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MシリーズMacで“外付けNVIDIA GPU”が動作──Tiny Corpが非公式ドライバを公開、AI開発用に突破口

MシリーズMacで“外付けNVIDIA GPU”が動作

✅この記事では、Tom’s HardwareとIT之家が報じた「MシリーズMacでNVIDIA GPUが動作した」という技術的ブレイクスルーをまとめます。開発元のTiny Corpがどんな方法で実現したのか、どんな制約があるのか、そしてこの動きが今後のMac環境にどう影響するのかを整理します。

 

どうも、となりです。

AppleがIntelチップからMシリーズに完全移行して以降、MacではNVIDIAやAMDの外付けGPU(eGPU)を使えない状態が続いてきました。それを覆すようなニュースが飛び込んできたんです。AIスタートアップのTiny Corpが、MシリーズMacでNVIDIA GPUを動作させる非公式ドライバを開発したというのです。

最新動向:MシリーズMacでNVIDIA GPUが起動

Tom’s HardwareとIT之家によると、Tiny CorpはARM版macOS上でNVIDIA GPUを動作させるドライバの開発に成功しました。このドライバを使うと、Thunderbolt 4やUSB4経由でRTX 30/40/50シリーズの外付けGPUを接続できるとのことです。

今回のドライバは「ゲーム向けeGPU」ではなく、AI開発者がローカルで大規模言語モデル(LLM)などを動かすための用途に特化しています。動画出力には対応していないため、外付けGPUを使ってモニター出力したり、グラフィック処理を高速化することは現状できません。

Tiny CorpのCEOはX(旧Twitter)上で、M3 Max搭載のMacBook ProでNVIDIA RTX GPUを動かしてAIモデルを実行した実例を公開。USB3経由でAMD GPUを動作させた経験が、このNVIDIA対応の土台になったとしています。

背景と技術構造:Appleが閉ざしてきた“eGPUの壁”

AppleはIntel時代のMacではThunderbolt接続によるeGPUを公式サポートしていました。しかし、M1以降のARMアーキテクチャ移行に伴い、NVIDIA・AMDいずれの外部GPUドライバも提供を終了。Apple Siliconの内部GPUと統合設計を前提にしているため、外付け処理系統を公式に開放していなかったんです。

このため、MシリーズMacでは「外部GPUは完全非対応」というのがこれまでの常識でした。Tiny Corpはそこに風穴を開けた格好です。内部の仕組みは、USB4経由でNVIDIA GPUを認識させ、CUDAコアの計算資源をAI処理に転用するもの。描画は行わず、演算のみを担当する形でmacOSの制約を回避しています。

つまり、「画面を出す」ことはできないけれど、「計算を手伝ってもらう」ことは可能にした──というわけです。

MacのAI活用に与える意味

AppleのMシリーズは高効率なNeural Engineを備えていますが、本格的な生成AIの学習・実行にはNVIDIA GPUの並列性能が依然として圧倒的です。Tiny Corpの試みは、MacでのローカルAI開発を広げる“布石”になるかもしれません。

とはいえ、このドライバはまだ非公式で、macOSのアップデートで動かなくなるリスクもあります。さらに、システム権限の制約上、安定性や安全性は自己責任の範囲にとどまります。

ただ、Appleが今後「Apple Intelligence」のようなAI統合を進めるなかで、外部GPUとの共存や拡張の可能性が再び議論されるきっかけになりそうです。

 

 

日本ユーザーの視点:MacをAIワークステーションにする夢

今回のTiny Corpの試み、一般ユーザーにすぐ役立つものではありません。ですが、AI研究やローカル推論をMacで行いたい開発者にとっては、ひとつの光です。

特にApple Silicon Macをメインマシンにしている研究者やエンジニアは、「NVIDIA GPUが使えない」ことを理由にWindowsやLinuxマシンを併用してきました。もしこの非公式ドライバが成熟すれば、Macひとつで開発と実験を完結できる未来が見えてきます。

とはいえ現時点では、“技術的な可能性が見えた”段階。動画出力やグラフィック支援が加わるには、Apple自身の意向とOS層の協力が不可欠です。

まとめ:Appleが閉ざした扉、その向こうに開発者が光を見た

今回のニュースをひとことで言うなら、「MシリーズMacでも“外部GPUでAIを走らせる”時代の入口が見えた」ということです。公式サポートがなくても、技術者たちは諦めていなかったんですね。

Appleが長年守ってきた統合設計の美学。その外側から突破口を見つけたTiny Corpの試みは、これからのMacにとって無視できない動きです。将来、公式なeGPUサポートが戻るかどうかはわかりませんが──もしそうなったとき、きっと今日のこの非公式ドライバが最初の一歩だった、と語られるでしょう。

ではまた!

 

 

Source: IT之家 / Tom’s Hardware