
✅この記事では、MicrosoftがiPhoneで試したBlink版Edgeの速さと、iOSのブラウザがすべてSafariと同じ仕組みで動いている理由を整理します。
- 要点まとめ:Blink版Edgeの数字と、iPhoneのブラウザ事情
- Microsoftが試したBlink版Edgeが、iPhoneでSafariを上回った
- なぜiPhoneのブラウザは、ぜんぶ中身がSafariなのか
- 28.6%という差を、どう受け止めるか
- 代替エンジンが、いつまでも出てこない理由
- 海外の反応:速さより、電池とプライバシーを見ている人たち
- ひとこと:速さの上限が見えたことが、いちばんの収穫
- まとめ:iPhoneのブラウザは当面WebKitのまま、でも天井は見えた
どうも、となりです。
ふだんiPhoneでChromeやFirefoxを使っていても、その中身がSafariと同じだと意識する場面はあまりないと思います。今回、その「中身」の差が数字としてはっきり見えました。MicrosoftのEdge開発チームが、iPhoneの上でChromeと同じエンジンを動かす試作機を作り、同じ端末でSafariより速いベンチマーク結果を出した、という話です。
ぼくは「速い」よりも先に、「そもそもiPhoneで別のエンジンが動いたんだ」というほうに驚きました。順番に見ていきます。
要点まとめ:Blink版Edgeの数字と、iPhoneのブラウザ事情
- MicrosoftのEdge開発チームが、iOSで動くBlink版Edgeの試作機を公開し、ベンチマークでSafariを上回りました
- iPhone 17 Pro Max・iOS 26.5.1での測定で、Speedometer 3.1は49.27対38.3(28.6%差)、JetStream 3とMotionMark 1.3.1でもBlinkが上に出ました
- これは個人端末で測った予備的な試作の結果で、製品の発表ではありません
- iOSは今もすべてのブラウザにWebKitを使わせていて、ふだんの利用がすぐ変わるわけではありません
- EUのDMAで2024年3月から代替エンジンは認められたものの、実際に配布された例はまだ確認されていません
Microsoftが試したBlink版Edgeが、iPhoneでSafariを上回った
今回ベンチマークを公開したのは、MicrosoftでEdgeのWebプラットフォームを担当するグループプロダクトマネージャーです。AppleのBrowserEngineKit(Appleが用意した、Safari以外のエンジンをiOSへ載せるための枠組み)を使って、Chromeが使っているBlink(ブラウザエンジン)でEdgeを動かす試作機をiPhone上で組み、Safariと速さを比べました。報じているのはAppleInsiderとMacRumorsです。
測定はiPhone 17 Pro Max(A19 Pro搭載)、iOS 26.5.1という同じ条件です。Webの体感速度を見るSpeedometer 3.1で、Blink版Edgeが49.27、Safariが38.3。差にすると28.6%です。JavaScriptとWebAssemblyの処理を見るJetStream 3でも306.35対270.9、描画を見るMotionMark 1.3.1でも4,773.52対4,673.68と、いずれもBlinkが上に出ました。

差がいちばん大きいのはSpeedometerで、描画のMotionMarkは2.1%とごくわずかです。エンジンによって得意な場面とそうでない場面があるのも、そのまま出ています。
なぜiPhoneのブラウザは、ぜんぶ中身がSafariなのか
ここがこの話の前提です。iPhoneのブラウザは、見た目がChromeでもFirefoxでも、中身はすべてSafariと同じWebKit(Appleのブラウザエンジン)で動いています。Appleが長らく、iOS上のブラウザにWebKitの利用を求めてきたからです。アイコンは違っても、ページを読み込んで表示する一番の心臓部分は共通、というわけです。
だから今までは、iPhoneの上で「Safariのエンジン」と「Chromeのエンジン」を同じ土俵で比べること自体ができませんでした。今回が注目されたのは、速さの数字そのものより、BrowserEngineKitを使ってBlinkを実際にiOSで走らせ、初めて同じiPhoneで横並びの比較ができた、という点だと思います。差がどうこうの前に、比較できる状態が珍しいんです。
28.6%という差を、どう受け止めるか
ここは数字をそのまま受け取る前に、条件を確かめておきたいです。今回の数字は、ラボの管理された環境ではなく個人のiPhoneで測った予備的な試作の結果で、製品としての発表ではありません。広告ブロックなどの拡張機能を入れた状態かどうかといった条件も、そろえて比べたものではありません。完成して作り込まれたSafariと、出たばかりの試作エンジンを並べている、という前提は外せません。
M5チップのiPad ProでSafariを測ると、Speedometer 3.1は45.7でした。iPhone上のBlink版Edge(49.27)は、これも上回っています。見出しとしては目を引きますが、これも同じで、製品同士の体感差というより「エンジンの素の力」を見ている数字です。Mac側でも先日、ChromeがM5 MacBook ProでSafariを上回るベンチマーク記録を出していて、エンジン単体の速さでBlinkが先行している傾向は続いています。
この数字が出たからといって、ふだんのiPhoneのブラウザが今すぐ速くなるわけではありません。あくまで「もしiOSで別のエンジンが使えたら、これくらいの差が出る余地がある」という、天井を見せてくれた検証だと受け止めるのがちょうどよさそうです。
代替エンジンが、いつまでも出てこない理由
「だったら別エンジンのブラウザを入れたい」と思うところですが、現実はなかなか動いていません。EUではデジタル市場法(DMA)によって2024年3月から代替エンジンが認められています。それでも2年以上たった2026年6月の時点で、実際に配布された代替エンジンのブラウザはまだ確認されていません。デジタル市場法をめぐるAppleとEUの対立の延長線上にある話で、ルールが認めても、すぐ製品が並ぶわけではないのが実情です。
理由として挙がっているのは、既存アプリの更新としてではなく別アプリとして出し直す必要があること、技術的なバグ、必要なAPIがまだ整っていないこと、あたりです。作る側からすると、わざわざ別アプリで一から出して、不具合のリスクも背負う割に得が見えにくい、という状態なのだと思います。
そしてこの解放は、あくまでEUのDMAに沿った話です。日本でも、今この瞬間にBlink版のブラウザが選べるようになるわけではありません。今回の数字は「将来こうなり得る」という話で、手元のiPhoneですぐ試せる機能とは別だと考えておきたいところです。
海外の反応:速さより、電池とプライバシーを見ている人たち
反応は、元記事のひとつであるAppleInsiderのコメント欄から拾いました。速さの数字そのものより、「自分が乗り換えるか」という現実的な目線が目立ちます。
Chrome could be 100x faster in a benchmark - I still wouldn't use it because (a) I know it'll drain my battery faster and (b) I don't want to give Google even more of my private data than I do already through gmail.
ベンチマークでChromeが100倍速かったとしても、自分は使わないと思う。(a) 電池の減りが速くなるのは分かっているし、(b) Gmailで既に渡している以上のプライベートなデータを、これ以上Googleに渡したくないからだ。
速さだけでは動かないという声です。ベンチマークの差は認めつつ、電池持ちと個人データの扱いを優先する、という判断がよく出ています。
It's a framework. It's not part of an actual product. It's somewhat faster in certain ways and those aren't even repeatable because they aren't lab results. This says nothing about real world performance or even performance as part of a final product.
これはフレームワークであって、実際の製品の一部ではない。たしかに一部の場面では多少速いが、ラボでの結果ではないので再現もできない。実世界での性能や、完成した製品としての性能については、何も語っていない。
まだ製品ではないという冷静な指摘です。試作のフレームワーク段階で、ラボ測定でもない予備的な数字だから、実利用の速さを語るには早い、という見方は、本文の受け止め方とちょうど重なります。
I do not care about speed. I care about filtering. I'd love to have full fledged Firefox on iDevices. But Orion lets me run the absolutely critical uBlock Origin, so that's what I use.
速さはどうでもいい。気にしているのはフィルタリングだ。iデバイスで本物のFirefoxが使えたら最高だと思う。でもOrionなら絶対に欠かせないuBlock Originが動くから、自分はそれを使っている。
速さより広告フィルタを見る人もいます。速度ではなく、uBlock Originのような広告フィルタが使えるかどうかでブラウザを選ぶ、という実用目線です。エンジンの数字とは別の軸で乗り換えを考える人がいるのが分かります。
ひとこと:速さの上限が見えたことが、いちばんの収穫
ぼくがこの件でいちばん大きいと感じたのは、28.6%という数字よりも「同じiPhoneで、エンジンの差を初めて測れた」ことのほうです。これまでは全部WebKitだったので、速いも遅いも比べようがなかったんです。試作とはいえ、Webの中身を動かすエンジンを変えるとどれくらい変わり得るのか、その天井が一度見えたのは大きいと思います。差を埋めにいくのか、それともこのまま閉じておくのか。次に動くとしたらApple側で、WWDCのようなタイミングでSafari側の手当てが出てくるかどうかを見ていきたいところです。
まとめ:iPhoneのブラウザは当面WebKitのまま、でも天井は見えた
今回のポイントを短くまとめます。MicrosoftがiPhoneでBlink版Edgeの試作機を動かし、Safariをベンチマークで上回りました。ただしこれは個人端末での予備的な試作結果で、製品ではありません。iOSのブラウザは今もすべてWebKitで動いていて、ふだんの使い勝手がすぐ変わるわけでもありません。
もしあなたがiPhoneでよく調べものをして、速さや電池が気になるなら、当面いじれるのはエンジンより手元の環境のほうです。広告ブロックの設定を見直したり、電池の持ち方を整えたりするほうが、今日の使い心地には直結します。今回の検証は、その先にある「iOSのブラウザはどこまで速くなり得るのか」を測る最初の物差しとして覚えておくと、次にAppleが動いたときの見え方が変わってきます。
ではまた!
エンジンの速さより電池の減りが気になる、という海外の声がそのまま自分に当てはまる人向けです。背面に貼って充電しながら調べものを続けられる薄型タイプなので、ブラウザを長く開く日の心細さが減ります。
AmazonSource:AppleInsider①、AppleInsider②、AppleInsider③、AppleInsider④、MacRumors、Wccftech