
✅この記事では、iOS 27で導入されるRAW画像処理エンジン「RAW 9」について、何が変わるのか、そして自分の写真にどう関わるのかを整理します。
- 要点まとめ:RAW 9で押さえておきたいこと
- 「RAW 9」って結局なに?
- 「過去最大」の中身は、2つの工程を1つにしたこと
- 暗い写真だけの話ではない
- 色も、文字も濁らない
- 見落としがちな2つ ─ 古い写真と、恩恵の範囲
- 海外の反応:これは誰のための機能なのか
- ひとこと:裏方に徹する更新
- まとめ:iOS 27の写真は、撮った後にも伸びる
どうも、となりです。
新しい写真の機能というと、たいていは最新のiPhoneを買うか、これから撮る一枚の話です。ところが今回のRAW 9は、そこが少し違います。もう撮り終えて、ノイズだらけで諦めていた古い写真にまで、後からかけ直せる。しかも対象はiPhoneだけでなく、MacやiPad、手持ちのカメラで撮ったRAWまで含みます。
AppleはこれをWWDC26の開発者向けセッション(Core ImageでRAW画像処理を強化する)で静かに披露しました。派手な基調講演ではなく現像エンジンの話なので見落とされがちですが、写真を撮る人にとっては地味に大きい変化だと思います。作例が分かりやすいので、そこから見ていきます。
要点まとめ:RAW 9で押さえておきたいこと
- iOS 27・iPadOS 27・macOS 27(とvisionOS 27)に、システム全体で共通のRAW現像エンジン「RAW 9」が入る。Appleは8世代を重ねてきた現像アルゴリズムの中で、これを「過去最大の更新」と説明している
- 機械学習のモデルが、デモザイク(センサーのデータを色付きの画像に組み立てる工程)とノイズ除去を一括で処理する。計算はApple Neural Engine(ニューラルエンジン)を使い、デバイスの中で完結する
- Core Image経由で約800機種のカメラのRAWに対応し、iPhoneのProRAWも対象。開発者は自分のアプリでRAW 9を有効にできる
- 過去に撮ってあるRAWも、後から再処理してノイズを減らし細部を出し直せると、Appleがデモで示した
「RAW 9」って結局なに?
RAW(ロウ)は、カメラのセンサーが受け取った光をそのまま記録したデータのことです。JPEGのように「そのまま見られる写真」に仕上げる前の、いわば材料の状態。この材料を一枚の色付き画像に組み立て、ノイズを整える作業が現像で、その中核を担うのがAppleの「RAW 9」です。
数字の9は9世代目という意味で、Appleは今回を、これまで8回積み重ねてきた現像アルゴリズムの中で「過去最大の更新」だと説明しています。しかもこれは写真アプリだけの機能ではなく、iOS 27・iPadOS 27・macOS 27といったOS全体に共通で入るシステムの土台です。まずは、現像をかける前の生のRAWがどんな状態かを見てください。

「過去最大」の中身は、2つの工程を1つにしたこと
これまでの現像は、センサーの点の集まりを色付きの画像に組み立てる「デモザイク」と、その後の「ノイズ除去」を、別々の工程で順番にかけていました。RAW 9はこの2つを、機械学習のモデルひとつでまとめて処理します。画像をタイル状に区切って推論し、その計算はApple Neural Engineを使ってデバイスの中で完結します。写真をどこかへ送らずに手元で処理できるわけです。セッションでこれを説明したのは、AppleのCore Imageエンジニア、デイビッド・ヘイワード(David Hayward)氏でした。
何が変わるかは、作例がいちばん早いです。さっきのISO 51200のクレヨンを、従来のRAW 8と新しいRAW 9で現像し直すと、違いがはっきり出ます。


RAW 8もノイズはきれいに消しています。ただ、消すのと引き換えに細部まで塗りつぶしてしまい、全体が絵の具でべたっと塗ったように見えます。RAW 9は、ノイズを抑えながらクレヨンの角や色の境目を残せている。ここが今回の肝で、ノイズを消すと細部も消えるという長年のトレードオフに、機械学習で踏み込んだわけです。
暗い写真だけの話ではない
意外なのは、ノイズがほとんど乗らない明るい条件でも差が出ることです。次はSony A7 IIをISO 100、つまりいちばんノイズの少ない設定で撮った、古い計器の文字盤です。


ノイズ除去がほとんど関係しない場面なのに、RAW 9のほうが数字や目盛りがはっきりしています。これはデモザイク、つまりセンサーの点を画像に組み立てる工程そのものが賢くなったからです。暗所で撮った一枚だけでなく、ふだんの写真の解像感にも関わってくるという意味で、対象になる場面はかなり広いと思います。
色も、文字も濁らない
もうひとつ、色の再現と質感も見ておきます。Fujifilm X-T5をISO 12800で撮った、刺繍糸の束です。高感度なので、RAW 8では糸の質感がざらつき、ラベルの「100% Mercerized Cotton」の文字もにじみ気味になります。


たとえば旅先で撮った看板やメニュー、手元の書類のように「後で文字を読み返したい」写真だと、この差はそのまま実用に関わります。赤やピンクのような転びやすい色も濁りにくいので、記憶に近い色のまま残せます。
見落としがちな2つ ─ 古い写真と、恩恵の範囲
いちばん驚くのは、たぶん「古い写真も良くなる」という点です。RAW 9は新しく撮る写真だけでなく、過去に撮ってあるRAWを後から再処理できます。ノイズで諦めていた昔の一枚が、OSを上げるだけで細部を取り戻す。Appleはそういうデモを見せています。RAWで撮りためている人ほど、手持ちのライブラリ全体が底上げされる形です。
機械学習と聞くとApple Intelligenceを思い浮かべるかもしれませんが、RAW 9はCore Image(Appleの画像処理の土台)側の話で、対応チップが条件になるApple Intelligenceの新機能とは別系統です。どの機種まで対応するかの細かい条件は、今のところ公表されていません。
ただ、どこまで恩恵が届くかは冷静に見ておきたいところです。RAW 9はあくまでAppleのRAW処理を通すアプリの中の話で、写真アプリやiPhoneのProRAW、Core Imageを使うサードパーティ製アプリが対象です。Core Image経由で約800機種のカメラのRAWに対応し、開発者は自分のアプリでRAW 9を有効にできます。逆に言えば、Lightroomのように独自の現像エンジンを持つアプリは、Appleの現像を通さないので基本的に変わりません。「iOS 27に上げれば、どのアプリで見ても全部の写真が勝手にきれいになる」わけではない、というのは押さえておきたいところです。
海外の反応:これは誰のための機能なのか
反応は賛否よりも、「これは誰のための、どこまで届く機能なのか」を巡って割れている印象でした。
No one is editing their dedicated camera raws on an iPhone
わざわざ一眼のRAWをiPhoneで編集する人なんていないでしょ。
誰のための機能かという懐疑です。確かに一眼のRAWをスマホで編集する人は限られます。ただ、RAW 9はiPhoneに閉じた話ではなく、Macでも同じエンジンが使われるのがポイントで、そこへ反論もすぐ付きました。
This applies to RAW images captured on all cameras and edited on all Apple devices using any software that uses RAW 9 from Apple for RAW image processing
これは、あらゆるカメラで撮ったRAWが対象で、AppleのRAW 9を使うソフトなら、どのAppleデバイスでの編集にも反映される。
範囲は思ったより広いという整理です。iPhoneかMacか、という以前に「AppleのRAWを使うソフトかどうか」で分かれる、という見方で、これは記事の肝とそのまま重なります。
Only me that thinks it looks slightly over sharpened?
ちょっとシャープをかけすぎに見えるの、ぼくだけ?
やりすぎでは、という声もありました。効果が強い分、輪郭を立てすぎに感じる人もいる。作例の見え方には好みも入るので、実機で自分の写真を見てから、という慎重さは分かります。
As much as I would love Aperture to return, I don’t really want to pay $129/year for it.
Apertureが復活したら最高だけど、そのために年129ドルは払いたくないかな。
エンジンより「アプリ」が欲しいという本音です。現像の土台が強くなるのは歓迎しつつ、かつてAppleが提供していたプロ向け写真アプリ「Aperture」の復活を望む声は根強い。ただ、サブスクなら渋る、というのも正直なところなのでしょう。
ひとこと:裏方に徹する更新
ぼくがいちばん惹かれたのは、派手なISO 51200のクレヨンよりも、この更新が徹底して裏方に回っているところです。ほとんどの人はRAW 9という名前すら意識しないまま、写真アプリの中で少しだけきれいになった自分の写真を見ることになります。新機能として騒がれにくいぶん過小評価されそうですが、撮った後の一枚を、ずっと後からでも手当てできるという考え方は、写真との付き合い方を少し変えると思います。
まとめ:iOS 27の写真は、撮った後にも伸びる
RAW 9は、暗い場所のノイズだけでなく、明るい場所の解像感や色まで底上げする、現像の土台の更新でした。しかも新しく撮る写真に限らず、過去のRAWにも後からかけ直せます。ただし恩恵はAppleのRAW処理を通す範囲で、独自エンジンのアプリは別物、というのは覚えておきたいところです。
自分に関係するかを知りたいなら、まずは普段からRAW(iPhoneならProRAW)で撮っているかを確かめるのが早いです。JPEGしか撮っていなければ直接は関わりませんが、それでもiOS 27で写真がどう変わるかは、AI編集が増える写真アプリの新機能ともつながる話です。正式版はこの秋の予定なので、手持ちのRAWがどう見え直すか、実機で試せる日が楽しみです。
ではまた!
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