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Appleを理解して翻訳する。それが「となりずむ」

DRAM価格高騰でもAppleは有利?Counterpointが見る2026年スマホ市場

iPhoneの分解作業中に、ピンセットでロジックボード上のDRAMチップを取り外している様子(iFixitによる内部構造のクローズアップ)

✅この記事では、DRAM価格の上昇が2026年のスマートフォン市場に与える影響について、Counterpoint Researchの最新予測をもとに整理します。結論から言うと、Appleはこの逆風の中でも比較的「耐えられる側」にいる一方で、iPhoneの出荷台数自体はわずかに減少する見通しです。

どうも、となりです。

最近よく聞く「メモリ不足」や「AI向け半導体が優先されている」という話、じつはスマートフォン市場全体にかなり影響が出始めています。今回はその中で、なぜAppleが“有利な立場”と見られているのか、そしてそれでもなぜiPhoneの販売台数は減ると予測されているのかを、Counterpointのデータをもとに落ち着いて見ていきます。

要点まとめ

  • DRAM・NAND価格の上昇により、2026年の世界スマホ出荷台数は前年比約2%減になる見通し
  • Counterpointは当初の成長予測を下方修正
  • 部品コストは10〜30%上昇、特に$200以下の低価格帯が最も打撃を受けている
  • iPhoneの出荷台数も前年比約2.2%減と予測
  • 一方でAppleとSamsungは最も耐性が高いと分析
  • 中国メーカー(Oppo、Vivo、Honorなど)は価格転嫁が難しく影響が大きい
  • 2026年の平均販売価格(ASP)は約7%上昇する見通し
  • Appleは販売台数減をASP上昇で相殺できる可能性が高い

2026年のスマートフォン市場シェアと前年比成長率(YoY)を示すグラフ。AppleとSamsungがともに19%で並び、Xiaomi、vivo、OPPO、Honorが続く一方、全体出荷は前年比マイナス成長となっている(Counterpoint調査)

Counterpointによる2026年スマートフォン市場予測。DRAM価格高騰の影響で市場全体は縮小する見通しだが、AppleとSamsungは相対的に影響を受けにくいと分析されている

詳細解説:なぜDRAM価格がここまで上がっているのか

今回のメモリ価格高騰の最大の要因は、AIサーバーやPC向けメモリへの需要集中です。半導体メーカーは、より利益率の高い分野を優先するため、スマートフォン向けの汎用DRAMやNANDは供給が絞られています。

Counterpointは、この供給制約が2026年前半まで続くと見ており、短期的な改善は期待しにくい状況だと noted しています。

iPhoneの販売台数は「なぜ減る」のか

ここで重要なのは、「Appleが強い=販売台数が伸びる」ではない、という点です。Counterpointは、2026年のiPhone出荷台数が前年比でわずかに減少すると予測しています。

理由はシンプルで、市場全体の需要そのものが冷え込むからです。部品価格の上昇は完成品価格に波及しやすく、結果として買い替えサイクルが長期化します。

つまりこれはApple固有の問題ではなく、スマートフォン市場全体が一段ギアを落とす流れの中で起きている現象なんですね。

それでもAppleは「やっていける」と言われる理由

Andrew Orr氏の記事でも強調されているのが、Appleの構造的な強さです。

AppleはDRAMやNANDといったコモディティ部品について、長期供給契約(LTA)を結び、価格変動リスクを抑えてきました。これはTim Cook時代のサプライチェーン戦略の中核でもあります。

さらに、iPhoneはもともと価格帯が高いため、コスト上昇を段階的に吸収しやすい。短期的には即値上げせず、利益率を維持しながら時間を稼げる立場にあります。

この点については、以前まとめたDRAM長期契約と価格リスクの記事でも整理しています。

 

 

価格上昇が市場構造を変えていく

今回のDRAM高騰が本質的に示しているのは、低価格スマホが成立しにくくなるという構造変化です。

  • $200以下の低価格帯は、すでに20〜30%のコスト増
  • 中価格帯でも10%台のコスト増
  • 結果として、廉価モデルの削減・仕様縮小が進む

Counterpointは、中国系メーカーがメモリ容量削減やモデル整理を迫られる可能性を指摘しています。

注目したいポイント

ここで注目したいのは、「Appleが勝つ」という単純な話ではなく、市場全体がプレミアム寄りに再編されていく点です。

  • 安価モデルほど成立しにくくなる
  • 中途半端なミドルレンジが薄くなる
  • 結果として高価格帯が相対的に選び避けにくくなる

Appleはこの流れと、もともとの製品戦略が偶然かみ合っているだけ、とも言えます。だからこそ「強い」のではなく、「耐えられる」んですよね。

Redditの反応まとめ

  • 「もともとRAMで高い料金を取ってる会社なんだから、生き残るに決まってる」という皮肉。
  • 一方で「単純化しすぎ」という声もあり、Appleの価格戦略は過去の価格改定トラウマを踏まえた結果だという指摘。
  • Appleは長年かけて“メモリ価格高騰への保険”を積み上げてきたという見方。
  • 「priced in(織り込み済み)」という反応も多い。

総評:皮肉と納得が入り混じった反応で、海外でも評価は割れている印象です。

ひとこと:減るが、沈まない

iPhoneの販売台数が減るという予測は、決して軽い話ではありません。ただしそれは「Appleが弱くなる」という意味ではなく、市場全体が冷える中で、どこまで踏みとどまれるかという話です。

まとめ

2026年に向けたDRAM価格上昇は、スマートフォン市場全体にブレーキをかけます。その中でAppleは、供給網と価格帯の強みを活かし、相対的に安定したポジションにいます。

出荷台数は減っても、ASP上昇で収益は保たれる可能性が高い。これは矛盾ではなく、「減るが、沈まない」という評価です。静かな構造変化ほど、あとから効いてくるものですね。

ではまた!

Source: Counterpoint Research, MacRumors