となりずむ

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Apple、脱TSMCを模索?Intel・Samsungとチップ製造を協議か

Appleロゴが描かれたガラス張りの建物を見上げた構図。左上から太陽光が差し込み、木の葉が写り込んでいる

✅この記事では、AppleがIntelやSamsungと主要チップ製造について初期協議しているという報道をもとに、TSMC依存がすぐ変わる話なのか、iPhoneやMacを使う側には何が関係するのかを整理します。

どうも、となりです。

Appleのチップ製造で、ちょっと大きめの話が出てきました。

Bloomberg報道を9to5MacやAppleInsiderが伝えたところによると、AppleはiPhoneやMacなどに使う主要プロセッサの製造について、IntelおよびSamsung Electronicsと初期段階の探索的な協議をしているようです。Samsungについては、Apple幹部がテキサス州に建設中の先端チップ工場を視察したとも伝えられています。

ここだけ読むと、「ついにTSMC一強が終わるの?」と思うかもしれません。そこは、少し期待の向け方を分けて見たいところです。現時点でIntelやSamsungへの正式発注はなく、Apple自身もTSMC以外の技術を使うことに慎重だとされています。

今回の話は、TSMCからすぐ離れるというより、AppleがTSMC一本足のリスクをかなり現実的に見始めている、と受け止めるほうが近いです。

要点まとめ:AppleのTSMC依存はすぐ崩れる話ではない

  • Appleは、主要デバイス向けチップの製造について、IntelやSamsungと初期段階の協議をしていると報じられています。
  • Samsungのテキサス工場をApple幹部が視察した一方、現時点で正式発注はなく、採用製品も未発表です。
  • Appleは10年以上、iPhoneやMac向けの最先端チップ製造をTSMCに大きく依存してきました。
  • 背景には、AIデータセンター需要、ローカルAI向けMac需要、台湾情勢を含む地政学リスクがあります。
  • IntelやSamsungにとってApple案件は大きな実績になりますが、Appleが求める規模と品質を安定して満たせるかが最大の壁です。
今回の報道は、「Intel製Appleチップが確定」という話ではありません。むしろ、AppleがTSMCの強さを認めたうえで、供給網の逃げ道をどこまで作れるか探っている段階です。

 

 

何が報じられたのか:IntelとSamsungはまだ候補段階

今回の話の中心は、AppleがTSMC以外の製造先を探り始めている、という点です。

9to5Macによると、AppleはIntelと初期段階の話し合いを行い、Samsung Electronicsのテキサス工場も評価しているとされています。この工場は、先端チップ製造を想定して建設が進められている施設です。

ただし、ここはかなり大事です。IntelやSamsungにAppleが発注したわけではありません。報道ベースでは、協議は予備的な段階にあり、Appleが最終的に別パートナーを使わない可能性も残っています。

Appleが気にしているのは、単に「工場があるか」ではありません。Apple Siliconは、Appleが自分で設計し、製造をTSMCに委託する形で成り立っています。SoC、つまりCPU、GPU、Neural Engine、メモリまわりの制御などをひとつのチップにまとめた部品です。iPhoneやMacの体感速度、電池持ち、発熱、AI処理までかなり広い範囲を支えています。

この製造先を変えるとなると、紙の上で同じ設計図を渡せば終わり、ではありません。歩留まり、量産の安定性、消費電力、発熱、製品ごとのばらつきまで、全部がApple製品の体験に跳ね返ります。Appleが慎重になるのは当然です。

なぜ今なのか:AI需要と台湾リスクが同時に来ている

AppleがTSMC依存を気にする理由は、ひとつではありません。

まず、TSMCは強すぎます。Appleは10年以上にわたり、最先端プロセスのチップ製造をTSMCに頼ってきました。現在のiPhoneやMacには、3nmプロセスで作られたチップが使われています。さらに、Apple Siliconの60%以上は台湾で製造されていると報じられています。

これだけ聞くと、「最高の相手に任せているならいいのでは」と思えます。実際、品質だけで見るなら、TSMCはAppleにとってほぼ理想的な相手です。問題は、理想的すぎる相手に寄りすぎると、何か起きたときの逃げ道が狭いことです。

最近はAIデータセンターの増設が激しく、先端チップの製造能力が世界中で奪い合いになっています。さらに、ローカルでAIモデルを動かせるMacへの需要も強まり、Mac miniやMac Studioの供給不足が話題になりました。この流れは、以前のMac miniとMac Studioの供給不足を扱った記事でも整理した通りです。

もうひとつは台湾情勢です。TSMCの先端製造が台湾に集中している以上、Appleだけでなく、世界の半導体産業全体が地政学リスクを抱えています。以前のAppleのTSMC依存と台湾リスクを扱った記事でも見たように、これは新製品の噂というより、Appleの供給網の背骨に関わる話です。

今回のIntel・Samsung協議は、その背骨を急に取り替える話ではありません。折れないように、別の支えを少しずつ探している段階ですね。

Intel製Appleチップは「復縁」ではなく製造委託の話

今回いちばん目を引くのは、やはりIntelの名前です。

AppleはMacで長くIntelプロセッサを使ってきましたが、2020年以降はApple Siliconへ移行しました。M1の登場で、「MacはIntelから離れて自前チップの時代へ入った」という印象がかなり強く残っています。だからこそ、IntelがAppleチップを作るかもしれない、という一文には少し変な感覚があります。

ただ、ここでいうIntelは「AppleのMacにIntel製CPUが戻る」という意味ではありません。Appleが設計したチップを、Intel Foundryが製造する可能性がある、という話です。設計の主導権はApple側に残ります。

Intelにとっては、Appleの製造を引き受けられれば、ファウンドリ事業の大きな信頼材料になります。リップブー・タン(Lip-Bu Tan)氏のもとで進める製造受託ビジネスにとって、Appleほど分かりやすい看板はありません。

一方で、Apple側から見ると、Intel採用には技術だけでなく政治的な意味もあります。米国政府はIntelの株式を10%保有していると報じられており、米国内で先端チップを作る流れは、Appleの「米国製造」アピールとも相性がいいです。

とはいえ、Appleが欲しいのはアピールだけではありません。iPhoneやMacは出荷台数が大きく、少しの品質差や歩留まり差が、そのまま在庫、価格、発売時期に出ます。IntelがAppleの要求水準をどこまで満たせるか。ここが一番重いところです。

Samsungは現実的な候補だが、TSMCの代わりにはまだ遠い

Samsungも、候補としては分かりやすい存在です。

Samsungは自社スマートフォンだけでなく、外部向けの半導体製造も手がけています。先端プロセスのファウンドリとしてはTSMCに次ぐ立場にあります。ただ、AppleInsiderはSamsungをTSMCから「遠い2位」とかなり厳しめに表現しています。

この言い方は少し冷たく見えますが、Appleの規模を考えると納得しやすいです。Samsungに技術がない、という話ではありません。問題は、Appleが必要とする量を、同じ品質で、長期間、安定して出せるかどうかです。

Appleのチップは、iPhoneだけでも膨大な数になります。さらにMac、iPad、将来のAI処理向けチップまで考えると、製造先に求めるのは「作れる」では足りません。「毎年、遅れず、ばらつきを抑えて、大量に作れる」必要があります。

ここでTSMCの強さが見えてきます。TSMCは単に先端プロセスを持っているだけでなく、Appleの製品サイクルに合わせて量産する体制を何年も積み上げてきました。TSMCの1nm未満ロードマップを見ても、Appleがかなり先の世代までTSMCを前提に動いていることが分かります。

なので、Samsungが入るとしても、いきなりAシリーズやMシリーズの主力を全部置き換えるより、限定的な製品、成熟した工程、あるいは将来世代の一部から試す形のほうが想像しやすいです。もちろん、具体的な製品名はまだ報じられていません。

使う側への影響は、価格と在庫に出る可能性がある

では、iPhoneやMacを買う側には何が関係するのでしょうか。

短期的には、ほとんど何も変わりません。Intel製Appleチップ搭載Macや、Samsung製造のAシリーズがすぐ出ると決まったわけではありません。2027年または2028年にIntel製造があり得るという噂もありますが、まだ未確定です。

それでも、この話を軽く見ないほうがいいのは、製造先の分散がうまくいけば、将来の在庫不足や価格上昇の圧力を少し和らげる可能性があるからです。

たとえば、TSMCの先端ノードがAI需要で詰まったとき、Appleが別の製造ルートを持っていれば、MacやiPhoneの出荷計画に余裕が出ます。逆に、分散先の品質や歩留まりが安定しなければ、製品ごとの供給差やコスト増につながる可能性もあります。

ここは、派手なスペック表には出にくい部分です。チップの製造元が変わっても、箱には大きく書かれないかもしれません。でも、発売日に買えるか、価格が上がるか、上位構成の納期が伸びるか。実際に困るのは、そういう地味なところなんですよね。

僕なら今回の報道は、「TSMC離れが始まった」とは受け止めません。むしろ、AppleがTSMCを失えないほど深く使っているからこそ、逃げ道を作らざるを得ないという話として見ます。

海外の反応:Intel製Appleチップという違和感

Redditでは、Intelの名前が戻ってきたことへの驚きと、地政学リスクへの反応が目立っていました。個別コメントURLを確認できた反応に加え、スレッド全体で見られた関連反応も紹介します。

intel making apple chips is a sentence i genuinely never expected to read after the whole m1 moment, feels like an alternate timeline

IntelがAppleのチップを作るなんて、あのM1の瞬間の後では本当に予想だにしなかった一文だ。まるで並行世界にいるみたいだ。

Reddit

M1後の違和感:M1は、AppleがIntelから離れた象徴のような出来事でした。そのあとに「IntelがAppleチップを作るかも」と聞くと、たしかに頭が一瞬止まります。ただ、今回はCPUの採用ではなく製造委託の話なので、歴史が巻き戻るというより、役割が変わって再登場する可能性として見ると分かりやすいです。

Tim knows something. The only thing that really gives me pause about using Apple stuff is how deep in bed with the CCP they are.

ティムは何かに気づいている。Apple製品を使うのをためらわせる唯一の要因は、Appleが中国共産党とどれほど深く結びついているかという点だ。

Reddit

政治リスクへの反応:かなり強い言い方ですが、Appleの供給網が中国・台湾・米国の政治と切り離せないことへの不安は伝わってきます。Apple製品の良し悪しだけではなく、どこで作られ、どの国の政策に左右されるのかまで、海外ではかなり敏感に見られています。

ひとこと:TSMCが強すぎるから、分散が難しい

今回の話で面白いのは、TSMC依存が「悪いから変える」のではないところです。

むしろTSMCが強すぎる。Appleの厳しい設計、短い製品サイクル、膨大な出荷数を、ここまで安定して受け止めてきたからこそ、代わりが簡単に見つかりません。

IntelやSamsungの名前が出てきたことで、選択肢が増えたように見えます。でも実際には、Appleが求めるのは「別の工場」ではなく、TSMCに近い水準で量産できるもうひとつの土台です。ここまで来ると、半導体の話というより、Apple製品の発売カレンダーそのものを支えるインフラの話ですね。

まとめ:IntelやSamsungは保険になるが、本命はまだTSMC

AppleがIntelやSamsungと主要チップ製造について話しているという報道は、かなり目を引きます。特にIntelの名前は、Apple Silicon移行を知っている人ほど引っかかるはずです。

ただ、現時点では正式発注も、採用製品も、搭載時期も未発表です。ここで「TSMC独占崩壊」と言い切るのは早すぎます。

今の見え方に近いのは、TSMCを本命に置いたまま、IntelやSamsungを将来の保険として育てられるか試している段階です。保険があるだけで、AppleはAI需要や地政学リスクに少し強くなれます。けれど、その保険が本当に使えるかどうかは、製造規模と品質の安定性を見ないと分かりません。

iPhoneやMacのチップは、もう単なる性能競争の部品ではありません。発売日に手に入るか、価格が守られるか、AI機能をどれだけ端末内で回せるか。その裏側で、どの工場がどれだけ作れるかが静かに響いてきます。

ではまた!

Apple: The First 50 Years (English Edition)

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Source:9to5Mac / AppleInsider / Reddit