尊重して溶け込めば、「頼れる相棒としてのMac」が、もう一歩先へ進むと思います。

これからのチェックポイント

  • Skyの行方:単体で残るのか、それともChatGPTやAtlasに完全統合されるのか。
  • 権限の扱い:アクセシビリティ経由の操作をどこまで見える化できるか。
  • 他OSへの展開:macOSでの経験をもとに、Windowsなどに広げていく可能性はあるのか。

まとめ:AIが“画面の向こう側”に入ってくる

まとめ:OpenAI×SAIの買収は、AIが「見て→理解して→動く」時代の始まりです。 ショートカットが育てた“段取りの知恵”に、AIのスピードが加わることで、 Macの作業はアプリの枠を超え、「お願いしたら、もう進んでいる」という未来に近づいていきます。

みなさんは、この変化をどう感じますか? AIがあなたのMacを動かす日、楽しみじゃありませんか?

ではまた!

 

 

Source:

  • Ars Technica
  • OpenAI