となりずむ

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Apple WatchがEdge AIスマートウォッチ市場の約9割を占める、90%の読み方

空間ブラックのApple Watchが青いソロループバンドを付け、画面にヘルスケアの赤いハートと「Possible Sleep Apnea」の通知を表示している

✅この記事では、Apple WatchがEdge AI対応スマートウォッチの約9割を占めたという調査を、数字の中身と日本での使い勝手まで整理します。

どうも、となりです。

「Edge AIスマートウォッチのシェアで、Appleが約9割」。Counterpointという調査会社のこの一文が、9to5Mac経由で流れてきました。数字だけ見ると、AppleがAIで他社を9倍突き放したように読めます。でも最初に引っかかったのは、そもそも「Edge AIスマートウォッチ」って何を数えた話なんだろう、というところで。

先に結論だけ言っておくと、この90%は「AppleのAIが飛び抜けて賢い」という話ではありません。手元で健康や操作をこなすウォッチを、Appleがほぼ一社でいちばん多く出荷している、という構図の反映です。そのうえで、レポートが伸びていると伝えた血圧や睡眠時無呼吸の「検出」が、日本でどこまで使えて、どこは過信しない方がいいのか。そこまで一緒に確かめます。

要点まとめ:Apple Watch 9割の中身

  • Counterpointの調査で、Apple WatchがQ1 2026のEdge AI対応スマートウォッチ出荷の約90%を占めた。市場全体は前年同期比で70%成長
  • Edge AIスマートウォッチ=専用のNeural EngineやNPUを積み、健康・安全・操作のどれかを手元(オンデバイス)で推論するウォッチ、という定義
  • 浸透率は前年の15%から25%へ。出荷される4台に1台が該当し、2026年内に32%へ近づく見込み
  • 血圧・睡眠時無呼吸・ECGを載せるウォッチが増加。ただしApple Watchの血圧は数値の測定ではなく、高血圧パターンの通知
  • 睡眠時無呼吸・高血圧・心電図の通知は、いずれも日本でも提供済み
この90%はAIの性能差というより、定義を満たす高価格帯ウォッチの出荷量の話です。血圧や睡眠時無呼吸の「検出」は測定や診断そのものではなく、早めに気づくためのきっかけと考えると、期待の置き場所を間違えずに済みます。

 

「9割」はスマートウォッチのAIランキングではない

Edge AI対応スマートウォッチの浸透率を、Q1 2025は15%、Q1 2026は25%とドーナツ図で比較したCounterpointのグラフ

まず、Edge AIという言葉から。ざっくり言えば、AIの処理をクラウドに送らず、その機器の中で済ませることです。データをネットの向こうへ飛ばさず、手元のチップで計算する。Apple Watchなら、内蔵のNeural Engine(AI計算用の回路)が、ジェスチャーやSiriへの指示、一部の健康・安全のサインを、その場(ものによってはペアのiPhone)で処理します。

Counterpointが「Edge AIスマートウォッチ」と数えたのは、この条件を満たすものです。専用のNeural EngineやNPUを積み、健康・安全・操作のうち少なくとも1つの主要な推論を、その回路の上でローカルに動かしているウォッチ。この線引きの内側で、Q1 2026の出荷の約9割がApple Watchだった、というのが今回の数字です。市場全体では前年同期比で70%伸び、浸透率は前年の15%から25%へ。出荷される4台に1台が該当する計算になります。

ただ、この90%を「AppleのAIが他社より9倍賢い」と読むと、たぶん見当が外れます。定義そのものが「専用チップで健康などをローカル処理するウォッチ」なので、Neural Engineを標準で積み、オンデバイスの健康機能を広く載せているApple Watchは、ほぼ自動でこの枠に入ります。逆に、処理をスマホやクラウドに丸投げする安価なウォッチは、いくら数が出ても枠の外です。つまりこの9割は、AIの優劣というより、「条件を満たすウォッチをいちばん多く出荷しているのは誰か」という問いの答えに近いんです。

クラウドに送らないと、何が変わるのか

手元で処理する、と聞いてもピンと来にくいので、生活の側から見てみます。たとえば夜、寝ている間の呼吸の乱れや、日中の心拍の揺れ。こうした体のサインは、四六時中こまかく記録され続けるデータです。これを全部クラウドへ送って判定していたら、通信も電池も消耗しますし、何より自分の体の細かい記録が常時外へ出ていくことになります。

手元のチップで完結させると、そこが変わります。反応が速く、オフラインでも動き、体のデータが基本的にウォッチとiPhoneの中に留まる。健康や安全の通知とは相性のいい作りです。Counterpointは、この流れが「ハードを載せる段階から、ソフトの作り込みの段階へ移りつつある」と見ています。小さく効率のいいモデルと、どのアプリでも手元で推論を回せるOSの土台が揃えば、瞬時の健康アラートやジェスチャー操作がもっと自然になる。だから浸透率は2026年内に32%へ近づく、というのが同社の見立てです。

血圧・睡眠時無呼吸・ECGは、どこまでの機能か

スマートウォッチの健康機能の浸透率を示す棒グラフ。血圧が11%から23%、睡眠時無呼吸が5%から18%、ECGが31%から34%へ伸びたことを示す

今回のレポートで具体的だったのが、健康機能の広がりです。前年のQ1と比べて、血圧の監視は11%から23%へ倍増、睡眠時無呼吸の検出は5%から18%へ約3倍、ECG(心電図)は31%から34%。ここは但し書きが一つあって、この数字はEdge AI対応ウォッチだけでなく、スマートウォッチ全体での割合です。グラフにはApple Watchと並んで、SamsungのGalaxy WatchやHuaweiのウォッチも顔を出しています。健康機能そのものは、もうApple専用の武器ではありません。

ただ、同じ「血圧」でも中身は各社で違います。ここがいちばん誤解しやすいところなんですが、Apple Watchの血圧機能は、血圧計のように数値を測るものではありません。心拍の変化から「高血圧が続いている可能性」をパターンとして拾い、気づいていない人に受診をうながす通知です。数字そのものを出すSamsungやHuaweiの測定型とは、狙いがそもそも別物なんですね。睡眠時無呼吸も同じで、その場で診断するのではなく、可能性のサインに気づかせる作りになっています。

日本ではどこまで使えるのか

海外発の健康ニュースは、日本では未対応のまま、ということがよくあります。でも今回に関しては、そこが明るい材料でした。Appleの機能提供状況ページを見ると、睡眠時無呼吸の通知、高血圧の通知、心電図(ECG)は、いずれも日本で提供済み。90%の土台になっている健康機能は、日本のApple Watchでもひととおり使えます。

高血圧パターンの通知は、日本でも2025年12月に提供が始まった機能で、対象はApple Watch Series 9以降とUltra 2以降。心拍の変化から30日以上のデータをならして、隠れた高血圧のパターンに気づかせてくれます。ここでも忘れたくないのは、あくまで「気づくきっかけ」であって、病院での測定や診断の代わりではないという一線です。実際に数字を管理したいなら、腕にカフを巻く血圧計のほうが向いています。

海外の反応:手首の「検出」をどこまで信じるか

今回の調査そのものへの反応はまだ少ないのですが、レポートが伸びていると伝えた血圧や睡眠時無呼吸の「検出」について、手元のセンサーをどこまで信じるかという声は、以前から根強く出ています。

Accurate BP reading is notoriously difficult to achieve, and even more so at wrist level. Even the large wrist cuff based ones have historically been less accurate than arm cuff models. I don’t see why anyone who has, or is concerned about, hypertension should trust any watch-sized device used for this purpose.

正確な血圧測定はもともと難しく、手首ならなおさらです。手首にカフを巻くタイプでさえ、これまで腕に巻くタイプより精度は劣ってきました。高血圧の人や、それを気にしている人が、この目的で時計サイズの機器を信用する理由が分かりません。

Mr_Ed / MacRumors Forums(2025年3月24日)

精度への根強い不信。手首での血圧は、腕のカフ式に比べるとどうしても難しい、という指摘です。だからこそAppleが「測定」ではなく「パターンの通知」に寄せている、とも読めます。

But I call bullcrap on that because a lot of us who have been diagnosed are managing it. I would love to know if it suddenly detects that my blood pressure is out of whack so I can talk to my doctor about adjusting my prescription.

いや、それはおかしいと思う。診断済みでも、多くの人は自分でちゃんと管理しているんだから。もし血圧が急におかしくなったのを検知してくれるなら、ぜひ知りたい。そうすれば主治医に薬の調整を相談できる。

macduke / MacRumors Forums(2025年9月18日)

使いたいのに、はじかれる。高血圧の通知は「まだ気づいていない人向け」に絞られていて、診断済みの人は対象外になります。すでに管理している人ほど、日々の変化を教えてほしい、という不満です。

So basicly useless, same as the sleep apnea and body temperature “detection”. Smoke and mirrors marketing. Reminds me of the emojis every year. We need real ground breaking innovation and accurate health sensors, and one would like to think that Aplle would lead in this field, but they are not.

つまり基本的に使えない。睡眠時無呼吸や体温の「検出」と同じで、見せかけのマーケティングだ。毎年の絵文字と同じにおいがする。本当に必要なのは画期的な革新と正確な健康センサーで、この分野ではAppleがリードしていると思いたいところだけど、実際はそうじゃない。

Digitalweddings / MacRumors Forums(2025年9月18日)

「検出」祭りへの冷めた目。通知は診断ではない、という但し書きを、機能そのものの弱さと受け取る人もいます。ここは評価が割れるところで、気づくきっかけとして割り切れるかどうかで、価値の見え方がずいぶん変わります。

ひとこと:90%より、「何を数えたか」に目がいった

これまで色々な「シェア○%」を見てきましたが、今回は90%という大きさよりも、「Edge AIスマートウォッチ」という枠の引き方のほうに目がいきました。専用チップで健康をローカル処理するウォッチ、という条件で数えれば、そこはApple Watchの得意分野そのものなので、9割という結果は起きるべくして起きた、という感じがします。

むしろ気になったのは、健康機能が競合にも広がる一方で、Appleが数値の「測定」ではなく「通知」に寄せ続けているところです。正確な数字は医療機器に任せて、自分たちは異変に早く気づかせる側に立つ。派手ではないけれど、毎日つけるものとしては、ぼくはこの割り切りのほうを信用できます。

まとめ:90%は入口、中身は「気づくきっかけ」

Counterpointの調査は、Apple WatchがEdge AI対応スマートウォッチの約9割を占めた、と伝えました。ただ、その9割はAIの性能差というより、定義を満たすウォッチをいちばん多く出荷しているという構図でした。血圧・睡眠時無呼吸・ECGといった健康機能は市場全体で伸びていて、しかもそのどれもが、日本のApple Watchで使えます。

使う側として押さえておきたいのは、Appleのこれらは「検出」や「通知」であって、測定や診断ではないという一点です。手首の通知で異変のきっかけをつかみ、気になったら医療機器できちんと測る。その順番でつき合うと、この健康機能は素直に頼れます。90%という見出しの大きさより、いま自分のApple Watchでどの健康通知をオンにしているか。そっちのほうが、たぶん生活には近い話です。

ではまた!

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Apple Watchの通知で高血圧のパターンに気づいたら、次に知りたいのは実際の数字です。上腕にカフを巻くタイプは手首より測定が安定しやすく、チューブのない一体型なので毎朝の記録も続けやすい形です。

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