
✅この記事では、AppleがGoogle製の大規模AIモデルを新しいSiriの“頭脳”として採用する計画について整理します。あわせて、その中核にあるとされるGemini 3クラスのモデルがどんな実力を見せているのか、そしてiOS 26.4のSiriがどんな位置づけになりそうかを考えていきます。
- 新SiriとGoogle提携の“要点”まとめ
- Gemini 3はどれくらい“やれる”モデルなのか
- 新Siriはどう変わる? いま見えている輪郭
- 注目したいポイント:それでもAppleらしさは守れるのか
- 日本のユーザー目線で気になるポイント
- ひとこと:Siriが“使える前提”になるかどうかの分岐点
- まとめ:Siriの“中身”が静かに総入れ替えされる年
どうも、となりです。
ここ数年、「Siriだけ取り残されているよね」という感覚を持っていた人は多いと思います。Apple Intelligenceの発表でようやく巻き返しの兆しが見えたところに、「Siriの中身にGoogleのAIを載せる」という報道が出てきたので、もやっとした人もいたかもしれません。
ただ、今回9to5Macの記事で改めて整理されていたのは、Googleの最新モデル「Gemini 3」が想像以上に評価されているという事実です。ここがわかってくると、「AppleがあえてGoogleと組む」ことにも、少し違った見え方が出てくるんですよね。
新SiriとGoogle提携の“要点”まとめ
まずは、元記事(Ryan Christoffel氏による9to5Macの記事)で挙げられているポイントをざっくり整理します。
- Appleは新しいSiriのアップグレードに向けて、Googleと提携する計画がBloombergの複数レポートで報じられている。
- ユーザー側から見ると、「GoogleブランドのSiri」になるわけではなく、表向きはあくまで“Apple製Siri”のまま動作する見込み。
- プライバシーはAppleの従来方針に沿って設計され、現在の「ChatGPTを呼び出すSiri拡張」とは別物の、標準Siriの中身そのものを置き換えるアプローチになると見られている。
- その頭脳として、Googleが開発した約1.2兆パラメータ級のAIモデルが使われると報じられており、これは事実上「Googleのフラッグシップ級モデル」に相当する。
- この背景として、最新モデルGemini 3がLMArenaなどのベンチマークで高い評価を獲得し、推論性能やコスト面でOpenAIなどを大きく上回るシーンが出てきているとThe Vergeが伝えている。
- 特にARC-AGI-2のような「汎用推論」に近いベンチマークで、OpenAIのGPT-5 Proに対して約2倍のスコアを出しつつ、推論コストは1/10程度と紹介されている。
- こうした状況を踏まえ、筆者は「2026年にAppleがSiriの約束をきちんと果たせるかどうか」にとって、今回のGoogle提携はかなり合理的な解だと評価しており、このあたりの契約規模や背景はSiriとGeminiの1Bドル契約まとめでも詳しく整理しています。
ざっくり言うと、「Siriの頭脳を、今もっとも評価が高いAIモデル陣営に全面委託する」というのが今回の方向性なんですよね。
Gemini 3はどれくらい“やれる”モデルなのか
次に、記事の中で詳しく触れられていたGemini 3の評価についてもう少し整理してみます。
The Vergeがまとめた各種レポートによると、Gemini 3はLMArena(AIモデルの評価プラットフォーム)でトップの座を獲得し、単なるスコア更新以上のインパクトがあると評価されています。
- LMArenaの共同創業者であるWei-Lin Chiang氏は、コーディングや数学、クリエイティブライティングといった「職業スキル的なカテゴリ」でGemini 3 Proが明確なリードを持っているとコメント。
- 「エージェント的なコーディング能力」においては、Claude 4.5やGPT-5.1といったトップクラスのモデルを多くのケースで上回ると述べています。
- テキストだけでなく画像理解などのマルチモーダル分野でもトップ評価を獲得し、テキスト系リーダーボードでは初めてスコア1500超えを達成したとされています。
- DataRobotのAlex Conway氏は、ARC-AGI-2という推論系ベンチマークでのスコアがGPT-5 Proの約2倍でありながら、タスクあたりのコストは10分の1程度と証言しています。
さらに、Salesforce CEOのMarc Benioff氏が「3年間毎日ChatGPTを使ってきたけれど、Gemini 3を2時間触っただけで戻れないと感じた」とXで投稿している、というエピソードも紹介されていました。もちろん個人の感想ではあるのですが、業界のヘビーユーザーから見ても「かなり違う」と感じるレベルになってきている、という一つの目安にはなりそうです。GeminiがSiriの裏側でどのような役割を担うのかについては、Apple TVやHomePod向けの構成も含めてSiriとGeminiのバックエンド解説で詳しく触れています。
こうした評価を前提にすると、Appleが「Siriの頭脳」としてGoogle陣営を採用するのは、単に妥協ではなく“性能とコストを両立させた現実解”として見えてきます。
新Siriはどう変わる? いま見えている輪郭
では、iOS 26.4で登場する新Siriは、実際にどんな姿になるのでしょうか。現時点ではAppleから正式な詳細は出ていないので、Bloombergや9to5Macが報じている「方針レベル」の話をベースに整理します。
- 「ChatGPTを呼び出すオプション」ではなく、標準のSiriそのもののコアが差し替わるとされています。
- ユーザー体験としては、「Siriに話した瞬間から、裏側ではGoogle製の超大規模モデルが動いている」形になります。
- ただし、プライバシー設計やUI、Siriの人格的な部分はAppleが握ったままで、「Googleアシスタント化」するわけではない、と報じられています。
- Appleは自社のApple Intelligence向けにもモデルを開発していますが、それとは別にGoogleと共同開発したカスタムモデルをSiri専用に使うイメージに近いと伝えられています。
この記事の筆者は、この構図を見て「これはかなりスマートな解き方だ」と評価しています。理由はシンプルで、Appleはプラットフォームと体験設計に集中しつつ、“頭脳の部分”だけは現時点のトップランナーを採用できるからです。
逆に言うと、Appleは「Siriの頭脳まで自前で全部作る」ことにこだわらず、ユーザー体験としての完成度を優先したという見方もできますよね。
注目したいポイント:それでもAppleらしさは守れるのか
ここからは少し、立ち止まって考えてみたいポイントです。
まず、ポジティブに捉えられるのは「Siriの性能に関する不安がかなり和らいだ」という点です。Gemini 3級のモデルが中に入るのであれば、日常的な質問やタスク処理の“抜け”はかなり減るはずですし、複雑な指示にも対応できる可能性が高まります。
一方で、懸念として挙げられがちなのは
- Appleが競合でもあるGoogleのモデルに依存するリスクはどう考えるのか
- モデルの進化スピードに追随するために、どこまでGoogle側のロードマップに合わせる必要が出てくるのか
- AIモデルは価値観や回答傾向も含めて“文化”を持つので、そこにAppleらしさをどう乗せていくのか
といったあたりです。
この記事のトーンとしては、「それでもなお、この選択は合理的」という立ち位置でした。筆者は、2026年中にSiriの大幅アップグレードを実現するための現実解としてはベストに近いと見ており、Gemini 3の実績によってその確信が強まったというニュアンスで締めくくられています。
個人的にも、「Siriの再起動には外部のトップランナーの力を借りざるを得ない」という判断は、Appleにしてはかなり割り切った、しかし筋の通った選択に見えるんですよね。
日本のユーザー目線で気になるポイント
日本でiPhoneを使っている立場からすると、やっぱり気になるのは「日本語の精度」と「応答の速さ」、そして「プライバシーの扱い」です。
過去のSiriは、日本語対応の遅さや聞き間違いの多さで、どうしても評価が伸びきらないところがありました。ここに、多言語対応が得意なGoogle系モデルが中に入るのであれば、日本語の自然さや理解力はかなり伸びる可能性があります。
一方で、Appleはこれまで通り「必要最小限の情報だけを送信し、処理後は速やかに破棄する」といった設計を取ると見られており、記事中でも「プライバシーはAppleの基準が維持される」と強調されていました。
ここは、Apple Intelligenceで導入されたPrivate Cloud Compute(PCC)の考え方とも整合的です。ユーザーから見ると、「Siriの返事が賢くなったし、応答もスムーズになった。でも、誰のデータで学習しているかはAppleがしっかり管理している」という形になってくれるかどうかが、受け止め方を左右しそうです。Appleが最終的に目指している自前の超大規模モデルについては、Apple Intelligence 1兆パラメータモデル計画に関する整理もあわせて読んでおくとイメージがつかみやすいと思います。
ひとこと:Siriが“使える前提”になるかどうかの分岐点
長くiPhoneを使っていると、「Siriはたまにタイマーをお願いするくらい」という人も多いと思います。正直なところ、Siriを日常の相棒として本気で頼っている人はまだ少数派ではないでしょうか。
今回のGoogle提携は、その空気を「Siriはとりあえず信頼して話しかけられる存在」に変えられるかどうかの分岐点だと感じています。中身のモデルが大きく進化すれば、Siriに頼めるタスクの幅は一気に広がるはずですし、「とりあえずSiriに聞けばいい」という習慣が現実味を帯びてきます。
もちろん、どれだけ優秀なモデルを積んでも、UIや、iPhone全体との連携設計がイマイチだと魅力は半減してしまいます。Appleが最も得意としてきたのは本来この部分なので、Googleのモデルを土台にしつつ、「どれだけ自然な体験に仕上げてくるか」が一番の見どころになりそうです。
あなたは、Siriの頭脳にGoogleのAIが入ると聞いて、ワクワクしますか? それとも少し不安でしょうか。どちらにしても、iOS 26.4のSiriは“単なるアップデートの一機能”ではなく、AppleのAI戦略全体を測る試金石になっていくように感じます。
まとめ:Siriの“中身”が静かに総入れ替えされる年
最後に、この記事の内容をあらためてまとめます。
- Bloombergや9to5Macの報道によると、AppleはiOS 26.4でSiriの中核となるAIモデルにGoogle製の1.2兆パラメータ級モデルを採用する計画とされている。
- その背景には、Gemini 3がLMArenaなどの評価でトップに立ち、推論性能とコストの両面で高く評価されているという状況がある。
- 新Siriは「ChatGPTを呼ぶオプション」ではなく、標準のSiriそのものの頭脳が差し替えられるイメージで、表向きはAppleのSiriとして提供される。
- AppleはUIやプライバシー設計を握りながら、頭脳の部分だけトップランナーを共同開発で採り入れるという構図になっていると見られる。
- 日本のユーザーにとっては、日本語の質や応答速度、クラウド処理時のプライバシー保護がどこまで担保されるかが重要なポイントになる。
長く停滞していた印象のあるSiriにとって、2026年は“中身の総入れ替え”が起きる年になるかもしれません。表からは見えない変化ですが、その積み重ねが数年後の「当たり前」を作っていくはずです。これは、AI競争の力学がスマホ体験のど真ん中にじわじわと姿を現してきた象徴とも言えそうです。
ではまた!
Source: 9to5Mac, Bloomberg, The Verge