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iPad Pro (M5)をiFixitが分解──直せるところと難所まとめ

iPad Pro M5をiFixitが分解している様子

✅この記事では、iFixitの分解で浮き彫りになった「iPad Pro M5の修理パラドックス」を整理します。外から見ると“いつもの薄いiPad”ですが、中では修理を難しくする要因改善の芽が同居していました。
元ネタはMacRumorsのまとめとiFixitの分解動画。スコアは暫定5/10で、従来よりは上がった一方、現実のハードルは依然高めという評価です。

どうも、となりです。
「バッテリーが弱ったら自分で替えたい」──タブレットでもそう思う人は多いですよね。ところがiPadは長年、最難関クラス。今回のM5世代で何が変わって、何が変わらなかったのか。事実9割+意見1割で、やさしくほどいていきます。

要点まとめ


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  • 修理スコアは暫定5/10。 これまでの2〜3よりは前進だが、“誰でも直せる”水準には非ず。
  • 最大の難所は画面外し。 5.1mmの薄型ボディゆえ、最初の入口が高価なタンデムOLED。割らずに剥がすのが難しい。
  • 接着剤×熱との戦い。 外部ネジはなく、基本は強力な糊。開口にコツと道具が要る。
  • 電池は38.99Whで据え置き。 M4の13インチ相当から容量に目立った変化はなし。
  • USB-Cは救い。 端子は比較的容易に交換可能。ここは現実的な改善点。
  • Self Service Repair拡大。 マニュアル提供とパーツ販売(順次)が進み、“情報の壁”は低くなった。
  • 内部構造は大枠踏襲。 ロジックボード周りはM4世代に近く、JISネジが多数。
  • 結論:設計は難しいまま、運用で支える。 設計由来の難度は残り、公式ガイド・工具レンタルなどで“実務”を下支え。

詳細解説(技術・背景・戦略)

1)なぜ開けにくい?──「最初の一手」が高リスク

CTスキャンでも分かるように、薄さ5.1mmの代償は“入口の狭さ”。画面が内部にぴったり密着しており、最初に外すのが高価で割れやすいディスプレイという構造です。接着剤は強力で、熱+一定のテンションで均一に剥がすスキルが要る。ここでミスると、作業コストが一気に跳ね上がります。

2)電池は据え置き、だが“引きはがしタブ”で救いあり

バッテリーは38.99Whで、前世代13インチと同等。タブが10本仕込まれており、うまくいけば接着を切って取り外せます。ただしタブ端が短く、薄い電池ゆえ掴みにくいのが難点。結局のところ、開口の難しさが全行程のボトルネックになっています。

3)USB-Cは単体交換OK──“壊れやすい箇所”を現実解で

端子損傷は実務で多いトラブル。USB-Cが独立交換しやすいのは朗報です。開けるまでは大変でも、開いてからのリカバリー性が上がったのは確かな進歩。周辺機能では、Wi-Fi 7や外部120Hz出力など接続まわりの底上げも議論が進んでいますが、全体像は既に触れたM5 iPad Proの通信・映像出力整理が参考になります。

4)Self Service Repair拡大:“設計は難、運用で補助”の現在地

今年からiPadにもセルフサービス修理が広がり、ガイド公開や工具レンタルの間口が広がりました。パーツ価格は“ギリ許容”という評価ながら、画面・電池・カメラ・各種センサーといった主要部は揃ってきた。つまりAppleは、設計の根本は維持しつつ、ユーザーが直せる道具立てを整備しているわけです。

5)内部はM4系を踏襲、JISネジ多数

ロジックボードの取り外しプロセスはM4世代に近く、カウルやテープ、コネクタの順に進めます。ねじはJIS規格が中心で、フィリップスで無理やり回すとナメやすいのも要注意。フロント/リアカメラ、LiDAR、環境光センサー、マイクなどもアクセス自体は可能ですが、そこに至るまでが長いというのが本質です。

6)“冷却はどうする問題”と将来像

一部でベイパーチャンバー採用の噂も出ていますが、今回のM5世代で大きく化けた痕跡は薄め。AIワークロードの伸びや、iPadOS 26での生成支援・要約・編集の活用を考えると、発熱と薄型のバランスは継続テーマです。iPadのAI強化は、先日の開発者談話でも触れたiPadOS 26×M5インタビュー整理が近道になります。

7)“仕様は小変更、体験は積み上げ”の年

内部設計は大枠踏襲で、スペック表の変化は最小限。ただ、高速充電や周辺機能の使い勝手などは着実に磨かれています。日常の快適さという意味では、既にまとめたM5世代の意外な便利ポイントもあわせて読むと、見え方が変わるはずです。

ひとこと:“修理パラドックス”は解けるのか

ここが今回の核心です。
設計思想は薄さと一体構造を優先し続ける。一方で、ガイド・工具・パーツ提供でユーザーの挑戦を後押しする。つまり、“壊れにくく・長く使える”ことを前提に、もし壊れたら最小限の現実解を用意するというバランスに見えます。
個人的には、「入口が高難度のまま」なのは残念。でも、USB-C単体交換のような実務的な改善を積み重ねる姿勢は評価したいです。

まとめ:設計は難しいまま、運用で寄り添う“中間解”

iPad Pro M5は、薄さと強度を優先する設計ゆえ、最初の一手(画面外し)が重い──この事実は変わりません。
それでも、USB-Cの交換容易化やセルフサービスの拡大など、直したい人への手がかりは確実に増えています。
派手さはないけれど、こうした現実的な歩み寄りがユーザー寿命を少しずつ延ばすのかもしれません。あなたは“薄さの快感”と“直しやすさ”、どちらを取りますか?

ではまた!

※この記事はiFixitによる分解レポートをもとに構成しています。分解や改造を推奨するものではありません。修理は必ず正規のサポート窓口をご利用ください。

 

 

Source: MacRumors, iFixit