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macOS TahoeでMacが重くなる?原因はElectronアプリ──開発者が修正版を配信開始

macOS TahoeでMacが重くなる?原因はElectronアプリ──開発者が修正版を配信開始

✅ この記事では、macOS 26 “Tahoe”でMacが熱く・遅くなる現象の正体と、DiscordやSlackなどElectronアプリの修正版で解決する方法をわかりやすく整理します。

どうも、となりです。

macOS 26(コードネーム:Tahoe)にアップデートしたら「ファンが回りっぱなし」「GPU使用率が高い」「Macが異様に熱い」──そんな声が世界中で相次いでいました。実はこれ、Appleの不具合ではなくElectron(エレクトロン)製アプリの共通バグが原因でした。

この記事を読むと、「なぜこの現象が起きたのか」「どのアプリが修正済みなのか」「ユーザーは何をすればいいのか」が一目でわかります。

Electron(エレクトロン)とは?──見た目はアプリ、中身はブラウザ

今回の騒動の中心にいた「Electron(エレクトロン)」は、じつは多くの人気アプリの“土台”になっている開発フレームワークです。Slack、Discord、Notion、Figma、Visual Studio Codeなど、どれも中身はElectronで動いています。

仕組みをざっくり言うと、ElectronはWebブラウザをそのままアプリ化したような構造です。開発者は、HTML・CSS・JavaScriptでアプリを作り、ElectronがそのコードをmacOSやWindows上で動かせるように“ラッピング”してくれる。つまり、1つのコードで複数のOS向けアプリを作れるのが最大の強みなんです。

ただしこの仕組み、便利な半面で「軽さ」より「互換性」を優先しているという弱点があります。内部ではChromium(Google Chromeのエンジン)が常に動いているため、普通のアプリよりCPU・GPU・メモリの使用量が多くなりやすいんですね。

今回のようなトラブルが起きると、Electronを使っている多くのアプリが一斉に影響を受けるのはそのため。いわば「同じエンジンを積んだ車が、一斉にリコールを食らう」ようなものです。

この構造自体は長所でもあり短所でもありますが、開発スピードや拡張性の高さから、今も世界中のスタートアップや大手サービスがElectronを採用し続けています。

macOS Tahoeで発生した“GPU暴走”問題とは

9月にリリースされたmacOS 26 “Tahoe”で、「アプリを開いていないのにGPU使用率が高い」「バッテリーが急に減る」といった報告が相次ぎました。原因を突き止めたのは開発者コミュニティで、共通して影響を受けていたのがElectronベースのアプリたち──Slack、Discord、Figma、Notion、Obsidianなどです。

仕組みについては先ほど詳しく解説した通り、この「Electron」は、いわゆるWeb技術で動くアプリの仕組みを持っていて、多くの人気アプリが採用しています。

今回の不具合は、Electronが内部的に使っていた非公開API「cornerMask」がTahoeで動かなくなったことが原因。Appleがこの内部仕様を更新した結果、GPU処理が暴走し、Macが熱く・遅くなる現象につながっていました。

ちなみに、macOS Tahoeでは「Liquid Glass UI」のメモリリーク問題も一部環境で報告されています(こちらの記事で解説)。ただし今回のGPU負荷問題は、OS本体ではなくElectron製アプリの側に原因がありました。

 

 

原因はAppleの“非公開API”──開発者が即修正

Electronチームは原因を突き止めるとすぐに動き、問題のAPIを削除した新バージョンをリリース。これにより、GPU使用率と発熱は元の状態に戻りました。

Appleはこの件について公式コメントを出していませんが、結果的に「Appleの内部仕様変更 × サードパーティの依存構造」という形で不具合が発生していたようです。開発者にとっては、「非公開APIに頼るリスク」を痛感させる出来事になりました。

修正版が配信されたアプリ一覧(2025年10月11日時点)

2025年10月11日時点で、すでに多くのアプリが修正版のElectronを採用済みです。最新バージョンにアップデートすれば、発熱やバッテリー消費の問題はほぼ解消します。

  • 修正版対応済み:Claude、Discord、Docker Desktop、Figma、GitHub Desktop、Notion、Obsidian、Pocket Casts、Signal、Slack、Visual Studio Code など
  • まだ未対応:1Password、Bitwarden、Cursor、Dropbox、Windsurf など

更新状況はオープントラッカー「ShameElectron」で確認できます。SlackやDiscordのように常駐するアプリを使っている場合、最新版へアップデートするだけで動作が軽くなるはずです。

ユーザーが今できる対処法

もしMacが「やけに熱い」「ファンが止まらない」と感じたら、まずはElectron製アプリを疑ってみましょう。アプリのバージョンを最新にするか、一時的にWeb版を使うだけでも改善するケースがあります。

具体的には、以下の順番で試すのがおすすめです。

  1. Discord、Slack、Notionなどをすべて終了する。
  2. アプリを最新バージョンに更新。
  3. 改善しない場合は、一時的にブラウザ版に切り替える。

これでほとんどのケースは解決します。開発者側もすでに修正版の配信を進めているため、数日以内には問題のない環境に戻るはずです。

macOSとElectron──“表と裏”の関係

今回の件は、Appleのシステム更新がもたらした“副作用”の典型例でした。AppleがmacOSの内部仕様をほんの少し変えただけでも、世界中のElectronアプリが影響を受ける。それほどまでに、現代のMac体験はサードパーティアプリに支えられているんです。

表向きは「Tahoeで高速化」「Liquid Glass UIで刷新」といった華やかなアップデートですが、裏ではこうした微妙な齟齬が日々調整されています。今回はElectron開発者たちが迅速に動いたおかげで、被害は最小限にとどまりました。

今回の出来事をひとことで言うと:Appleが“内側”を少し動かしただけで、“外側”の世界が一斉に揺れた。そのギャップをつなぐスピード感こそ、今の開発者コミュニティの底力なんです。

ではまた!

 

 

Source: The Mac Observer