
✅この記事では、2025年末に出たメモリ高騰の見通しが、2026年のスマートフォン市場で実際どうなったのかをたどります。
- 要点まとめ:2025年12月の見通しと、2026年に実際に起きたこと
- 2025年12月に言われていた3つのこと
- 当たったのは「安い機種が消える」のほうだった
- 「Appleは耐えられる」は、半分だけ当たった
- 外れたのは、iPhoneの台数のほう
- 海外の反応:値上げの受け止めと、我慢していた順番
- ひとこと:予測が外れた場所より、当たった場所のほうが重い
- まとめ:8か月で分かったこと
どうも、となりです。
2025年の暮れに、Counterpointがメモリ価格の高騰について見通しを出しました。中身はだいたい3つで、市場全体が縮む、部品コストは安い機種ほど重くのしかかる、そしてAppleとSamsungは比較的耐えられる、というものでした。
あれから8か月が経って、答えが出そろっています。3つのうち2つは当たり、1つは形を変えて外れました。おもしろいのは外れ方のほうで、値上げが来るより先に、店頭から安い機種のほうが減っていました。
要点まとめ:2025年12月の見通しと、2026年に実際に起きたこと
- 2025年12月時点のCounterpointの見通しは、メモリ価格の上昇で2026年の世界スマホ出荷が前年比約2%減、部品コストは10〜30%増、200ドル以下の低価格帯がいちばん重い、というもの
- 「安い機種が成立しにくくなる」は当たった。2026年第2四半期の世界販売トップ10は、10機種すべてがAppleとSamsungになり、前年8位にいたXiaomiのRedmi 14Cが消えている
- 「Appleは耐えられる」は半分当たり。Appleは値上げを最後まで我慢した側でしたが、2026年6月に14製品の値段を上げました
- ティム・クック氏は7月30日の決算説明で、「しぶしぶ値上げした」「メモリ価格の100年に一度の洪水」と説明しています
- 「iPhoneの台数も減る」は外れた。市場が前年同期比11%縮んだ第2四半期に、Appleの販売台数は5%増えています
2025年12月に言われていた3つのこと

そもそもの発端は、AIサーバーとPC向けにメモリの需要が集中したことです。半導体メーカーは利益率の高いほうを優先するので、スマートフォン向けの汎用DRAMとNANDに回る分が絞られました。
そのうえでCounterpointが出した見通しが、次の3つです。2026年の世界出荷は前年比で約2%減。部品コストは10〜30%上がり、とくに200ドル以下の低価格帯が重い。そしてAppleとSamsungは、長期の供給契約と高い価格帯のおかげで比較的耐えられる。当時これを読んだときは、3つ目がいちばん確からしく見えていました。
当時いちばん引っかかったのは、Appleが強いという話と、iPhoneの出荷も約2.2%減るという話が同居していたことでした。強いのに減る。市場そのものが冷えるなら、上位にいても無関係ではいられない、という理屈です。長期契約の話はDRAMの長期契約がいつ切れるかを見た回にまとめてあります。
当たったのは「安い機種が消える」のほうだった
8か月後の集計を見ると、いちばんきれいに当たっていたのがここでした。
2026年第2四半期の世界販売トップ10は、10機種すべてがAppleかSamsungです。前年の同じ四半期には8位にXiaomiのRedmi 14Cが入っていて、いちばん安い側にも席がありました。今年その席はありません。トップ10の顔ぶれを数え直した回でも書きましたが、Counterpointはこれを人気の話ではなく、メモリ不足で各社が数と利益の出る機種へ部材を寄せた結果だと説明しています。
欧州でも同じ形が出ていて、2026年第2四半期にXiaomiが19%から15%、OPPOが6%から4%、HONORが4%から3%へ落ちました。4%を超えるブランドが、AppleとSamsung以外に1つも残っていません。
値段が上がる話ばかり追いかけていたので、正直ここは見落としていました。読む側にとっては、値札が動く前に選択肢のほうが先に減っていたことになります。
「Appleは耐えられる」は、半分だけ当たった
もう1つの見通しは、判定が割れます。
耐えたという意味では当たりで、Appleは主要メーカーの中でも値上げがいちばん遅い側でした。ただし2026年6月、Appleはメモリチップの高騰を理由に14製品を値上げしています。Mac StudioのM3 Ultra構成は3,999ドルから5,299ドルへ、エントリーのMacBook Proは1,699ドルから1,999ドルへ動きました。
ティム・クック氏は7月30日、CEOとして最後の決算説明で理由をこう説明しています。「しぶしぶ値上げしました」「メモリ価格の100年に一度の洪水と呼ぶべき状況で、価格が指数関数的に上がっている」。40年以上この分野を見てきて、こんなものは見たことがない、とも言っていました。CEOとして最後の場でこの説明をすることになったのは、本人にとっても不本意だったろうなと思います。
つまり、時間を稼げるという読みは合っていて、稼いだ時間の使い道が「値上げしない」ではなかった。日本でもMac StudioはM4 Max構成が32万8,800円から41万9,800円へ、M3 Ultra構成は66万8,800円から89万9,800円へ動いています。上位ほど上げ幅が大きく、M3 Ultraでは23万1,000円の差でした。
外れたのは、iPhoneの台数のほう
いちばんはっきり外れたのが、iPhoneの出荷も約2.2%減るという部分です。
2026年第2四半期のCounterpointの集計では、市場全体が前年同期比で11%縮んだ一方、Appleの販売台数は5%増えました。インド、日本、中東・アフリカで伸び、韓国はほぼ倍になっています。市場が冷えれば上位も無関係ではいられない、という理屈のうち、Appleにだけは当てはまらなかった形です。ここは素直に驚きました。
ただし、この11%と、当時の2%減はそのまま比べられません。前者は第2四半期の販売、後者は2026年通年の出荷の見通しで、数えている対象が違います。言えるのは、上半期を見るかぎり市場の冷え方は見通しより深く、そのなかでAppleだけが逆を向いていたということまでです。
安い機種が消える流れと、Appleが伸びる流れは、たぶん同じ1つのことの表と裏なんだと思います。買える機種が上へ寄れば、もともと上にいた会社の台数は増える。
海外の反応:値上げの受け止めと、我慢していた順番
クック氏の説明が出たときのやりとりからです。冗談の応酬に混ざって、値上げの理由と幅を冷静に見ている声が並んでいました。
I'm less cynical than usual about this given that Apple was among the last to raise prices. The cost of RAM, SSDs, Xbox and PlayStation game consoles, new hardware like Valve's Steam Machine, all GPUs (which are projected to increase yet another 40% based on new price increases in China) have exploded since November.
今回はいつもより皮肉な気分にならない。Appleは値上げがいちばん遅い側だったからだ。RAM、SSD、XboxやPlayStationの本体、ValveのSteam Machineみたいな新しいハード、それにGPU(中国での値上げを受けて、さらに40%上がると見られている)まで、11月以降どれも爆発している。
順番を見ている人Appleだけが上げたわけではない、という見方です。値上げの是非より、どこが先に音を上げたかを数えている。
I agree and disagree. Yes, Apple was one of the last hold outs, but the new astronomical prices seem to hurt more than the others you mentioned, especially on something like the MacBook Pro.
賛成でもあり反対でもある。確かにAppleは最後まで持ちこたえた側だ。でも今回の天文学的な値段は、挙がっている他のものより痛い。とくにMacBook Proみたいなものではそうだ。
遅かったことと、痛くないことは別同じ「最後まで我慢した」を認めたうえで、着地した金額のほうを見ています。日本のMac Studioの上げ幅を見たあとだと、この感覚はよく分かる。
I think they raised it more than they had to, because they expect the prices to go up. I guess because they think raising it once but by a lot is better than doing it many times, less bad publicity?
必要以上に上げたと思う。この先もっと上がると見込んでいるからだろう。何度も少しずつ上げるより、一度に大きく上げるほうが評判の傷が浅い、という判断なんじゃないかな。
先回りして上げたのでは、という読みクック氏は幅の決め方を「台数・売上・利益の3つを見て判断する」としか説明していないので、ここは確かめようがありません。ただ、そう読まれるだけの幅ではありました。
They're probably going to lose the education market for the base iPad. School technology budgets are already under scrutiny and a 29% price hike (let alone spending $449 per student in a 1:1 district) is hard to justify to taxpayers.
無印iPadは教育市場を失うだろう。学校のIT予算はすでに厳しく見られていて、29%の値上げ(1人1台の学区で生徒あたり449ドルを出すのはなおさら)を納税者に説明するのは難しい。
いちばん下の機種が支えていた場所安い機種が減ると誰が困るのか、という話が具体的に出てきた例です。学校の1人1台は、まさに200ドル台の帯が支えていた用途でした。
ひとこと:予測が外れた場所より、当たった場所のほうが重い
この手の予測は、外れたところを探すのが楽しくなりがちなんですが、今回は当たっていた1つのほうが、買う側にとってはずっと大きい話でした。
Appleの台数が増えたかどうかは、正直こちらの生活にはあまり関係がありません。関係があるのは、店に並ぶ機種の幅です。トップ10から安い側の1枠が消えて、欧州でも4%を超えるブランドが2つになった。数字としては地味ですが、選ぶ場面では確実に狭くなっています。
そして、部品の値段が落ち着いても、この幅がすぐ戻るとは限りません。減らした機種を戻すのは、増やすときよりずっと判断が要る。
まとめ:8か月で分かったこと
2025年12月の見通しは、3つのうち「安い機種が成立しにくくなる」が当たり、「Appleは耐えられる」が半分当たり、「iPhoneの台数も減る」が外れました。
Appleは最後まで我慢した側ですが、2026年6月に14製品を値上げし、クック氏は「しぶしぶ」「メモリ価格の100年に一度の洪水」と説明しています。値上げが来たのはMacとiPadが先で、iPhoneの値段が同じ理由でどう動くかは、この記事の時点ではまだ決まっていません。
次に見えるのは、9月に出るiPhoneの値札です。Macで先に起きたことが同じようにiPhoneでも起きるのか、それとも別の扱いになるのか。原価の38%増がほぼメモリだった話のほうに、その材料をまとめています。
ではまた!
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本体の容量を上げるのが高いなら外で足す、という選択肢です。ただしこの1TBが2026年8月27日時点で3万3,280円で、外付けの側も同じ高騰の中にいます。安い買い物として置くのではなく、今この帯がいくらなのかの実例として。
AmazonSource:Counterpoint Research①、Counterpoint Research②、MacRumors①、MacRumors②、Reddit①、Reddit②、Reddit③、Reddit④
更新履歴
- 2026年8月27日:2025年12月の見通しを2026年の実測と突き合わせ、全面的に書き直し。ティム・クック氏の値上げ説明と第2四半期の販売ランキングを反映
- 2026年8月21日:低価格帯が縮むという見通しの結果として、2026年第2四半期の欧州シェアを追記
- 2025年12月16日:公開