
✅この記事では、App Storeで進む詳細なデータ収集と、新しい「パーソナライズされたおすすめ(Personalized Collections)」、設定でどこまで止められるのかを整理します。
- 要点まとめ:便利なおすすめ機能と、その裏のデータ収集
- 何が問題になっているのか──Myskが示した「全タップ記録」
- そもそも「Personalized Collections」とは何か
- 「タイピング速度まで」──収集される分析データの中身
- 設定でオフにできるのか
- なぜApp Storeの追跡は他と違って見えるのか
- 海外の反応:プライバシー像のズレと、想定内という受け止め
- ひとこと:止められない部分があると分かったことが大きい
- まとめ:確かな線と、まだ食い違っている線
どうも、となりです。
App Storeを開いて、目当てもなく指でアプリを探す。あの何気ない操作が、思っているよりずっと細かく記録されているらしい、という話がいま広がっています。
きっかけは、セキュリティ研究者のMyskが「App Store内のすべてのタップが記録され、タイピング速度まで割り出せるデータがAppleに送られている」と指摘したことでした。
ちょうどAppleは、App Storeに新しいおすすめ枠「Personalized Collections(パーソナライズされたおすすめ)」を入れ始めたところです。
便利になる話と、裏で何を見られているのかという話が、同じタイミングで出てきた格好です。何が事実で、設定でどこまで自分の側で止められるのかを、順に確かめていきます。
要点まとめ:便利なおすすめ機能と、その裏のデータ収集
- Appleは「アプリ」「ゲーム」「検索」タブに、使い方やダウンロードに応じて変わる新しいおすすめ枠「Personalized Collections(パーソナライズされたおすすめ)」を導入し、米国・英語から提供を始めた
- セキュリティ研究者のMyskは、App Store内の「すべてのタップ」が記録され、タイピング速度まで割り出せる分析データが送られていると指摘している
- Myskによれば、この記録そのものをオフにする設定は見当たらないとされる
- 設定の「メディアと購入(Media & Purchases)」には「パーソナライズされたおすすめ(Personalized Recommendations)」をオフにする項目があるが、それが上記の記録自体まで止めるのかははっきりしない
- 収集された分析データは、privacy.apple.comで請求できる個人データのコピーに含まれていると報じられている
- 新機能の日本での提供時期は、まだ案内されていない
何が問題になっているのか──Myskが示した「全タップ記録」
話の出どころは、セキュリティ研究者のMyskがX(旧Twitter)に投稿した指摘です。「Tim cook」と検索したときにApp StoreがAppleへ送っているデータを実際に見せながら、こう書いています。タップは一つ残らず記録されていて、それをオフにする方法はない。しかも、入力の様子からタイピング速度まで計算できる、と。
Now Apple is putting the extensive identifiable analytics they collect in the App Store in action. They record every tap and there's no way to turn it off.
— Mysk 🇨🇦🇩🇪 (@mysk_co) June 9, 2026
They can even calculate your typing speed. This is what the App Store sends to Apple when I searched for "Tim cook": https://t.co/2oET7QQLxp pic.twitter.com/EigLey8iq6
ここで一つ整理しておきたいのは、これはAppleの公式説明ではなく、外部の研究者がデータのコピーを読み解いて出した指摘だということです。MacRumorsや9to5Macといった媒体がこの指摘を取り上げ、内容を報じています。Appleが「全タップを記録している」と認めた、という段階の話ではありません。 それでも軽い話に見えないのは、検索結果を返すために必要な通信とは別に、操作そのものの細かいログが送られていると読み取れる点です。ぼくも、検索窓に文字を打つくらいなら当然サーバーとのやり取りはあるだろうと思っていましたが、タイピング速度まで割り出せる粒度だと言われると、受け止め方が少し変わります。
そもそも「Personalized Collections」とは何か
今回の記録の話は、Appleが新しく入れたおすすめ機能とセットで出てきました。それが「Personalized Collections(パーソナライズされたおすすめ)」です。App Storeの「アプリ」「ゲーム」「検索」の各タブに、その人のアプリの使い方やダウンロードに応じて中身が変わるおすすめ枠が表示され、使うほど内容が育っていく仕組みだと説明されています。 あわせて「App Notes(アプリノート)」という、なぜそのアプリがおすすめに出ているのかを短く添える表示も用意されました。提供は今週から米国・英語で始まり、ほかの言語と地域は近日中に追加される、というのがApple側の案内です。つまり日本でいつ使えるようになるかは、まだ示されていません。 App Storeが裏で何をしているかは、これまでも折にふれて語られてきました。たとえばAppleは、2025年にApp Storeで防いだ不正取引や偽アカウントの数を公表しています(11億件の偽アカウントを撃退。Appleが明かすApp Store裏側の戦い)。守る側の働きとして語られてきたデータの扱いが、今回はおすすめ機能の精度を上げる方向で表に出てきた、という見え方になります。
「タイピング速度まで」──収集される分析データの中身
ここがいちばん気になる中身です。送られているのは、検索語やダウンロード履歴だけではなさそうだ、とMyskは見ています。どこを、どの順でタップしたか。文字をどれくらいの速さで打っているか。そうした操作の細かい挙動まで含まれていると読み取れる、というのが今回の主張です。 しかもこの分析データは、まったく見えないところに隠れているわけではありません。privacy.apple.comから自分の個人データのコピーを請求すると、そのダンプの中に含まれていると報じられています。研究者が中身を確認できたのも、この仕組みを通してでした。 規模で見ると、App Storeには毎週8億人以上が訪れているとされます(Appleの透明性レポートの数字)。一人ひとりの細かい操作が積み上がる場所だと考えると、何がどこまで記録されているのかを知っておきたくなる気持ちは、自然なものだと思います。
設定でオフにできるのか
では、自分の側で止められるのか。ここがいちばん知りたいところだと思います。 設定アプリには、おすすめのパーソナライズを切る項目があります。「設定」→自分の名前→「メディアと購入(Media & Purchases)」→「アカウントを表示」と進むと、「パーソナライズされたおすすめ(Personalized Recommendations)」のスイッチが出てきます。これをオフにすると、App StoreやApple Booksなどで、過去の購入やダウンロードに基づいたおすすめの出し方が止まる、というのがAppleの説明です。 ただ、ここで素直に「これで安心」とは言いにくいところがあります。この項目が切るのは、あくまで「おすすめをあなた向けに調整する」動きです。Myskが言っているのは、その手前にある操作の記録そのものに止めるスイッチが見当たらない、という話でした。おすすめのパーソナライズを切ったときに、タップやタイピング速度といった分析データの収集まで一緒に止まるのかどうかは、いまの情報でははっきり確認できません。報道側も「キャプチャをオフにする方法はない」という指摘と、設定でパーソナライズを切れるという話の両方を伝えていて、ここはまだ食い違いが残っている部分です。 なので現実的には、おすすめの表示を整理したい人は「パーソナライズされたおすすめ」をオフにしておく、ただしそれで記録のすべてが止まると思い込まない、というあたりが今わかっている範囲です。
なぜApp Storeの追跡は他と違って見えるのか
「Appleはプライバシーに厳しいのでは」という感覚を持っている人ほど、今回の話には引っかかりを覚えると思います。実際、Appleが守ってきたと言っているのは、主に「第三者があなたを勝手に追跡しないようにする」という方向のプライバシーでした。Apple自身がサービス改善やおすすめのために自社内でデータを集めることは、また別の話として残ります。今回の指摘は、その別々のレイヤーをはっきり見せた、とも言えます。 もう一つ、App Storeならではの事情があります。たとえばApple Musicの扱いが気に入らなければSpotifyに移れますが、iPhoneでアプリを入れる窓口はApp Storeしかありません。逃げ場のなさがある分、ここでの記録は他のサービスより重く感じられる、という見方です。プライバシーをどう受け止めるかは人によって幅があり、以前にも国や制度ごとの違いから考えたことがあります(インド政府アプリ義務化とiPhoneプライバシー、日本ユーザーはどう見る?)。今回も、嫌悪と「想定内」が両方出ているのが正直なところです。
海外の反応:プライバシー像のズレと、想定内という受け止め
反応はMacRumorsのフォーラムから拾っています。強い批判だけでなく、最初からこんなものだと思っていた、という冷めた声も混じっていました。
They log every keystroke in the App Store, yet they still mangle every sentence I type with autocorrect enabled? Glad to see their priorities are in place. Personally I don't care because I avoid the App Store as much as possible. It's just one giant ad.
App Storeの中ではキー入力を一つ残らず記録するくせに、オートコレクトをオンにしていると入力した文章はことごとく台無しにしてくれる。優先順位がしっかりしていて何よりだ。個人的には気にしていない、できるだけApp Storeは避けているから。あれはもう一つの巨大な広告でしかない。
皮肉まじりですが、記録の細かさと、肝心の入力体験の雑さを並べた一言です。App Storeそのものへの不信感がにじんでいて、追跡の是非より先に「もう使っていない」という距離の取り方が出ています。
Apple is all about protecting your privacy from third parties...but ya'll thought they wouldn't track you for their own needs? BWAHAHAHAHAHAHAHA!! 🤣
Appleはサードパーティからプライバシーを守ることには熱心だよ。でも、自分たちの都合のために追跡しないとでも思ってた? ぶわはははは!🤣
笑い飛ばしていますが、本文で触れた「第三者からの保護」と「自社のための収集」を別々のものとして捉える視点と重なります。Appleのプライバシー像を丸ごと信じていた人ほど、ここでつまずく、という指摘です。
This is interesting. I have always assumed that Apple logs every action I take with my iPhone/iPad/Mac. I figured it was one way that they learn how users use their devices maybe to improve, maybe to market better, maybe to know which features to drip out over the course of a couple years? I just always assumed Apple also anonymizes that data and never sells it.
これは興味深い。Appleが自分のiPhoneやiPad、Macでの操作をぜんぶ記録しているのは、ずっと当然のことだと思ってきた。ユーザーが端末をどう使うかを学ぶための手段で、改善のためか、マーケティングのためか、どの機能を何年かけて小出しにするか決めるためか、くらいに考えていた。そしてそのデータは、Appleがちゃんと匿名化して売ったりはしていないものと、これもずっと思い込んでいた。
こちらは落ち着いた受け止めで、記録自体は前提として、匿名化されていて売られていないなら気にしない、という線です。今回の指摘で焦点になるのは、まさにその「匿名化と用途をどこまで信じられるか」だと気づかせてくれます。
ひとこと:止められない部分があると分かったことが大きい
ぼくがいちばん引っかかったのは、タイピング速度という具体的な例より、「オフにする方法が見当たらない」と言われた部分でした。便利なおすすめが増えること自体は素直にありがたいのですが、その精度を支える記録に自分側のスイッチがないとすると、便利さと引き換えに渡しているものの輪郭が急にはっきりします。 設定の「パーソナライズされたおすすめ」を切れるのは事実です。ただ、それで何が止まって何が残るのかが、いまは外からはっきり見えません。便利さを取るか、見えない部分の収集を嫌うか、という単純な二択ではなく、「どこまでが選べて、どこからが選べないのか」をAppleがもっと説明してくれるかどうかが、ぼくにとっての見どころです。
まとめ:確かな線と、まだ食い違っている線
今わかっている範囲を整理すると、確かなのは、App Storeに新しいおすすめ機能「Personalized Collections」が米国・英語から入ったことと、研究者のMyskが「全タップが記録され、タイピング速度まで割り出せる」と指摘し、それを媒体が報じたことです。収集データがprivacy.apple.comの個人データに含まれている点も、報道として出ています。 一方で食い違っているのは、設定でその記録自体を止められるのかどうかです。「パーソナライズされたおすすめ」をオフにできるのは確かでも、それがタップやタイピング速度の収集まで止めるのかは、まだ確認できていません。日本での提供時期も案内されていません。気になる人は、まず「メディアと購入」のおすすめ設定を一度のぞいてみつつ、Apple側がこの収集について何を説明するかを見ていくのがよさそうです。
ではまた!
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App Storeでの記録は止めにくい部分が多い一方で、自分のApple Accountそのものを守る所は手を打てます。パスキーや二要素認証に使える物理キーは、その一歩として選ばれています。
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