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AirPods Pro 3はやっぱり「修理不能」──iFixitの分解でスコア0点、ケースも電池交換ムリでした

AirPods Pro 3はやっぱり「修理不能」──iFixitの分解でスコア0点、ケースも電池交換ムリでした

✅ この記事では、AirPods Pro 3の分解レポートから見えてきた修理性(=ほぼゼロ)に加えて、ケース電池の単セル化・マグネット配置の見直し、そして話題のフォーム混合イヤーチップの構造と効き目まで、使い方のヒントと一緒に整理します。

どうも、となりです。

たとえば「イヤホンの電池だけ替えられたら長く使えるのに…」。この願い、AirPodsでは今回も叶いませんでした。iFixit系の分解では、AirPods Pro 3の修理スコアは0/10。耳栓サイズの超小型化と引き換えに、接着・一体化設計が徹底され、現実的な電池交換は不可能という結論です。ケースも同様で、サイズはあるのに構造的に分解想定がないため、バッテリーを剥がすと壊す…というおなじみの地獄絵図になりました。この記事を読むと、「何ができて、何ができないのか」と、賢い向き合い方がスッと入ってきます。

分解の結論:本体もケースも「開けたら最後」

AppleInsiderが紹介した最新分解によると、AirPods Pro 3は片側0.221Whのセル、ケースは1.334Whのバッテリーを内蔵。ところが、それらは樹脂に埋め込まれる形で固定され、無傷での取り出しはまず無理。結果、修理スコアは0/10という容赦ない評価でした。さらにケース側も接着・圧入が強く、電池交換は事実上不可。分解は途中から「破壊」に切り替えるしかなかったとのことです。

これ、地味にすごいのが“代を重ねても方針が変わっていない”こと。初代〜AirPods 3や4世代でも、iFixitのスコアは軒並みゼロが並んできました。個々の部品が微妙に改善していても、モジュール化ユーザー交換性は依然として確保されていないんです。
まとめ:“壊れたら丸ごと交換”の哲学が継続。電池が弱ったら買い替え一直線です。

追加の発見①:ケース電池はツイン→単セルに、マグネット配置も最適化

CTスキャンと分解写真から、ケースの電源系は従来のツインセル構成から単セル(1.334Wh)に刷新。取り外しやすさはわずかに改善したものの、修理可能というレベルには達していません。また、レアアース磁石の配列を見直し磁石の点数を減らしながらQi2/MagSafe対応は維持していることも判明。部品点数と重量・コストのチューニングを細かく進めているのが見てとれます。
ひとことで:電源・磁気設計は“軽く・少なく・効率よく”の方向へ微修正。

追加の発見②:フォーム混合イヤーチップの断面──密閉性をどう高める?

イヤーチップの断面

これ、実際に使う人には一番効く改善です。イヤーチップの断面を拡大すると、内部に発泡フォーム(泡状の細かい気泡)が見え、その外側をシリコン層が包み込む二層構造。このフォームがわずかに潰れて形を保つことで、耳道との密閉(シール)を安定させ、パッシブ遮音ANCの効きを底上げする仕組みです。サイズが合っていれば、低音の量感ノイズ低減の体感がブレにくくなるはず。

  • 装着チューニングのコツ:まずはEar Tip Fit Test(装着テスト)でサイズを当て、少し捻って軽く押し込む装着に変えるとフォームがなじみやすい。
  • ランニング等の動き対策:汗で滑る人は、フォームが“戻る”数十秒を意識してフィットを作ると安定。

まとめ:フォーム混合チップは“小さな耳栓”。密閉が安定し、音とANCの再現性が上がります。

 

 

バッテリー事情:本体持ちは伸びたが、総合スタミナはダウン

今回ちょっとややこしいのがバッテリー持ちの表現。AirPods Pro 3の単体再生は最大8時間(ANCオン時)。前世代(6時間)からはっきり伸びています。一方、ケース込み総合30時間 → 24時間に減少。ケースの単セル化が効いている可能性が高いです。
まとめ:1回あたりの“息の長さ”は改善。ただし“総合スタミナ”は短くなったため、ケース充填前提の使い方だと体感が逆転することも。

環境とおさいふ:小さな電池が「消耗品」になる現実

想像してみてください。自転車のチューブなら1,000円で替えられるのに、イヤホンは丸ごと数万円。AirPodsは広い意味で消耗品です。リチウム電池は化学的に劣化する運命。修理性ゼロは、その瞬間に廃棄物と出費を生みます。ライバル製品にはセル交換に対応した設計も出てきましたが、AirPodsはまだ“開かない箱”。
まとめ:「小さくて便利」を取る代わりに、「短寿命・高コスト・高廃棄」の宿題が残る、が現実です。

日本ユーザーの実利:どう選び、どう使う?

  • 購入時:長く使う前提なら、AppleCare+の費用と交換条件を冷静に試算。ヘビーユースなら“2〜3年サイクル”の買い替え前提でセール期を狙うのも手。
  • 運用:過充電・高温は劣化の敵。ジムや炎天下の長時間放置を避け、充電ケースを熱源から遠ざける。こまめ充電よりも、深いサイクルを減らす意識で。
  • 比較:「ケース込みの総持ち」を重視するなら前世代Pro 2が合う可能性。逆に1回の連続使用が長い人はPro 3の8時間が効く。
  • フィット最適化:新チップは密閉が決まると化けるので、サイズ試行と装着角度の調整は惜しまない。

まとめ:バッテリーと装着の“性格”が変わったぶん、使い方の最適解もアップデートを。

背景とこれから:なぜ“開かない箱”なのか

AirPodsが直せない最大の理由は、小型・防水・量産コストの三点セット。ケーブル/アンテナ/バッテリがミリ単位の余白で接着され、ユーザー交換の余白を作ると重さ・サイズ・耐水・コストのどこかが犠牲になる。Appleはそのトレードオフで小型・快適・音質を優先してきました。

とはいえ、交換可能セル再接着しない固定など“直せる設計”の潮流も広がっています。AirPodsがどこで舵を切るのか、来年以降の注目ポイントです。
まとめ:現行は「快適さ優先の密封設計」。市場は少しずつ“直せる小型機器”に寄りつつあります。

redditコメントまとめ:みんなは「修理できなくてもOK」派が多数

海外掲示板redditのスレッドから、主な論点を日本語でざっくり整理しました。全体としては「AirPodsは小ささ・防水・使い勝手が最優先。修理性は二の次でいい」という声が優勢でした。

  • 「修理できなくても構わない」派
    日常の酷使に耐える頑丈さや防水性のほうが大事。密封設計でOK、という意見。
  • 「本体はわかるけど、ケースは違う」派
    イヤホンの小ささ優先は理解するが、ケースはもう少し修理や電池交換に配慮できるのでは、という指摘。
  • 環境負荷は優先度が低い
    AirPodsは物量が小さく、廃棄物やCO₂の観点でも“他の使い捨てと比べれば”影響は相対的に小さい、という考え。
  • トレードオフを受け入れる現実派
    修理性を上げればサイズ・音質・電池持ちのいずれかが確実に犠牲になる。iMacやMacBookの修理性には文句があるが、AirPodsに関しては非修理設計が合理的、という論旨。
  • 「想定の範囲内」反応
    “0点は驚きではない”。代を重ねても方針が変わらないことに慣れた様子。
  • 機能・性能最優先派(他社比較込み)
    このカテゴリでは修理性より防水・耐久・機能の詰め込みが重要。たとえ修理できても労務コストが割に合わない。修理対応の他社機(Fairbuds等)はANCやマイク性能、重量・密度、周波数特性で劣る、との具体比較も。
  • 冷笑・ぶった切り系
    「誰も気にしていない」と話を打ち切る強い口調のコメントも散見。

ざっくり温度感:「AirPodsに修理性は求めない。その代わり小型・高機能・防水であってほしい」という声が主流。一方で、「ケースだけでも交換しやすく」「環境配慮をもう一歩」という建設的な提案もありました。

まとめ

AirPods Pro 3は、修理スコア0/10という冷酷な現実を再確認させました。一方で、ケースの単セル化磁石配列の最適化フォーム混合イヤーチップなど、小さな最適化は着実に進化。単体8時間へ伸びた一方、総計24時間に縮んだ“持ち時間の性格”の変化も押さえておきたいところです。だからこそ、買う・使う・手放すの作戦を先に決めて、気持ちよく付き合いましょう。

ではまた!

 

 

Source: AppleInsider(分解レポート要点)、iFixit(分解スコアとチップ断面・CT所見)、Apple Newsroom / 技術仕様(バッテリー公称・対応規格)、9to5Mac(ケース電池単セル化・マグネット配列最適化やフォーム混合チップの補足)